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ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書 2318)

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oshow
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「ナチスは民主主義により選ばれて台頭した」とよく言われる言説であるが、事はそう単純ではなかった。第一次大戦後のドイツは大統領と首相そして議会という構造の共和制だが、大統領緊急令という形で議会無視の政策もしばしば取られた。ヒトラーはヒンデンブルク大統領から首相に任命されるのだが、その時ナチ党は議会の少数派であった。ヒトラー人気の利用と、他派の党利党略を抑えて議会抜きに国家運営したい思惑が大統領にあった。ヒトラーはその思惑を超えて権力を増大し後からナチ党を勝たせる。民主主義に空いた穴が、全ての始まりだった。
oshow

元々ヒトラーとナチスはユダヤ人を絶滅させるのではなく、追放を目論んでいた。例えばフランス領マダガスカル島への移住計画があった。しかしこれには制海権が必要で英国と和平を結ぶか屈服させる必要があり、どちらも実現しなかった。また独ソ戦により広大なロシア領を追放先として期待したが、独ソ戦の長期化に伴いそれも頓挫する。ゲットーに溢れたユダヤ人の「処理」のために秘密裏に方針転換が図られる。不幸にもドイツの戦局の行き詰まりが、虐殺を生んだ。

04/06 11:43
0255文字
Hiroshi
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ヒトラーとナチ・ドイツが行ってきたことがわかる本。ヒトラーはオーストリアで生まれた。ドイツ人としてのアイデンティティを強く持つので多民族国家のオーストリアで従軍することを拒み、ドイツ帝国の志願兵として従軍した。敗戦後に教宣部隊で演説の才能が開き、視察・調査の対象だったナチ党の前身に入党し乗っ取って党首となる。民主主義を嫌うヒトラーは反議会主義を標榜する。1923年にミュンヒェン一揆に失敗して禁固刑を受ける。敗戦・ヴェルサイユ体制・ヴァイマル政治は混乱しており、伝統的支配や合法的支配に国民の信頼はなかった。
Hiroshi

カリスマ的支配に飢える国民の前に現れたのがヒトラーだ。国会選挙で28年は2%、30年に18%、32年に33%、首相に就任した33年には44%と支持を伸ばした。歴代の内閣でも使われていた大統領緊急令と立法権を政府に託す授権法を使い1年半で独裁者となった。ヒトラーを操ろうとした者は権力を奪われた。ヒンデンブルク大統領が死ぬと法により総統になる。ナチ党以外の政党が禁止される。ヒトラーの主張にはオリジナリティはない。他人の意見を吸収したに過ぎない。ヒトラーは国民の団結と統一を訴えて復興を目指す。社会はナチ化した。

12/03 17:56
Hiroshi

ヒトラーの支配は、ヒトラーから評価されて信頼を得ることを切望するサブリーダーの多頭支配だ。戦前の経済成長が著しい時代に戻り、ラインラント進駐等の外交が成功すると、国民は良い社会だと感じていた。ヒトラーの反ユダヤ主義は人種的反ユダヤ主義だった。ロシア革命をユダヤ人の陰謀と捉えた。当初はユダヤ人の国外追放を目指していたが、オーストリア併合やポーランド侵攻でユダヤ人の数が増えて、絶滅政策に切り替わる。優生政策の安楽死の手法をユダヤ人に適用して、42年にホロコーストが始まった。約560万人のユダヤ人が殺された。

