読書メーター KADOKAWA Group

2024年9月の読書メーターまとめ

アヴィ
読んだ本
60
読んだページ
20103ページ
感想・レビュー
60
ナイス
366ナイス

2024年9月に読んだ本
60

2024年9月のお気に入られ登録
1

  • Kircheis

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

アヴィ
話題の本なのでとりあえず手にとってみました。どうやら順番を間違えたみたいなんですが、面倒なので読み始めると、最初は想像していたのとちょっと違うかな、女子高生のトンデモ語りみたいな話かと思ってたんですけど、意外と王道の小説ですね。普通に面白く続きが気になります。売れてるのだから当然といえば当然なのだが、とりあえず直ぐに第一作の方を読もうと思います。
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
60

アヴィ
タイトルを「北海道犬、旅サバイバル」と勝手に区切ってしまい、あの携帯電話会社の白い犬の犬種とサバイバル旅をする本かと思ってました。表紙の写真を見てコーギー犬っぽい横顔に勘違いに気付いたが、これはこれで面白そうと思い手に取りました。大雪山系と日高山脈は2000㍍級が連なり、よく言われる北海道の2000㍍級は本州の3000㍍級の過酷さと言われる難度ウルトラG級。ここをサバイバル旅とは、それも色々な縛りを自分にかけて、でもそこを柔軟に対応して目出度く襟裳岬まで。さすがはプロの登山家。
アヴィ
衝撃的な表紙絵だが、こんなことが現実に起きたのが昭和54年の三菱銀行襲撃籠城事件。昭和の籠城事件だと、浅間山荘事件が最も人々の記憶に強く刻まれていると思うが、自分は世代的にこの三菱銀行人質事件に最も強い衝撃を受けた。リアルタイムの中継もそうだが、長時間の籠城、最後の射殺による解決など、全てがそれまでとは違う事件の空気を感じた。犯人射殺後に救出された女性行員が全員毛布に包まれていた異常さも、後に理由を知ることになるのだが。さて本作だが、残念ながらフィクション化が逆に作用した感じ
アヴィ
宣伝句に書かれているオカルトハートフルコメディというコピーが全体をよく現しています。ただオカルト部分は冒頭のお梅の出自についての謂れが語られるところくらいですかね。本編は全体にコメディタッチ、元々芸人だった作者らしく、笑いのツボは心得ています。そしてラストに近づくにしたがいハートフルな展開をみせます。涙腺弱い方はご用心。伏線もきっちり回収されます。あーあの人とこの人が、あんな感じでこんな風にと最後まで飽きさせません。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
キャッチーなタイトルに惹かれてつい読んでしまった1冊。でもタイトル倒れが多いこの手の書籍の中では、比較的ツボを抑え内容も不動産素人には分からないところなどを、かなり分かりやすく解説してくれています。そういう内容であれば当然不動産投資がそんなに簡単に儲からないということにも行き着くわけですけど、そのあたりも、明るくほのぼのとしているので、読み物としてもよく出来た1冊です。
アヴィ
たとえ世界に背いても、子を虐め殺された母は復讐を誓う。虐めへの復讐ストーリーはよくあるが、まさに世界を巻き込んでの壮絶な復讐譚。虐められた側にすれば爽快でも、虐めた側からみればなんでこんなことにという、凄まじい情景が用意されています。ただ後半は話が失速するというか、テイストが変わり戸惑います。前半のとんでもない熱量が失われるのは目標を失った母ゆえか
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
書いてはいけない、というよりも書いてはいけなかったネタばかりですね。どんなに書いてはいけないネタでも、一度表に出てしまえばそれはもう謎でも秘密でもなくなります。特にジャニーズの話は今更だし、財務省批判本も大量に出回っている。123便に関しては確かにトンデモなネタを持ってきているが、ブラックボックスが公開されないからだけではさすがに都市伝説レベルを超えることは無理。改めて、現在進行形のアンタッチャブルには誰も触れられないということを痛感。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
彼女は頭が悪いから裸に剥いて何をしてもいい、などと本気で思っているバカタレは存在しないだろうが、自分の言っている高尚な話を理解出来てないとみたら、急に嵩にかかってマウントを取ろうとする頭の良い馬鹿は確かにいるし、気弱な女性や、ちょっとだらしない雰囲気を醸し出す女性に好色な視線を向ける男もいます。古来言われる隙を見せちゃ駄目は、まさに的を得た助言だと思うが、現代ではこれも不適切なのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
太宰治晩年の短編集。なので表題作は旧華族の没落で斜陽に連なり、他の作品は死を連想させる言葉が頻出し人間失格やグッドバイへと繋がる。もちろんそれは、この後の太宰の運命を知ったうえでのことで、当時の読者は果たしてどう受け止めていたのだろう。既に人気作家で相当な収入もあるだろうに、毎回こんな小説で儲けやがって、とかそんな感じなんでしょうかね。三島に貴方の苦悩なんて器械体操で治るとこき下ろされ、それでも家族の幸福は諸悪の根源、子より親が大事と書き続けた太宰の傑作集である
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
かなりの酷評だらけだが、それ程酷くはないと思います。自費出版の小説は何冊か読んでますけど、何を読者に伝えたいのか意味不明なものとか、文章が独りよがりで読むに耐えないとか、そういった本は確かに多いですけど、本作は文章もセミプロかハイアマレベルでかなりしっかりしているし、ストーリーもつぶれかけのホテルを再生しようと試みる女性の奮闘記として上手く出来ています。ラストもこれ以外にない落とし所をちゃんと用意して小説として閉じています。
アヴィ
