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試験に出ない和歌(短歌)

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禿童子
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笹井宏之の第1歌集『ひとさらい』を読みました。2回さらうと自分の目に引っかかってくるのが、「わたがしであったことなど知る由もなく海岸に流れ着く棒」です。「えーえんと」の次の歌なので何度見もします。 最初、「わたがし」を「わたし」と誤読していました。私が私であったことを忘れ果てた認知症の老人を想像しました。海岸に流れ着いた「棒」は「わたしでなくなった私のことか」と。 よく見ると「綿菓子」なんですね。綿菓子を巻き付ける棒が、食べ終わった後には捨てられて流れ流れて海岸にたどり着いた。