12/03 17:56
0255文字
ラウリスタ~
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ヒトラーはユダヤ人を宗教ではなく人種的に差別(セム族)。マルクス主義とユダヤ陰謀論を結びつけ、第一次大戦におけるドイツの敗戦(内部のユダヤ人)、ソ連の革命、アメリカの金融資本、全てがユダヤ人のせいだと思い込む。生まれつきの反ユダヤ主義者ではなく、30ごろに広報担当として反ユダヤビラを読みまくる中で感化。単なる演説屋から救国の英雄へと成り上がり、大統領による首相に選出(党の支持率は30%)。そこからあれよあれよの独裁化、茹でガエルの恐ろしさ。組織はヒトラーの寵愛を求める副リーダーたちが勝手に動くジャングル。
0255文字
かずさの
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ヒトラーとナチ党の歴史。ヒトラーを首相にしたのは国の背景と、ナチ党が少数派政党にすぎず活用できると大統領が考えたからだ。当時ドイツでナチ党以外にも反ユダヤ主義政党は幾つもあった。ヒトラーは首相になり新法律の制定など急激に社会制度を変える。ホロコーストの犠牲者は各国に及ぶ。ヨーロッパを中心に主要国に反ユダヤ主義又は無関心が広がっていたのは、エヴィアン会議で大半の国がユダヤ人移住を拒否した事でも解る。自国の事で精一杯で余裕がなかったのだろう。ヒトラーの作戦が効果的だったのは継続せず、妄想家になっていった。
0255文字
シャビ
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ナチスドイツとヒトラーの概説書として良い。先進的だったワイマール共和国から、ドイツ第三帝国へと変貌する過程はかなり強烈
0255文字
HANA
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ヒトラーやナチスを通史として捉えた本は数多い。本書もまたそれらの歴史を記した一冊。数多いというが本によってそれぞれ重点を置く部分が違うため、違う本を読む度に発見があるのだけど。本書の重点を置いている部分はナチス政権がどのようにして成立したのか。と安楽死とホロコーストは何故起きたのか。ではないかと思う。それぞれが一大テーマでそれに関する本は何冊も出版されているが、こういう通史の中で見てみると門外漢にもわかりやすいなあ。本書では「ジャングル」と表現されているが、ナチスの行き当たりばったりが印象に残る本でした。
0255文字
フレデリック
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今では先進国であるドイツで、なぜヒトラーのような独裁者が存在し、しかも国民から圧倒的な支持を得ていたのか、なぜホロコーストが起こり、国民は反対の声を挙げなかったのか、そしてこれらのことはたかだか数十年前の出来事だったという違和感がずっとあったので、本書を手に取ったが、ヒトラーの「宗教的ではなく人種的なユダヤ人への偏見」や、当時のドイツと近隣他国との関係性や、どのようにナチ党が第一党になっていったかなど、非常によくわかりました。次はソ連のことも学びたい。
0255文字
db
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緊急事態条項(を含む改憲)とか絶対に許しちゃダメだし、「臭い過去に蓋」的な思考(というか臭いものの存在を認めたくないという「思想・思考以前の問題」というか)が非常にヤバいということを学ばないといけない。
0255文字
紙狸
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2015年刊行。ナチスがドイツでどうして権力を握ることができたのか。ホロコーストはなぜ起きたのか。一般読者に説明する。ホロコーストについては、①第2次大戦、特に独ソ戦が起きたこと②ユダヤ人移住(追放)構想の行き詰まり―という2つの柱を挙げる。独ソ戦の中で、親衛隊行動部隊が始めたユダヤ人の無差別殺害が「事実上のホロコースト」の始まりだった。ドイツに焦点をあてた本だから仕方がないのだが、ユダヤ人差別というのは欧州・ロシアのキリスト教文化圏の問題だったのでは、その側面への言及が薄いのでは、という疑問が残った。
0255文字
ひろ
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★5わかりやすく、理解できる
0255文字
まなぶ
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歴史を学ぶ時、色々な人物が出てくるので「誰?」ってなるので何となく人物のイメージは持っておいた方が良い。その上で入門としてヒトラーを学ぶにはちょうどいい、
0255文字
くらーく
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帯の疑問は、本書に寄って解き明かされていますが、ヴァイマール憲法って、そんなにダメだったのでしょうかね。大統領緊急令や授権法を生み出すような憲法。。。だったから、あの歴史なのですけどね。P.141~142にかけて、ヒトラーがヴァイマール憲法には条文の解釈と運用次第で独裁的権力が生じる可能性。。とありますが、日本国憲法はどうなのだろうか?ちょっと心配になるわ。何でも解釈次第みたいなところもあるしねえ。 ユダヤ人絶滅については、ヒトラーの考えですよね。人(ユダヤ人)のせいで、悪事は起きると。陰謀論ですね。
