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少女たちの19世紀――人魚姫からアリスまで

感想・レビュー
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七草奈々子
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アンデルセンの『人魚姫』を「男装の少女」(あるいは「人間へ向かう少女)という文学的伝統と、「水の精」のモチーフからの距離とに基づいて読解する第一、二章はとりわけ興味深く、素晴らしい。それと比較するとそれ以降、特に第三章は全体的に感想文的で鋭さに乏しく、若干退屈に思われる。
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かりさ
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英国ファンタジー翻訳、研究家である脇さんの視点と考察から19世紀児童文学史を読み解く。人魚姫の男装、水の精、妖精と魔法、幻想性と神秘性、ファンタジーの中の少女の秘めた思いや願い…物語を深く知り寄り添う楽しさを得ます。アンデルセン「人魚姫」、マクドナルド「かるいお姫さま」、キャロル「不思議な国のアリス」など19世紀ファンタジーで描かれる少女たちの群像を共に辿り、深い考察と新しい視点で、物語の生まれた時代やその背景を知る…新たな扉を開けたような新しい風が吹き込むような新鮮な思いで読みました。
かりさ

マクドナルド『かるいお姫さま』『昼の少年と夜の少女』の少年と少女が対等に共に困難を乗り越える描写(マクドナルドが好きなのはこういうお話が多いこと)、マクドナルドとキャロルの繋がりを読めたことも良かった。ラッカムやヒューズ、テニエルなどの美しい絵と共にファンタジーへの至福の旅でした。

03/10 22:28
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南
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大きく分けて「人魚姫」「作家マクドナルド」「アリス」について語られています。人魚姫は人生で初めて触れたバッドエンドです。男装していた話どころか馬に乗ってる話も知らない…男装というキーワードで儚い失恋話がガラッと変わるのは面白いですね。昔、偉人まんが系で読んだアンデルセンの失恋話をモデルにってのは違ったんだな…
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代理
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水の精にまつわる話は色々あるがほとんどが人間側の視点であった。非人間側の視点で描いたから人魚姫は画期的だった。という指摘は面白かった。人魚姫についてもっとじっくり論じたのが読みたい。『ウンディーネ』と『黄金の壺』が読みたい
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おゆ
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自由な尾ヒレを捨てて痛む脚を手に入れた人魚姫。原作では男装していた姫の行動力、けれど男性社会で歩く自由を手に入れた彼女は、弱音を吐くための声を持たない。美しい歌声で船人を惑わすセイレーン、彼女もその種族の一人であったのに。最期は望み潰え泡と消えた姫。けれど彼女が本当に望んだのは王子の隣の席ではなく、王子の持つ自由さそのものではなかったか。その王子が選んだ王女は美しく優しい女性だが、完全無欠のカップルに漂うこの空虚感はなにゆえか。魂を持たないはずの水妖が体現してみせる、19世紀の少女たちの夢と憧れ。
おゆ

紹介される挿画にラッカムのものが多くあり、人気者だったのだなあと改めて実感。アリスについての文章は目新しいものはさほどなく、ファンには物足りないところもあるけれど、人魚姫はじめ他作家作品についての所感や論考は非常に面白かった。

04/13 15:17
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シルク
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こどものとき愛した物語のひとつに、J・マクドナルドの"The Light Princess"がある。あんなに好きだった話であるのに、大人になってから本を手に取ると、訳(読んでいたのは本庄冨美恵訳)に感じられるねっとり感が気持ち悪くて、読み進められない。どんな話だったかな……王様と女王様に、ようやく生まれた娘が主人公だ。魔女である叔母の呪いで、体重というものを持たない子だ。ふわんふわん浮かんで、そしてその性質もか・るい軽い。彼女はケタケタと笑う。深く考えることも何かを悲しむことも無い、ただ愛らしいだけの姫。
シルク

