「幸福度の基準が異なる。それは、生きる世界が変わるということです。」共同体感覚が個人の幸福度に影響するという話があったが、どんな共同体にもその拡大、発展、成長にはいずれは限界があり、皆うすうすそれに気がついているがもう止まれない。今現在会社などの共同体に所属していて、貢献のために仕事を頑張っている人や自身の成長のためにいとまがない人は、この本を読むと冷めてしまうかもしれない。変に考え込んだりしないので、そのまま突っ走れるなら突っ走った方がいいと感じた。
「そうして漲る心臓の血潮の奥に、活動々々と打ちつづける鼓動を聞いた。」 「その倫理上の考は、今の若い人たちと大分違ったところがあるかも知れません。然しどう間違っても私自身のものです。間に合せに借りた損料着ではありません。」 「私は冷やかな頭で新しいことを口にするよりも、熱した舌で平凡な説を述べる方が生きていると信じています。血の力で体が動くからです。」 「私の眼は彼の室の中を一目見るや否や、あたかも硝子で作った義眼のように、動く能力を失いました。」
又吉さんの創作に対する姿勢や向き合い方、太宰や芥川などの文豪、そして現在も活躍している現代作家さんたちへの気持ちも書かれていてとても面白かった。太宰や芥川に個人的な願望を述べているあたりとか、本当に好きなんだなと。
「「共感できない」という言葉で、その作品を規定しない方がいいと思うんです。むしろわからないことの方が、自分の幅を広げる可能性があります。」 「作者は意図を持ってその描写、表現をしています。僕達読者はそれを面倒くさいと思ったらもったいない。」
「そもそも同性愛個体同士が婚姻関係を結ぶために、どうして異性愛個体の許可が必要なのでしょう。異性愛個体同士の結婚に同性愛個体は賛成も反対もしていないのに。そんな余地もないのに。」 「だから、どんな達成にも完了にも首を横に振って、"今よりももっと"を常に続けるほうを選んで、意味や価値がある社会的動物でいなきゃ、新たな生産性のために自分を新商品化しなきゃで、いつもいつまでも成長成長成長の呪いのもとで"次"を見つけるために背筋を伸ばし続けているんじゃないかなって」
「幸福度の基準が異なる。それは、生きる世界が変わるということです。」共同体感覚が個人の幸福度に影響するという話があったが、どんな共同体にもその拡大、発展、成長にはいずれは限界があり、皆うすうすそれに気がついているがもう止まれない。今現在会社などの共同体に所属していて、貢献のために仕事を頑張っている人や自身の成長のためにいとまがない人は、この本を読むと冷めてしまうかもしれない。変に考え込んだりしないので、そのまま突っ走れるなら突っ走った方がいいと感じた。
「キクは鮫の緑色の血の中で2つのことを知った。死に抗うのを止めると体から苦しさが消えること、心臓の鼓動が聞こえる間は諦めずに苦しさと戦い続けなければいけないこと、の二つだ」 「何一つ変わってはいない。誰もが胸を切り開き新しい風を受けて自分の心臓の音を響かせたいと願っている。渋滞する高速道路をフルスロットルで走り抜け疾走するバイクライダーのように生きたいのだ。」 「生きろ、そう叫びながら、心臓はビートを刻んでいる。筋肉や血管や声帯がそのビートを忘れることはないのだ。」
社会人一年目です
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「そもそも同性愛個体同士が婚姻関係を結ぶために、どうして異性愛個体の許可が必要なのでしょう。異性愛個体同士の結婚に同性愛個体は賛成も反対もしていないのに。そんな余地もないのに。」 「だから、どんな達成にも完了にも首を横に振って、"今よりももっと"を常に続けるほうを選んで、意味や価値がある社会的動物でいなきゃ、新たな生産性のために自分を新商品化しなきゃで、いつもいつまでも成長成長成長の呪いのもとで"次"を見つけるために背筋を伸ばし続けているんじゃないかなって」