0255文字
ケルトリ
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ヒトラーが行ってきた策略やその背後関係、ホロコーストに至るまでの道筋。国民はなぜナチスを指示したのかといったことがわかりやすく書かれている。入門にはまずこれがいいと思う。
0255文字
具志堅
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ユダヤ人の追放についてこだわりをもって進めたヒトラーとそれと利害が一致した国家、国民とが共同して展開した一連の流れを少しだけ認識した。
0255文字
inenoha
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第一次世界大戦直後にヒトラーが政治活動を始めてから,ナチ党の独裁者としての地歩固め,不安定なヴァイマル政府における権力掌握の過程,そして独裁政権下で繰り広げられたさまざまな政策の背景にあるヒトラーの思想が詳述される.『検証 ナチスは良いこともしたのか』でも指摘されているような,ナチスの経済政策・失業対策の実情はもちろんのこと,人種政策やホロコーストの解説もたいへん充実している(読むのは気が滅入ることでもあるが).
0255文字
YT
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ナチスは「良いこと」もしたのか?やダーウィンの呪い、ハイデガー、レヴィナスやフランクルの関心から手に取る。 民主主義が崩壊し独裁へ走っていき、果てには人類史を大きく傷つけたホロコーストへ行き着く... 私達はこの大きな傷口から目を背けてはならない、それが21世紀を生きる我々の役目なのだろう。 新書にしてはボリュームがあるが、丁寧な記述で読みやすかった。が、電子書籍で買ったのは間違いだったかもしれない...。笑 私自身は戦争責任にも関心があるのでその後のドイツについても勉強して行きたいなと思う。
0255文字
TS10
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ナチス・ドイツの概説書。前半ではヒトラーの首相就任への軌跡を、後半ではそれ以降の内政、外政、ホロコーストについてを叙述する。ミュンヘン蜂起失敗後、機会主義的主張を繰り返しつつ台頭したヒトラーは、ヒンデンブルクら保守派の打算の結果、首相に就任することとなるも、あまりに敏速に議会政治を解体し、独裁者へと上り詰める。ヒトラーはあくまで反ユダヤ主義的妄想に基づいて、ヴァイマル共和政の打倒を試み、戦争を一貫して追求した革命家だったのである。
0255文字
さゆ
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ナチ党が野党代1党でないのにヒトラーが首相になれたのは、君主制を望む大統領と反ユダヤ、反民主主義で一致したためだと言うことには驚いた。また、ナチ党のやってたことは人権や自由意思を無視した、徹底的な思想的、経済的な合理化であり、それは一時的に効果をあげたが長く続くわけもないことを歴史が証明したといえるだろう。
0255文字
史縁
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世界史に詳しくない人でもわかるように当時のドイツの社会制度・経済・生活がわかりやすく記載されており、ナチスドイツの入門書としては最適。ヒトラーは政権を握る前から戦争をする意志があった。はじめからホロコーストを企図していたわけではなく、ユダヤ人をドイツの支配下から追放することが目的だったが、追放先が見つからずに抹殺に至ったなど、知らないことが多かった。 人種差別の意識は当時ほど公言されることはなくなったが、いまだに欧米各国の国民の意識に引き継がれている。過ちを繰り返さないためにも歴史を知ることが必要。
0255文字
孔明
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ネタバレ第一次大戦敗北後の政治活動に没入するヒトラーから始まり、ナチス政権獲得への道を綴る。ヒトラーは演説で弱小政党の中で存在感を発揮してやがて党首に。当初は暴力路線で革命的に政権奪取しようと「ミュンヘン一揆」を起こしたが失敗。投獄されて出所後に方針転換して政党として選挙で政権を合法的に奪取することに。但し、ライヴァルの共産党と社会民主党には突撃隊などの暴力行為で臨み本質は変わらない。首相任命直後は不安定だった政権を他党を弾圧して一党独裁体制にして民主主義を否定してからは戦争への道を只管に進むのだった。
0255文字
馬咲
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ヒトラーの台頭は議会制民主主義崩壊の原因ではなく、崩壊が行き着いた「結果」だと再確認。ヴァイマル共和国の議会政治は党派対立の収拾がつかず、どの内閣も大統領緊急令の濫用に頼る中で場外乱闘同然と化し、異常事態が常態化していた。ヒトラーの首相就任も、決め手は国民の支持ではなく、ナチ党の対極で議席を増やしていた共産党に対抗しようとする政財界の保守派の利害の一致による。またWWI後のヴェルサイユ体制下の国際政治はドイツにとって最初から困難な袋小路であり、それがドイツ国民の集団思考をより一層強化した面も否めない。
馬咲

