また、少し時代が飛ぶが、養豚で思い浮かぶのは荒川弘の「銀の匙」だが、銀匙があくまで「少年漫画」の枠の中で、リアルな農家をエンタメとして描いているのに対し、和田の「風の道」は、時代に翻弄される農民の姿とその時代背景に焦点を当てた「農民文学」になっている。……何がいいたいのかというと、銀匙を読んで「養豚や農業やってみたい!」と思う人はいても、「風の道」を読んでそう思う人はいないだろう、ということを思ったのである。全集八巻の解説に、この時代(昭和30年代)は、第三の新人が出てきて、戦後が終わったという風潮が→
あったが、農村ではまだ戦後が色濃く残っていた、という話が書かれていて、深く頷く。1960年代昭和30年代とつい書いてしまうけれど、年号をならべると昭和30年=1955年、昭和35年=1960年、昭和40年=1965年、昭和43年=1968年……。現在、私の故郷では戦後の気配は遠のいたが、それでも和田の描いた昭和30年代の名残りはまだ至るところに感じられる。私にとって、戦前・戦中・戦後と現代をつなぐところに、和田傳の作品はある。
本棚を活用すべく、読了してない本を突っ込んでいくスタイルに変えました。感想書いてない本はだいたい最後まで読んでないよ!(2020.10~)愚痴呟き多いので、フォローする際はご注意ください💦解除もお気軽にドゾー。好き:中上健次、石牟礼道子、三浦哲郎、黒田夏子、水村美苗、伊藤比呂美、蓮實重彦、ヤマシタトモコ、ジョージ朝倉、TONO
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また、少し時代が飛ぶが、養豚で思い浮かぶのは荒川弘の「銀の匙」だが、銀匙があくまで「少年漫画」の枠の中で、リアルな農家をエンタメとして描いているのに対し、和田の「風の道」は、時代に翻弄される農民の姿とその時代背景に焦点を当てた「農民文学」になっている。……何がいいたいのかというと、銀匙を読んで「養豚や農業やってみたい!」と思う人はいても、「風の道」を読んでそう思う人はいないだろう、ということを思ったのである。全集八巻の解説に、この時代(昭和30年代)は、第三の新人が出てきて、戦後が終わったという風潮が→
あったが、農村ではまだ戦後が色濃く残っていた、という話が書かれていて、深く頷く。1960年代昭和30年代とつい書いてしまうけれど、年号をならべると昭和30年=1955年、昭和35年=1960年、昭和40年=1965年、昭和43年=1968年……。現在、私の故郷では戦後の気配は遠のいたが、それでも和田の描いた昭和30年代の名残りはまだ至るところに感じられる。私にとって、戦前・戦中・戦後と現代をつなぐところに、和田傳の作品はある。