中高生であれば、「学校に行きたくないなあ」と感じたことがある人はけっこう多いと思います。そんな方にお勧めしたいのが、『かがみの孤城』です。
主人公は、安西こころという中学1年生の女の子。学校での生き辛さを感じて、不登校になってしまいました。部屋にずっと閉じこもって生活しているのですが、ある日、自分の部屋のかがみが輝いたのです。
その光の先に手を伸ばすと、そこには別の世界が広がっていて、かがみの孤城という大きな城が一つ建っていました。こころをその世界に連れてきたのは、狼のお面をかぶった「オオカミさま」という女の子でした。こころの他にも6人、こころと同じように事情があって学校に行けなくなった子どもたちが集められ、一緒に生活を始めます。
かがみの孤城には一つだけ「願いの鍵」というものがあって、それを見つけた人1人の願いが叶います。願いの鍵探しには2つルールがあります。1つ目は「願いの鍵を探せるのは、ここに呼ばれた子どもたちで、期間は5月から次の年の3月30日まで」。2つ目は「かがみの孤城に入れるのは朝の9時から夕方の5時まで」というものです。もし夕方の5時を過ぎても居残った場合は、狼に食べられてしまうというペナルティ付きのものでした。
辻村さんはミステリー作家なのですが、この方の作品はヒントがいつの間にかたくさん散りばめられていて、それが後半どんどんどんどん綺麗に回収されていくのが特徴です。この本にもいくつかのヒントがあります。例えば、3月30日というのは学年が切り替わる直前ですが、これがなぜ31日ではなくて30日なのか。オオカミさまの仮面の下は一体誰なのか。学校に行ってないたくさんの子どもたちの中でなぜこの7人が集められたのか。また、フリースクールの先生の正体とは。そういった一つ一つの謎が解き明かされ、最後は絶対に予想を覆します。
この世の中に生きづらさを感じた事がある人、また友達や家族とトラブルがあった人。それ以外の人にも是非読んでほしい一作です。
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