暴力的な言動をする人物を権力者に変える背景には、その言動に説得力、解放感を感じてしまうほどに混沌とした社会の実状がある。確かにヒトラーは失業者対策や福祉政策を打ち出して統計上の数字を改善し、それで恩恵を得た国民から称賛された。しかしそれら政策全てが、ナチスの志向した民族共同体=優生社会の基礎を作るものであり、ナチスの価値観による「役に立たない人間」の選別・排除への社会的合意を得る布石となった。不治の病人や心身障害者の安楽死殺害やホロコースト等が「社会環境の合理化」の様相で行われた事実に、改めて戦慄する。

08/27 20:01
0255文字
スリルショー
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8月なので、戦争を意識したものを読もうと思って、手に取ったのが、これ。前からヒトラーに関するものを探していたのもあって、今までで読んだのは、三島由紀夫のわが友ヒットラーぐらいで、これは、三島由紀夫の戯曲で今回の動機とは、意味合いが違う。これはこれで三島由紀夫の政治に対する冷徹な考えが反映された傑作なのだが。読んでみると、読みやすく、入門書としては、ナチスドイツが犯した戦争犯罪を知るうえで最適だった。
0255文字
ナヌ
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どうしてあんな蛮行に至ったか、きっと要因は複合的でいまだに完全には理解できない。 ただ本を読んでいるうちに主要因のいくつかはイメージがつくようになってきたと思う。 以下、印象的だった箇所 ・後々問題になりそうな決定は口頭での指示に留めて証拠を残さなかった。指示を受けた側近たちはヒトラーに気に入られる為に過激な行動をとっていく。 ・ヒトラーの功績として挙げられがちな失業率の削減は、女性やユダヤ人といった人々を追い出す政策によるもの。 ユダヤ人の迫害により多数派のアーリア人は何かしらの恩恵を受けていた
0255文字
ブルタ
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ヒトラーが政権を取る過程からナチスの内政と外交やホロコーストなどが広く概説されている良書。ヒトラーとナチスが最低最悪だったということがよくわかる。
0255文字
十川×三(とがわばつぞう)
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良書。ヒトラーと、WWⅠからWWⅡ終戦までのドイツ。▼民主主義国家が大きく道を踏み外していく過程、ホロコーストを行なった側の観点、独裁者ヒトラーとは、が知ることができる。▼ナチ党はちゃんと選挙で選ばれている。第一党になってから暴走が始まる。「総統」を創設。▼独国民はユダヤ人「追放」は支持したが「虐殺」は支持していない。
十川×三(とがわばつぞう)

ヒトラーはドイツではなく、現在のオーストリアで生まれた。(釈迦はインドではなくネパール生まれ)▼「フォルクスワーゲン(VW)」とは「国民車」という意味。VW社誕生にヒトラーが絡んでいたとは。その際「VW・ビートル」を設計したのがF・ポルシェ氏という事にも驚いた。▼医師ヨーゼフ・メンゲレの双子に対するおぞましい人体実験。▼ナチ党は「障害者絶滅政策」を行なったが、やまゆり園で45名殺害した犯人は、ナチスの影響を受けていたのか??▼敗戦濃厚となり、ヒトラーは結婚後まもなく、夫婦で自殺した。

07/15 20:52
0255文字
はむ
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ネタバレ一人の男が独裁者となり、人類史上最悪の大虐殺を引き起こすまでの流れを、極めて明晰な筆致で記述されている。 「開戦までのヒトラー政権下の暮らしは多くのドイツ国民にとって最も良い時代であった」「ユダヤ人の弾圧によって生じる役職の空白化や没収された大量の財産などによる恩恵のために、国民はユダヤ人弾圧に異を唱えなかった」この二点が本当に恐ろしく感じた。 最終章「ホロコーストと絶滅戦争」は、辛くなり、何度も読む手を止めた。 これは誰しもが読むべき一冊。この歴史は、過去のものではなく、繰り返されうるのだから。
0255文字
る
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父から鞭で打たれる虐待と幼少期の虐待が与える影響について本書では「(アロイスは)ときに家族に暴力を振るうこともあった。」だけに留まり矮小化されているのが気になった。
0255文字
sovereigncountr
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ナチズム研究の大家による格好の入門書。ナチズムをヴァイマール体制との連続性のなかに位置付けたことで、民主主義が毀損され全体主義が忍び寄る現象が普遍的なものであることを示し、現代に警鐘を鳴らしている。
ゆゆ🩰🏳️‍🌈🏳️‍⚧️