「マクドナルドのお姫さまは、身体も心も軽く、うっかりすると舞い上がったきり下りてこなくなる恐れがあるので、身軽なようでいてまったく自由ではないのですが、やがて水のなかなら重さを取りもどして、自由に泳いだりもぐったりできることを発見します。それがうれしくてしょっちゅう湖に出て一人で遊んでいたお姫さまは……」(pp.116-7)こどもの時には理解していなかった――お姫さまが水の中を愛する理由。重さが無いことで、彼女の意に反して吹き飛び、舞い上がり漂っていく体……私を苛立たせる。私のものなのに、私を苛立たせる。

03/24 03:16
シルク

それが水の中ならば、はじめて自由に動かせるから。彼女ははじめて、自由を満喫できるから。……だから、彼女は「泳ぎの好きなお姫さま」だったのだね。四半世紀もの時を経て、ようやく、幼友達を理解したような気持ちだ。こういうのって……悪く、ないね。

03/24 03:16
3件のコメントを全て見る
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アルクシ・ガイ
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人魚姫が男装していたとは。目から鱗だった。童話は苦手でことにアンデルセンは何がいいのかさーぱりだが、視点を変えると新鮮です。
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イーナ
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図書館本。こういう本、好きなタイプだと思ってたけど、そうでもなかった……
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ひろ@ネコとお茶愛
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褒めるところと、あっさりばっさり切り捨てるところの差。オズだってすごくいいじゃないか!児童文学案内として楽しく興味深く読みました。
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spica015
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アンデルセンの『人魚姫』を皮切りに、19世紀児童文学を繙いてゆく。学術書ではないので、著者の所感が記されているだけのように見受けられる部分もあるが、全体的に、紹介されている作品全てが読みたくなるような、そんな論考だった。ホフマンは再読したくなったし、マクドナルドは未読なので、積極的に読んでいきたい。挿画もたくさん掲載されているが、どれも大人の鑑賞にも充分耐え得るクオリティで、児童文学と言えど、内容と共に手抜きされていなかったことがよく分かる。
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にゃーご松崎
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とても興味深く読んだ。昔話から童話へと変遷してきた、主に子どもを対象とした物語の発展の背景にアンデルセンのあったことの重要性、その価値をゲーテからの水脈で解き明しつつ、合理性の揺り戻しのロマンス芸術を、この偉大な芸術家二人が幼時、人形劇に親しみ、彼らの少女性を損なわうことなく人間性全体をはぐくんだことによって、少女のためのストーリテリングが生じたとする啓蒙。ふーむ、今年はアンデルセンを新しき光の下で読もう。
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水色さくら
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ネタバレ◎/『人魚姫』の話がすごくおもしろかった。しかしこの人、こんなにたくさんの物語をよく覚えていられるなあ……。
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悠々
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★★★☆☆ 童話の考え方がまた広がった。モチーフとなる童話にも興味があったうえに、「少女」であることについても考えを深めたかったので、そういう意味ではよい本だった。
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てぃうり
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アンデルセンをまた読みたくなった。マクドナルドの作品もしかり。作品の背景や作家たちの関係が知れて、読み方に新しい視点を見つけた。
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鴇々
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元々講座で話した内容をまとめた本だからだろうか。面白かった部分と眠くなってきた部分が半々。ちょっとしたネタ拾いには不向きな一冊であった。
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しずく
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miho
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人魚姫!おもしろい!!!
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裕
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お姫様願望にとりつかれた少女として人魚姫を見るのでなく、自由に世界を歩いて行ける人間=男として王子に憧れる男装者としての人魚姫という視点が面白かったです。ルイス・キャロルとアリス・リデル、童話作家ジョージ・マクドナルドとその家族との交流の話も。
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kenitirokikuti
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20世紀のファンタジーやSFやミステリをさかのぼり、19世紀のファンタジーへ。『Frozen』がヒットしている今、鉱脈はここにあるのかもしれない。
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おきらくかーさん
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19世紀の本がどのように発展してきたかに興味があります。主人公が少女たち!どのような思いがあったのか、社会はどのようだったのか・・。
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M77
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「月蝕島の魔物」を読んでアンデルセンに興味を持ったのでその頃の童話の歴史を大掴みできたのはありがたかった。 挿絵も多く、人魚姫やウンディーネの話も面白かった。 しかし作品同士を結びつけるやり方は推測ばかりで強引だった気が。
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ひとみ
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人魚姫は何故男装していたのか?という疑問から、人魚姫が本当に憧れたものは何かを考察したり、アンデルセンの童話がドイツロマン派の小説からジョージ・マクドナルドを経由してルイス・キャロルに到達するまでに思いを巡らせた本。「かもしれない」の域は出ないけれど、今までのイメージをひっくり返す人魚姫像は新鮮だし、ドイツロマン派やマクドナルドの本を読んでみたくなったので得るものが多かった一冊。面白かった。
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バジルの葉っぱ
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期待以上におもしろかった。人魚姫の、その時代の価値観と男装については興味深かった。「鏡の国のアリス」の鏡像の左右逆転を時間の逆転へと発展させている点をバッハの対位法音楽と重ね合わせ論じているのがとてもエキサイティングだった。「音楽の捧げもの」の逆行カノンを「鏡の…」の時間の逆転と似ているという。共に論理的、数学的であると言われているアリスの物語とバッハの対位法に共通性をみるのはありうべし、と膝をうった。
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くさてる
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アンデルセンの「人魚姫」の解釈がとても新鮮で面白かった。そういう感じで、童話や当時の物語に描かれた少女像の読み解きの部分がもっと読むことが出来れば嬉しかったです。
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アクア
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アンデルセン『人魚姫』の中で描かれた少女像の特異性へ触れることから始まり、様々な作品の少女像に言及しつつ、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』の主人公アリスの登場までをたどっています。途中で具体例として紹介される本が面白そうで、ついそちらに注目してしまいました。『ウンディーネ』『影をなくした男』、最近再読したE.T.A.ホフマン『黄金の壺』……。ホフマンからジョージ・マクドナルドへの流れなど、大好きな作家、作品のことが詳しく書かれていて大変楽しめました。(続く)
アクア

