形式:単行本
出版社:集英社インターナショナル
形式:文庫
出版社:集英社
形式:Kindle版
日本の前近代には賠償の意識が希薄←ソマリとの違い、血は血でしか贖えない/盗まれた物は元の物ではないというケガレの意識/ミニ中華帝国を諦めたことが日本の封建社会化のはじまり/アト、サキと時間観念の話/鎌倉仏教はアミニズム?ラディカルさに潜む宗教解体の契機/タイでは寺がアジール/戦国時代に特徴的な男色文化/中世は古文書の総量が丁度いい/雪男を信じる人ほど具体的には語らない/辺境も中世も「ここでないどこか」→現代日本を相対化できる…… 細かな面白かったトピックを書き出すとキリがない。
昨今Twitterとかで学者先生方の話してることを見ていると、ある特定の時代や地域の社会を「こういう性格なんですよ」と大掴みに捉えて語ることは、非学問的だとして忌避する人が多いのかなあと薄らぼんやり思っていたが、本書ではそういう大掴みな話が連発されまくっていたので、ちょっとヒヤヒヤしつつも、外野のパンピーにはやっぱりこの手の語りの方が有難いんだよな!と思いながら読んだ。(それでも高野さんのミャンマー軍事政権評やシリアアサド政権評は最近のニュースなんかを踏まえるとちょっと危なくないかとは思った)
日本人がそれぞれ自分の器を使うのは、原始時代や古代にまで遡る風習だって言われてますね。……ちょっと前まで、立ち食いそば屋で、食べ終わった後。割り箸を折ってから店を出ていくおじさんがいたじゃないですか。あれは実は本来の割り箸の使い方で、自分が使い終わったものを誰かが使い回すのは不吉なので、その形状を破壊するっていう。(p.290)
僕は授業で学生にアンケートを書いてもらうんですけど、一番残念なのは「今の時代に生まれてよかったと思いました」という感想なんです。……一方で、「今の私たちの価値観が絶対ではないということがわかりました」と書いてくれる学生も必ずいて、これは一番うれしい回答です。(p.304) フィクションの世界だと、ありとあらゆることが実験的にやり尽くされているんですよね。だけど、ノンフィクションでは、みんな同じことしかやっていないから、いろいろなことをやる余地があると思うんですよ。(p.274)
https://www.shueisha-int.co.jp/blog/?cat=97を見ると、すでにある作品からみたいですね。世界観が似ていてびっくりです。
そうなのですね!いずれにしてもこの本にピッタリですね。「室町は今日もハードボイルド」のカバーも良かったです。
「日本の中世や近世および現代南/東南アジアでは新米より古米が高い」もすごい発見。犬猫事情とか過去/未来-前/後問題とか男色の論理とか、どこをとっても面白い。
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