きょうの感想読みやすくてまとめるの上手で感動した…!リスペクト💫🙏✨💓

05/22 17:26
0255文字
ヴァン
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 ヒトラーの生い立ちから終末までを明解にたどった一冊。ヒトラーとナチスドイツに関する本はおびただしいほど版行されていて、すべてに目をとおすのは無理だが、この本は難しい記述はなく、読みやすい。煽動政治に人がとりつかれてしまうと、どんな恐ろしい結末にたどり着いてしまうかがわかる。ネットのデマや陰謀論が流行る今日、再び危険な政治が世界に登場する危惧はあるということは考えられる。
0255文字
montetsutsu
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ヒトラーがいかにして独裁者となっていったのか、その流れとその後の政権運営、内政から外交そしてホロコーストまで簡潔に学べる本。ナチスが第一党となった選挙で得票は前回より落ち込んでいたというのは興味深い。圧倒的に支持されたわけでもないヒトラーが首相になると、巧妙に伝統的保守派を駆逐していった流れなどは初めて知った。「ナチスはよいことをした」というのは虚構であるというのも再確認。
0255文字
クリスタル東京
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難しい記述はなくどんどんページが進む。なぜ最後には国会は機能しなくなり、一党独裁になったのかのプロセスが興味深い。
0255文字
元老院議員
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ユダヤ人の追放政策に関してはドイツ国民としても抗議しなかったこととその理由について分析した上で、絶滅政策についてはそのような「ドイツ社会の合意」は存在しなかった、それは反ユダヤ妄想に凝り固まったヒトラーが強く望んだが故のことである、戦争に負けたとしてもユダヤ人種との戦いに勝てばそれで良かったのであるという結語には非常に得心が行った。その通りだと思う。
0255文字
つみれ
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非常に分かりやすくまとめられていて、高校世界史を履修していない自分でも大戦間の流れを理解しやすかった。それにしても、ヒトラーが最初期に色々登用されていくのがえっなんで??ってなる。権力を得てからは資料も多く、関係する人や組織も多く、なるほど怖いな、となるが。同じ傾向が今の世界や日本に見られるのが余計怖い。▼独ソ戦の本を積んでるんだかそろそろ読むか…。
0255文字
ゆっち
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ネタバレヒトラーがドイツの独裁者となった経緯と、ナチ党がホロコーストを起こしていく流れが、主観の入らないわかりやすい言葉で説明されている。ヒトラーと側近が暴力とプロパガンダを効果的に使いながら人心を掌握していく様も驚きだったけど、何よりヒトラーが信じ切っていたという陰謀論が衝撃。全ての諸悪の根源はユダヤ人であり、根源を絶った我らに未来は感謝するはず、と断言しているのが怖すぎる。これが遺言とは。現代も陰謀論を信じてしまう人が多くいるのを実感しているので、今に直結する恐怖です。
0255文字
tieckP(ティークP)
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ヒトラーという人物を中心に見た第一次大戦から1945年4月までのドイツの本。人物を描いているという点が良さでも悪さでもあり、とても読みやすい反面、第二次大戦については、ホロコーストの紹介と、そこへ導いたヒトラーとその他の人物(周囲&ドイツ国民)の動機の説明でほぼ終わってしまい、軍事的な説明や、その後の戦犯の扱いなどはない。「白バラ」運動も暗殺計画も短い1段落ずつ。ヒンデンベルク、パーペン、レームなどに比べてゲッベルスやゲーリングの説明も乏しい。ただ、解釈は正確に思われるし、感情を煽らないトーンは好ましい。
0255文字
おっきぃ
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厚めの本だったので読むのが大変かと思ったけど、語り口が平易で読みやすいし、何よりも内容が知らないことばかりでどんどん読み進めてしまった。 ヒトラーという人がどこの出身でどういった経歴だったのか、ナチ党がどうやって出来上がったのか、どうしてホロコーストが起きたのか、今まで何も知らなかったことに気付かされた。 この本に書かれていることぐらいは常識として、全員知っておくべきと思う。ヒトラーとナチ時代のドイツは何一つ肯定されることはないはずだけど、そう言えるためにはきちんと勉強して知らないといけないのだろう。
0255文字
yurucool
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ネタバレ村瀬「アドルフ・ヒトラー」とは異なりヒトラー個人に焦点を当てているためかなり読みやすい。ナチスが徐々に浸透・指示を集めていたのは周知の通りだが、保守派・軍部・日頃からユダヤ人に反感をもった国民が、最終的にナチ時代を招いてしまった怖さが良く伝わってくる。国会がナチだけでなく保守派の政治家からも無用の長物にみられていたのであろうが、最終的に授権法を得たのが、一級鉄十字勲章を受けたものと言え、一時的に政治学の通信講座的なものを受けた。「ボヘミアの上等兵」と内心では、ヒンデンブルクが馬鹿に<続
yurucool

