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白義
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白義
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吉本隆明と並んで、日本の大衆、庶民の原像から思想を汲み上げ鍛えぬいてきた思想家、鶴見俊輔。この巻も、日本の大衆が育んできた知性の萌芽、そういったものを本当の意味での思想の肥やしにしようとする、印象深いエッセイ集になっていますね。例えば、単行本から丸々収録の家の神では、生まれた時から死まで、人のライフサイクルを追いながら家という不思議な場の力、それを順々に取り上げて考察していて、そこに日本の底としての大衆の流れと戦後民主主義による変容両方を言語化し可能性を引き出す、そういう柔軟な本になっていますね
白義

この、あくまで生活、日常に密着しながらそこから思想の言葉を汲み取るというのは始終一貫していて、いわゆる左派的市民主義でもミーイズムでもない、戦後民主主義の最良の側面が、人々の生の煌めきを描く筆致の中に自然と浮かび上がるという、そういう稀有のスタイルが出来上がっています。本当の意味で、思想や民主主義というのを生きている場から考えていくなら、鶴見俊輔を避けて通ることはできないのではないでしょうか

06/18 05:38
  • 壱萬参仟縁
白義

なーんて、大層な言葉を並べなくても、市井の人への暖かい眼差しや身近な人々の回想はそれ自体が見ていて顔がほっこりするものです。名もなき一般人の詩すらプロと同列に批評したり最初から最後まで、公平でしなやかな感性に満ちたエッセイ揃いなのが単純に気持ちいいものです。特に母との思い出を描いたエッセイはお気に入りです

06/18 05:41
  • 壱萬参仟縁
0255文字
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白義
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読書データ

プロフィール

登録日
2010/12/11(5127日経過)
記録初日
2010/12/11(5127日経過)
読んだ本
4803冊(1日平均0.94冊)
読んだページ
1227722ページ(1日平均239ページ)
感想・レビュー
4784件(投稿率99.6%)
本棚
41棚
自己紹介

テーマパークに来たみたいだぜ

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