どうして自分がドイツ・ロマン派近辺の作品(そこから影響を受けたマクドナルドなどを含む)を好むのか。この『少女たちの19世紀』を読むことでその理由の一つがつかめたようにも思います。

02/26 20:21
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なつき
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『人魚姫』の考察が非常に興味深い。訳と思い込みから可憐な人魚姫しか知らなかったが、確かに人間になったとしても『女性』では当時それほどの自由はない。彼女が憧れていたのは二本の足でどこにでも行ける『男性=人間』だったと。男装のサンド、水の妖精ウンディーネ、アリスと少女論は続いていきますが、もう少し一つ一つをじっくり読みたかった気もする。例示が多く結論が薄い、そんな印象。出来れば『人魚姫』論を深めて、泡になる結末までしっかり論じてほしかった。
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ぽけっとももんが
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なんとなく面白そう、と図書館で予約。わたしの好きなマクドナルドの「かるいお姫さま」についての話が多くて、びっくり。そんなにすごい人だったのか、マクドナルド。小学生のころに近所の「文庫」で借りては返しを繰り返した一冊、大人になってから探しに探してたどり着いた思い出の物語が、こんなにも19世紀の文学(といってもフェアリーテイルだけど)に影響を及ぼしていたとはねぇ。ルイス・キャロルとの親交もしらなかった。
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さくは
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19世紀児童文学史。少女論。アンデルセンの「人魚姫」に人魚姫が男装しているシーンがあることは知らなかった。男装の少女というモチーフについての考察をもっと読みたい。
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まなみ
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期待していた内容と違った…。それはまあいいとして、「~は後で述べるとして~」や「~については後ほど」というのが多すぎて、後ほど述べると言ってたことが述べられていたのかどうかも忘れてしまうんですけど、何とかなりませんかね?結局、述べられていたのかどうかもよく分からないし。後半は流し読み。
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鳩羽
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アンデルセンの「人魚姫」であまり訳出されてこなかった男装ということを取っ掛かりに、19世紀ヨーロッパ、児童文学が生まれ発展して行った時代に少女がどういう役割を託されて描かれていたのかをたどる。人魚姫が女としてではなく、小姓のような友達のような感じで王子の元に行ったことから、ゲーテのミニヨンのような男装の少女の系譜を一連のものとして解釈するのはおもしろい。
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