高石かつ枝のブルースのように
素敵な君は
夜に抜け出して
橋の袂で
つれないひとを待つ
瞳は星に射抜かれる
空しく撓む真知子巻き
熱き黒髪
弄ぶ北風
素敵な君は
白衣に身を包み
月の真下の
逢引に高鳴る
柱時計や腕時計
懐中時計の眠る墓地
君は落ちてゆく
夜に輪姦されて
素敵な君は
今宵も窓のもと
街の影法師に
囁かれ振り返る
まことのこころ結ぶ日よ
指折る現の道行よ
契りの印が
君に取り縋る
素敵な君は
夜に駆け出して
駅の改札で
つれないひとを待つ
見も知らぬ石の顔と顔
屍たちが擦れ違う
旅の夜風が
君の肌を刺す
(1990年代)
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