読書メーター KADOKAWA Group

ぽっか
さんの感想・レビュー

ぽっか
新着
「さようなら」は世界でも珍しい別れの言葉らしい。別れの痛みを再会の希望によって紛らわしたりしないで、どうにもならないという諦めの気持ちを端的に言い表す。それは一見、運命に対してなすすべもないという究極のニヒリズムに思えるかもしれない。だけど実は、これまでのできごとを自分なりに総括し、満ち足りた気持ちで区切りをつけ明日へと向かうという主体的な意味合いも込められているという。それが無常観という言葉で語られる日本人の死生観でもある。今日を今日として生ききることの先に明日がある。別れは必然でもあり偶然でもある。
ぽっか

オーストラリアのカフェで、「Byeは日本語でなんて言うの?」って聞かれたから教えてあげたら、カフェを出るときに「サヨウナラ!」と言われた。そのとき感じた違和感の正体を知りたくて。私たちは、「さようなら」「じゃあね」ってどういうときに使ってるんだろう。正直この本で想定されている別れの場面が重々しすぎて(基本的には死別)、普段使いの「じゃあね」にも無常観があるかと言われると自信ない。でも「また今度」が続かない「じゃあね」には、未来の再会を否定しないけども約束しない、宙ぶらりんな寂しさがあるかもなあ、なんて。

05/13 17:47
  • オスカー
ぽっか

現代は通信技術やSNSの発達によって、別れが軽くなったって見る向きもあるらしい。身が引きちぎられるほどの別れの痛みなんて、感じずにすむならそれもありだと思うけど、幸いなことに(?)経験したことがある。毎日一緒にいた親友が自分の国に帰ることになったとき、この先一生ふたりの人生は交わらないんだと思った。決定的に変わってしまって、もう取り返しがつかないんだって。あのとき、夜のバス停で、どんな言葉で別れたかな。「じゃあね」も「バイバイ」も「元気でね」も、思いつく別れの言葉をすべて言った気がする。

05/13 17:58
  • オスカー
0255文字
全2件中 1-2 件を表示

ぽっか
さんの最近の感想・レビュー

教養主義のリハビリテーション (筑摩選書)

教養主義のリハビリテーション (筑摩選書)

大澤 聡
鷲田清一、竹内洋、吉見俊哉との対話によって崩壊しつつある教養について考える。大…続きを読む
めぐりながれるものの人類学

めぐりながれるものの人類学

石井美保
思考やイメージのかけらと著者は呼ぶ。ここに書かれているのは、境界の揺らぎ。他文…続きを読む
最後はなぜかうまくいくイタリア人 (日経ビジネス人文庫)

最後はなぜかうまくいくイタリア人 (日経ビジネス人文庫)

宮嶋勲
イタリア人ってどういうひとなのか。「独断」と「偏見」に満ちていることは本人も認…続きを読む
スタンフォード式 最高の睡眠

スタンフォード式 最高の睡眠

西野精治
出張先のホテルに置いてあったので読んでみた。なんせホテルで眠れないもんで!内容…続きを読む
社会を知るためには (ちくまプリマー新書)

社会を知るためには (ちくまプリマー新書)

筒井淳也
文系批判のひとつが、ふわっとしてて主観的ということではないだろうか。それに反論…続きを読む
いのちを“つくって"もいいですか? 生命科学のジレンマを考える哲学講義

いのちを“つくって"もいいですか? 生命科学のジレンマを考える哲学講義

島薗 進
「人間の品種改良」というとSF小説のようだけど、人類はそれができるだけの技術を…続きを読む

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/11/23(3775日経過)
記録初日
2015/02/11(3695日経過)
読んだ本
215冊(1日平均0.06冊)
読んだページ
51749ページ(1日平均14ページ)
感想・レビュー
196件(投稿率91.2%)
本棚
0棚
性別
年齢
34歳
現住所
京都府
URL/ブログ
https://chibitoto711.wixsite.com/drops
自己紹介

はじめまして、ぽっかです。
住めば何処も都だけど、川原に雑草が生えて、遠くに山が望めて、空を鳥が飛び交うような場所が好き。
何も考えない時間が好き。
人生は一度きりの瞬間の積み重ねだからこそ、丁寧に生活していきたい。

児童文学中心に読んできましたが、最近はいろいろ読めたらいいなと思ってます。

本の趣味が似ている方はもちろんのこと、
自分にない視点をもっている方の感想を読むのが楽しいです。
どうぞよろしくおねがいします。

好きな作家さん
夏目漱石、谷崎潤一郎、三浦しをん、よしもとばなな、さくらももこ、シェイクスピア、ミヒャエル・エンデ、谷川俊太郎、岡田淳、高楼方子

好きな本
はやしあきこ『まほうのえのぐ』
斎藤惇夫『冒険者たち』
ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』
アゴタ・クリストフ『悪童日記』


What do you read, my lord?
---Words, words, words.
(Hamletより)

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう