短現は下積みとは無縁のエリートだが、基本は2年で退役だから出世にあくせくする必要がなく、海軍内では独特の立ち位置にあった。著者が上官や部下に愛されたのは、その人柄に加え、短現ならではの浮世離れしたところが気に入られたのかもしれない。「照月」時代、主計長でありながら戦闘配食のおにぎりを自らにぎったというのが面白い。また、同じ艦に乗り合わせた田中頼三(二水戦司令官)に対しては極度に批判的。後世の評価はともかく、身内への受けはあまりよくない提督であったようだ。
巻末の「海軍交遊録」では同じ短現第8期生の一部が紹介されているが、戦後の経歴を見ると社長や国税庁長官、大使、次官、大学の学長など綺羅星の如き大物ばかり(著者自身も住友重機系列会社の社長)。また、中曽根は2期上の先輩だった。彼らの団結は強く、海軍時代の郷愁にどっぷり浸かっている様が分かる。この階層が戦後日本の「海軍贔屓」に与えた影響については、本格的に分析する価値があるように思う。
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短現は下積みとは無縁のエリートだが、基本は2年で退役だから出世にあくせくする必要がなく、海軍内では独特の立ち位置にあった。著者が上官や部下に愛されたのは、その人柄に加え、短現ならではの浮世離れしたところが気に入られたのかもしれない。「照月」時代、主計長でありながら戦闘配食のおにぎりを自らにぎったというのが面白い。また、同じ艦に乗り合わせた田中頼三(二水戦司令官)に対しては極度に批判的。後世の評価はともかく、身内への受けはあまりよくない提督であったようだ。
巻末の「海軍交遊録」では同じ短現第8期生の一部が紹介されているが、戦後の経歴を見ると社長や国税庁長官、大使、次官、大学の学長など綺羅星の如き大物ばかり(著者自身も住友重機系列会社の社長)。また、中曽根は2期上の先輩だった。彼らの団結は強く、海軍時代の郷愁にどっぷり浸かっている様が分かる。この階層が戦後日本の「海軍贔屓」に与えた影響については、本格的に分析する価値があるように思う。