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酒井一途
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ほとんど一息に読んだ。生命至上主義なる定義が編まれ、思いやりと慈しみによって真綿で首を絞められるような社会。身体は社会の公共物として丁重に扱われ、監視下で身体状態が記述化された、あらゆる病気のない世界。まやかしの永遠の世界。そこで起こる世界の更新の話。あんまり詳しくないのだけれど、ドーキンスの生存機械論的。しかも小説内で行き着く世界にあっては、もはや生物個体が維持されていること自体に意義がなくなってしまうように思われる。人間を人間たらしめているものは何か、そういう哲学的な論議にも発展させられるテーマである
酒井一途

一方で、作品は非常に科学的でロジカルな思考によって書かれており、かくあるべしといった解答を提示することはない。ただ作品内で結着すべきところに物語が辿るだけだ。アクのある文体だがそこにも意味はあるので、取っつきづらくても一先ず読みはじめてみることをお勧めする。

08/14 00:58
0255文字
酒井一途
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クラスで苛められる「僕」が同じく苛められる側の女子生徒コジマから手紙を受けとることで、二人は密かに手を取りあい交流を結びはじめる。コジマは「僕」のコンプレックスである斜視を全肯定し、それこそが「僕」のアイデンティティなのだと言う。そして苛めるものを指して、「あの子たちにも、いつかわかるときが来る」と言って、状況を耐えること、受け入れることが何より正しいことだと、「君のその方法だけが、いまの状況のなかでゆいいつの正しい、正しい方法だと思うの」「君は正しいって、わたし言ってるのよ」と。/コメントに続く
酒井一途

そうして「僕」は価値観の転換の狭間に立たされて、右往左往する。そのうち決定的な瞬間が訪れて、百瀬の言う「たまたま、できる」状況になったとき、コジマを目の前にして「僕」がいかなる行動を取るか、というのがクライマックス。それぞれの言い分に一定の論理があるのに説得力がある。

08/01 15:26
酒井一途

物語の主軸にはなっておらず僅かに匂わせるだけだが、苛める側の頂点に君臨する二ノ宮と百瀬の関係があやしい。一シーンしか出てこない百瀬の美しい妹の登場も印象に残る。想像力を働かせられる余白である。読みやすくも知的で面白い会話が良い。最後に描き出される光景が大変美しかった。

08/01 15:26
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0255文字
酒井一途
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数頁の掌編小説が111編収録されている(昭和59年の版のため)。今まで川端にはなかなか手が伸びなかったのだが、これを読んで川端文学の精髄の一をはじめて味わえたようにおもう。たったの一文が読み手の感性を響かせ、情景を想像させるのだ。幾編もすきな作品があった。時折また読み返したい。
0255文字
酒井一途
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ラスコーリニコフとソーニャ、スヴィドリガイロフとドゥーニャの場面が、それぞれの人物の思い入り乱れて心に突き刺さる。ソーニャの思想に対して、初読時より理解が増した気がする。工藤精一郎訳で二度読んだので、またいずれ歳を取ってから他の訳で読みたい。
0255文字
酒井一途
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高三の夏以来なので四年振り。以前よりも多角的に読めるようになったと同時に、ラスコーリニコフへの共感はある程度薄れたように感じる。それは取りも直さず、僕が自意識の束縛から離れてきたことを意味しているだろうか。そうならいいが。
0255文字
酒井一途
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新書でざっと読めるヴェイユの伝記。「一見、人間の一生はその作品より興味深い」とは後年ヴェイユの著作をまとめて出版することになるカミュの言葉だが、ヴェイユの一生、彼女の生き様はまさに言葉を絶するような統一された精神の元にあった。その精神とは徹底した無私である。肉体労働の服従の内に身を置き、「命ぜられたことだけをしているにすぎない無益な奴隷」の列に自ら進んで赴いた。そしてまた文字通り世界中で起こるすべての哀しみに涙していた。遠い地の子供が腹を空かせているからと食事を拒むのだ。(コメント欄につづく)
酒井一途

到底並みの思考では考えられないような行動をする。極度に身体が弱いのにも関わらず、戦線に加わらねばならないと言ってスペイン戦争に従軍する。服従せられていた人々が責任を担うときが来たことによって、そこに普遍的な人間の意義を見出したのだろうと著者は語る。

06/22 20:44
酒井一途

ヴェイユは神への信仰とは切っても切れない関わりがあると認識しているが、本の中でこの点により詳しく触れてほしかった。ついぞ洗礼は受けなかったということで宗教を介さぬ信仰だったことはわかるが、掘り下げればもっと深いものが見えるのではないかと思うのである。

06/22 20:44
0255文字
酒井一途
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書店で呼ばれたように手に取った本。著者が共に青春を生きた、すでに亡き友たちとの時を語る。これは死者との対話によって書かれた文章である。著者自身癌によって命が長くないことを知り、最後に書く作品とわかった上で綴っていたようだ。生の悲しみが言葉の節々にあった。生の悲しみとは必ずしも悲観的なものを意味してはいない。人間、老いた先で身を委ねる諦念はこの上なくおだやかで、しずまっている。そこまで行き着き、生と死とが交じりあって混在するような感覚を世界にたいして覚えたとき、人は無常というものを知るのだとおもう。
酒井一途

「切実に思い出すと私の死者たちも蘇える。本当である。私はこの執筆中に何度となく蘇った彼らと対話し、涙を流し、ともに運命を嘆き、そして深い諦念に身をゆだねた。切実に回想すればいつでも彼らに会えることを知った」

06/18 01:15
0255文字
酒井一途
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幾度か須賀さんの名前を耳にする機会があって手に取ってみたが、これは壮年を過ぎてから読むべき本だったように思う。あまり若くして読んでも、ここに描かれている感覚は身に沁みづらいのではないか。ただ共同体の夢が徐々に崩れ去ってゆく様は物悲しかった。/「人それぞれ自分自身の孤独を確立しないかぎり、人生ははじまらない」と。しかし、仲間意識を持って過ごした日々や共同体に依存していた頃の時間、失われてしまったその時間は、いずれ独特の哀愁となって自らの胸のうちに宿ることだろう。それはかけがえのないものだ。
酒井一途

あと評論家の松山巖さんのよる解説がよかった。短い文章のなかで作品の本質を捉えて書き出し、並行して類似する個人的な話を持ち出しつつ、須賀さんの導いた方向に静かに共感し、賛同を示し、やわらかな言葉で賛辞を送っている。

06/16 00:00
0255文字

読んだ本
275

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/05/12(5103日経過)
記録初日
2011/05/13(5102日経過)
読んだ本
275冊(1日平均0.05冊)
読んだページ
77600ページ(1日平均15ページ)
感想・レビュー
189件(投稿率68.7%)
本棚
14棚
性別
年齢
33歳
血液型
O型
職業
大学生
外部サイト
URL/ブログ
http://blog.livedoor.jp/hypocenter/
自己紹介

1992年3月生 / 慶應文4 / 文明塾11期生 / ミームの心臓主宰・劇作 / 19・20世紀の文学,映画,舞台藝術を愛する / 文章を書く事,言葉を綴る事がすき / 種々の断絶に架け橋を.

Blog http://blog.livedoor.jp/hypocenter/
Twitter http://twitter.com/itto_sakai
Tumblr http://ittosakai.tumblr.com/

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