莉子のことがどうしても好きになれず、何でも人のせいにするダメな人間だと思っていた。かわいければいい。その言葉に、彼女は呪われ、たぶん人生の選択を間違い続けてきた。母親から失敗作と言われたときの莉子の身長を思うと、胸が痛い。ただそれでも、彼女は無意識のうちに多くの人を傷つけた。彼女の夫もそう。加害者はいつだって無自覚だ。

　人は小説に救われ、小説に導かれる。小説を読むだけではダメなのか？小説を読むものがいて初めて小説を書くものが現れる。内海はには小説を書く力はなかったが、彼は誰よりも読む力があった。読む才能がある。私はそれが彼の1番の強みだと思う。

　もしも私があの子だったら。もっと違う人生だったんじゃないか。もっと幸せにうまく生きられたんじゃないか。 　私たちは大小そんな思いを抱えながら、毎日与えられた人生を生きているのではないだろうか。うまくいかないこと、上手にできないこと。どうしようもなく高い壁にぶつかった時、他人を羨むことで自分を守っているような気がする。だけど、きっとみんな知っている。私はあの子になれないし、あの子は私になれない。私は私にしかなれない。だから、天も藤生もミナも大丈夫。一生懸命、今を生きていこう。

　莉子のことがどうしても好きになれず、何でも人のせいにするダメな人間だと思っていた。かわいければいい。その言葉に、彼女は呪われ、たぶん人生の選択を間違い続けてきた。母親から失敗作と言われたときの莉子の身長を思うと、胸が痛い。ただそれでも、彼女は無意識のうちに多くの人を傷つけた。彼女の夫もそう。加害者はいつだって無自覚だ。