形式:単行本
出版社:河出書房新社
形式:文庫
形式:Kindle版
形式:その他
出版社:Audible Studios
一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた―東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのために上野駅に降り立った。そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を。高度経済成長期の中、その象徴ともいえる「上野」を舞台に、福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の一人の男の生涯を通じて描かれる死者への祈り、そして日本の光と闇…。「帰る場所を失くしてしまったすべての人たち」へ柳美里が贈る傑作小説。
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>湿度感が出ていたら 鉄之助さま、うまく言えないけど、よ~くわかります。
村上春巻さん同感です。昔の上野駅の地下道の、匂いや黒い床の感覚が再現されていたら…最高ですね。
そうですか、今でも・・
いやまぁ、小説での描写読んでる限り「差別」なんて形容できるものでなかったし、こちら本州中央部で「大きな顔」と言っても、人口が一番多いだけで、それによる他宗派とのイザコザなんてほぼありえないですよ。ヤヤコシイこと書いてすみません。
としての制度やそれを執行する側の人々、主人公の耳に聞こえてくる周囲の他愛もない会話が際立たせる主人公の孤独、日雇い仕事は誰かのためになら耐えられるが明日の自分の食い扶持のためにできるほど容易い仕事ではないとの描写、わが手をぢっと見ればbullshit jobとそこそこの収入、あんだ、地震ど津波のどき、どごさいだの?何かやぐにたづようなごどしたの?正月の地震、おっかねがったない。あいかわらず、なぁんにもしてねーべした。。。
そして折に触れて彼の人生につながって来る皇室の出来事…。作者は声高に社会や行政等の「冷たさ」を論う訳ではないが、現代の「棄民」についての作品であることは明らかであろう。元より作者が本作から発しているメッセージに全て首肯する訳ではない。例えば、ホームレスは「限られたエリアに追いやられた」と作者は後書きで述べるが、「ホームレス狩り」など危険や食生活などの点でより安全で確実な施設で保護されるようになった、と見ることも可能だからだ。また、本来の公園使用のあり方とのすり合わせも重要なことだろう。(続)
しかし、如何なる立場・視点に立とうと、本作が読者たちに伝え寄こす衝撃に身を任せることは可能であるし、必要なことだと思う。本作が発表されて10年、いまだ復興途上にある本作の舞台の1つとなった福島県・浜通りに向けた謂れなき風評加害の有り様を見るにつけてもそう考える。そして、現在進行形で「棄民」を作り出していることにメディアや革新勢力も手を貸していることを忘れてはならない。
ショースケさん、この主人公にも生きてて良かったって思った日があったのだろうかと。ただ、子供目線で読むと、ホームレスを選択した父に絶望します。
punyonさん、ず〜っと眉間にシワを寄せて読みました。ホームレスを見かけるたび、この物語を思い出す、辛い読書でした。
memo: 未来に後ずさりながら、過去だけを見て生きてきた/擦れ違う時は誰もが目を背けるが、大勢の人間に見張られているのが、ホームレスなのだ。
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