境遇の苦しさに最初は読み進めていけるのか不安になった。一部の方が救いのない物語で、二部は一部からの救済が少し混ざっていたからか、幾分かは気持ちが楽に読めた。序盤に出て来た登場人物や物が最後のキーとなる書き口はやはり十八番であり、すばらしい。あとがきで作者自身が書いているように、社会に強く問題提起をするわけでも、大きな救いがあるわけでもないが、だからか読み終わった後になぜか少し前を向ける。そんなところがやっぱり好きなんだなあと感じた。

再読。鴨居が恋しくなる。相変わらずの陣内の本質をついているんだかいないんだかの言動に終始目を奪われながら読み進めた。やはり私は伊坂作品の、道徳的すぎない、綺麗すぎない、けどちょっと救いがある感じがとても好きだ。

数年前に読んだ時よりも、陣内に対する好感度が増してしまった気がする、悔しいことに。伊坂幸太郎作品の中で好きな度合いは上位にランクインしているチルドレンだったが、改めて読むとやはりその穏やかさというか、清々しさというか、青さというか、そういうのにすごく惹かれてしまう。登場人物全員がとても美しく、陣内の好感度が上がることに悔しいと思うほど陣内を近くに感じている、再読できてよかった。

境遇の苦しさに最初は読み進めていけるのか不安になった。一部の方が救いのない物語で、二部は一部からの救済が少し混ざっていたからか、幾分かは気持ちが楽に読めた。序盤に出て来た登場人物や物が最後のキーとなる書き口はやはり十八番であり、すばらしい。あとがきで作者自身が書いているように、社会に強く問題提起をするわけでも、大きな救いがあるわけでもないが、だからか読み終わった後になぜか少し前を向ける。そんなところがやっぱり好きなんだなあと感じた。