形式:単行本
出版社:法政大学出版局
と、これで終わらせると、せっかくブラックな笑いに満ちたこの作品を堅苦しく感じさせるだけなので、最後に軽く二点ほど魅力的な部分を。第一に、解説で「辛辣な人間観」と評される通り、とにかく出てくるやつらのクズっぷりが清々しい。これを読むと「心がないこと」は一種の人間的魅力なのではないかとすら思えてくる。本当にずーっとカネの話ばかりしている。笑 第二に当時の犯罪社会の常識を色々と知れて面白い。身重の囚人は刑の執行が一年延期されるため、監獄内には金を貰って女囚を妊娠させる「種付け係」がいたそうな。すげぇな。
本当はこういうトリビア的な部分に焦点を当てて感想を書いても良かったのだが、せっかくならゲイの戯曲を通して知ったほうがずっと面白いに決まってるのでやめておいた。興味のある方は是非。海保眞夫による注釈も充実していて楽しいです。
開高健の寄せ場への関心も、戦後に行われた寄せ場芝居のことと併せて興味深い。それらに共通するものは、「歩く」ことだろう。
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と、これで終わらせると、せっかくブラックな笑いに満ちたこの作品を堅苦しく感じさせるだけなので、最後に軽く二点ほど魅力的な部分を。第一に、解説で「辛辣な人間観」と評される通り、とにかく出てくるやつらのクズっぷりが清々しい。これを読むと「心がないこと」は一種の人間的魅力なのではないかとすら思えてくる。本当にずーっとカネの話ばかりしている。笑 第二に当時の犯罪社会の常識を色々と知れて面白い。身重の囚人は刑の執行が一年延期されるため、監獄内には金を貰って女囚を妊娠させる「種付け係」がいたそうな。すげぇな。
本当はこういうトリビア的な部分に焦点を当てて感想を書いても良かったのだが、せっかくならゲイの戯曲を通して知ったほうがずっと面白いに決まってるのでやめておいた。興味のある方は是非。海保眞夫による注釈も充実していて楽しいです。