していたと思われる。アドルフ・ヒトラーではあるが、その周囲とヒトラー自身が本格的に戦線が広がって躓きを感じる前まで、粗はあるが良くやって行ってしまっているので、ドイツ国民も、民衆宰相と持てはやしてしまう。ユダヤ人もアインシュタインのように、見切って国外で活躍できる人物だけではないので、自分達の運命を決定ずけてしまったように見受けられる。もっとも、著者の主張するとおり、ヒトラー自身が、平和主義者の衣を脱がなかったであろうが、(レーム事件を過大に評価した人達もいそう)本書・6・7章で語られていることだが、<続

10/23 15:09
yurucool

ナチス時代の陰りが見えても、続けられたらしい。ヒトラー自身も、ナチス政権の把握が困難で、結果的にヒムラーなどにだけ権力が集中してしまって、相互の連携がきかない政体だったらしいが、ドイツと欧州の悲劇がたった一人の人物によって形作られたと言っても間違いではないであろう。保守派がもう少し奸智に長けていたなら、もっと違った未来だったかもしれないが、言っても仕方ないことであろう。大なり小なりと言えど、ヒトラーの世話になったと感じている人が多かった時代なのである。

10/23 15:12
0255文字
ヒナコ
新着
ヒトラーの個人史を中心に、ナチ党の結成から政権獲得を経て、第二次世界大戦へと突き進んでいったドイツの現代史が解説された新書。 特に面白かったのは、ヒトラーが政権を獲得する背景が解説された第4章だった。ナチ党は議会で過半数を占めていなかったのに、彼らが全権委任法(授権法)まで制定させてしまったのは、ドイツ国内での既得権益層である軍人や右派が、ヒトラーを利用しようとしたことにあるというのは、ナチスの凶悪性だけで歴史を解釈しないようにするためには必要な視点かと思った。→
ヒナコ

第6・7章では、大戦中のナチ党が関わったマイノリティ絶滅政策が議論されている。ナチスはユダヤ人だけでなく、障害者や同性愛者を殺していった。それらは、ナチ党が共有していた「「劣等な遺伝子」は次の世代に残すべきではない」という優生思想や、そこからもっと踏み込んだ「社会資源の無駄遣いになる個人の生存権は認めない」という極端すぎる効率主義を背景に持っており、ヒトラー個人の反共主義と反セム主義を合わせたような思想も強く影響していた。→

10/08 13:01
ヒナコ

しかし、絶滅政策は、ユダヤ人たちの私有財産を没収(「ゲルマン化」)し、それをドイツ国民に分け与えるという強権的な再分配でもあり、当時のドイツ人たちの多くは、絶滅政策から恩恵を受けてもいたので、絶滅政策に対して強い反対がドイツ社会で起こらなかったと、本書では指摘されてもいる。 以上のような内容で、戦前・戦中のドイツ現代史をおさらいする上では、なかなかまとまった内容で、意義深い読書だった。

10/08 13:03
3件のコメントを全て見る
0255文字
aki
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20世紀前半のドイツ史の復習のために読了。ヒトラーの登場からナチ体制の確立、ホローコストと要領よく纏めらており新書らしい一冊。近代以降、陰謀論や人種差別・民族差別、反共・反左翼を題目にして政治の舞台に登場する人がいるのは、地域を選ばず見られる現象であり、その時に「市民社会」の強度が問われるのであろう。日本に即して言えば、大塚久雄、丸山真男、川島武宜などの近代派を冷笑し続けられるほどの強度が現在の社会にあるや否やかである。月並みだが、ヒンデンブルグやパーペンのような人がいないことを望む。
0255文字
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ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書 2318)評価41感想・レビュー314