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Utsuro
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Utsuro
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ネタバレ土着の人々とその側の幻惑さの揺らぎを書き続ける、筆者の実話怪談本の単著。 今回は怪異の認識をめぐる話が少なくない印象を持つ。もっとも認識ということで括るには、いささか重い部分も多々あるが。 本書でやはり心に来るのは、視えるだけなくそれをにらみ返さないと憑いてこられるゆえに、周囲との関係を遠ざけてしまい悩み続けた女性が、小学校時代のキャンプで、すれ違った女子が視える人であることを互いに知り、その一瞬を糧に生きてきた断章「あの娘の思い出」で、
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「彼女とはそれきりだが、その思い出だけが自分を支えてきたのだとYさんは言う。/Yさんは今年、30歳になった。」との最後の一文が切ない。 支えとの点では、神的な加護の体験後の交通事後を経て、死後は何もなく無意味であると確信する女性の長い独白「憑き纏い」もそうで、視える世界を反転させたものでも支えになる様は、確かに怪異ではないうえに、咀嚼するのに正直時間がかかり、今も考えあぐねる内容で、この女性の世界に共鳴する人に本著を捧げたいとする筆者の一言も加わり、よりいっそう考えあぐねさせる。少なくとも「ある/ない」の

12/18 11:04
  • くろばーちゃん
  • 夢追人009
  • 釣れんボーイ
  • 雨
  • 澤水月
  • ずしょのかみ
  • 眠る山猫屋
Utsuro

二元論で留めるだけではよくないかと思うのみである。 怪異の認識との点で気になったものでは、予兆の受け止め方をめぐる困惑や葛藤の「先入観と仮説」「アベ?」。実家の神社へ反抗的な体験者が、それを怪異の原因とは思わず、周辺の人々だけが考え込む「しましま」。 それ以外の話では、過疎地域の空白に怪異が入り込む様を過去に描いた筆者が、同様の町の空白にその様を確認する「公園の残像」。家族の死亡年を予言する「祖父の書き置き」(久田樹生さんの類話では蔵書の書き込みであったが)。直球な学校理科室の怪談「浮遊体C」。

12/18 11:16
  • くろばーちゃん
  • 夢追人009
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  • 雨
  • 澤水月
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さんの最近の感想・レビュー

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読書データ

プロフィール

登録日
2018/01/03(2547日経過)
記録初日
2018/01/08(2542日経過)
読んだ本
955冊(1日平均0.38冊)
読んだページ
232745ページ(1日平均91ページ)
感想・レビュー
955件(投稿率100.0%)
本棚
14棚
性別
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