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May
さんの感想・レビュー

May
新着
SS戦車隊の一員であった著者が、戦友の手記、インタビュー、戦闘記録などをまとめたもの。長たる人間ではなく、装填手であったり、操縦手による生の声を聞くことができることが本書の特徴だ。本書は第3次ハリコフ戦からベルリン戦まで、順を追った章立てとなっているのだが、読み進めるにつれ、戦闘の様相が変化していくのがわかるのが興味深い。
May

第3章1943年ロシアあたりまでは、登場するSS戦車隊は戦闘に勝っている。「ロシア軍(ソビエト軍とは書かれておらず、ロシア軍と書かれている。)がn両の戦車で攻撃してきたが、m両を破壊して撃退した」といった記述が(印象として)多く、SS戦車隊が戦車を失っているのは、(印象として)ほとんどロシアの泥が原因であり、SS戦車隊はやられていない、他の部隊がやられているのだと思ってしまいそうになる。

08/28 15:17
May

それが、だんだんと暗く、重苦しくなっていく。ノルマンディともなると、あれほどロシアの大地で活躍していたSS戦車隊がシャーマンごときにやられだすのだ。ロシアの章では、手強い敵(=ファイアフライ)などという表現は見かけなかった気がするのに。ベルリン戦ともなれば、非常に重苦しく、本当の戦争が姿を現している。マクロとしての戦争の趨勢がミクロとしての戦闘に影響を与えているのか、それともその逆なのかよくはわからないが、鈍すれば貧すということなのだろうか。

08/28 15:17
May

砲弾が命中した際の車内の衝撃、意外とよく外れるキャタピラと戦闘中での修理の模様、歩兵による近接支援の重要性など、実際に戦車に乗って戦渦の中にあった兵士達の声を聞くことができ、非常によい読書であった。'04年10月読了。

08/28 15:18
0255文字
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May
さんの最近の感想・レビュー

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/09/10(4948日経過)
記録初日
1979/04/01(16798日経過)
読んだ本
1141冊(1日平均0.07冊)
読んだページ
362634ページ(1日平均21ページ)
感想・レビュー
1118件(投稿率98.0%)
本棚
9棚
性別
現住所
青森県
自己紹介

読書は小学4年生のルパン(ポプラ社のあれ)から。あの時の興奮は、悲しいかな、もはや経験できないでしょうねぇ。ルパン、かっこよかったなぁ。

最近はフィクション、ノンフィクション半々くらいで、歴史・軍事系と食系を中心テーマにしているつもりでいますが、強い意志は無し。

死んだあと本がごみにならないようにすること(売る、プレゼントする)、読んだ本の全登録に少しずつ取り組んでいます。

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