宮沢賢治の原風景である東北の一寒村が舞台。だからなのか、終始陰鬱な雰囲気のまま話は進みます。ただ終局はかなり驚かされます二酸化炭素によって温暖化させるというアイデアが飛び出します。宮沢賢治の時代に炭素による温暖化を見据え、そしてそれを有効利用とする考え。もちろん温暖化がそんな単純な話でもなく、1地域だけを温めるなど無茶な話なのだが、現代を生きる我々への痛烈なアイロニーとも取れてしまう。オツベルと象のような動物の反乱も、また現代への警鐘と取るのは考え過ぎだろうか。
アヴィ
下巻になると、一転して時間を区切られたサスペンスフルな展開となる。だが村上春樹ワールドにおいては、それでも主人公はハードボイルドに徹して慌てず騒がず、女を抱きジャズの話をしたりブランドの話を楽しげに続けます。世界の終わりとハードボイルドがリンクするのも、案の定というかいつもの難解な哲学と精神学を聞かされるような感じでラストにもつれ込むところは、他作と似通った世界観。やはり、村上春樹がノーベル賞を取るには日本語を深く理解する選考委員が複数いないと無理だろうなと再確認。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
ハルキストでもないし、村上春樹がノーベル賞を取れるかもさして気にならないが、たまに無性に村上作品を読みたくなる時がある。本作も安定の村上春樹ワールド。最初入りずらく感じても、いつの間にかその世界観に入り込み抜けられなくなるのは、作中人物よりも読者かもしれない。ナルニア国物語のような入り口も007か特撮ドラマのようだが、すんなりと受け入れさせるのは村上春樹ならではですね。そして毎回気になるワードが出て来ますが、本書では28歳を超えると考えが固定化するというところですかね。下巻へ
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
久々に現れた日本出身の大器大の里の活躍に沸く大相撲だが、本書で語られる相撲界独特の制度や経済システムが様々な問題を引き起こし、大相撲は暫く嵐の年月を送ることになるのは、本書が上梓された後の事。違法賭博への関わり、動かぬ証拠が出た八百長問題。貴の乱からの貴乃花の退職。そして肝心の土俵においても吹き荒れるモンゴル台風。だが本書で書かれている内容が古くなったかというとそんなことはなく、相撲界の根幹部分はおまり変わっていない。究極のギルド集団でもある日本相撲協会は、経済的には今も安泰である
アヴィ
戦後ベンチャーの雄であり、東証上場企業の中でも有数の高収益企業セコム。そのセコムを立ち上げ一から育て上げた飯田亮氏の自伝。まだ世の中にない会社を創るというのは、言葉だと簡単だが、当時の日本は現代からは考えられないほどの規制国家であり、日本の官僚は旧ソ連のテクノクラートよりも強権の持ち主と言わしめたほどの岩盤が存在した。それらを一つ一つ突き崩し、これほどの大企業グループを創り上げた胆力。極論すればセコムだけでなく、日本の警備業界自体も飯田氏によって創られ、現代においてもその掌中で動かされているといってもいい
アヴィ
小学生の高学年女子ってのは、みんな自分のことを女王と思ってるようなもんだよ。かつての少女が大人の女になった時に言った言葉。そんな女王たちが集う教室という魔窟。男子の分かりやすいイジメやカーストとは違う世界観で動きます。2部になって語り手が変わり(?)様々な違和感を感じながらも、突き進むストーリーはなかなかの腕前です。世界観がぐらつく終盤から、ラストの種明かしまでのシーケンスは並々ならぬ才能を感じました。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
史実では、日本の敗北を確信したがゆえの消極的な自殺、とも解釈されるブーゲンビル上空での戦死という悲劇の名将。だが架空戦記では縦横無尽の活躍をみせる。未来からやってきた自衛隊を何も疑わず受け入れ米海軍をフルボッコにしたり、海軍大臣から総理大臣へとなり、早期講和から戦後日本の国造りに邁進したりと、こういったキャラ付けがされるのも、怪しいものから珍奇なものまでとりあえず興味を持つ人物像が伝わっているからだろう。本書を読むと、そこまで騙さてはいないが、もしかしたらという思いは感じる。やはり後の世まで愛される名将だ
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
ミステリー小説集というタイトルのわりには、SF寄りそれもサイエンスフィクションというよりスーパーファンタジーな話が多い印象。唯一SFっぽさがない第一話は底の浅いミステリーで残念。他も脱出というアンソロジーに合う感じとはおもえず、本書の最大の謎はやはりこのタイトルですかね。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
安倍家の三代に渡る政界トップを目指す物語。その物語は三代目安倍晋三が総理総裁になったことで成就。安倍家三代の物語は完結した、めでたしめでたし。で、いいんですけど、その後安倍晋三は凶弾に倒れ、そこから宗教絡みのきな臭い話が絶えず、岸信介を源流とする三代の物語は未だ終わらない。世代的には、三角大福中の後の政界ニューリーダーの1人とされた晋太郎がリクルート事件に関わらず総理になっていたらと考えるが、それも詮無いことで、常に動く政治の世界が庶民の為にこそと願うばかり
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
実際に起きたアナタハン島事件をモデルに書かれた小説。1人の女に複数の男達。何が起きるかは容易に想像がつくが、事実は小説より奇なり、現実のアナタハン島での内容(あくまで生存者の証言だけだが)の方が壮絶だと思われる。ただし、現代の作者は巧みに小説としてまとめる上手さが秀でていますので、一級のエンタメに仕上がってます。ラストは無理矢理閉じた感が強いですが、仕方ないですね。多くの衛星が地球上空を旋回している現代に絶海の孤島に何年も取り残されるというのはかなりの無理筋ですから
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
なった時にはメディアも国民も諸手を挙げて歓迎したのに、辞める時は極悪人を放逐するように蔑む、という日本の総理大臣だが、まさしくこの状態を極端な形で体現したのが田中角栄。実際ロッキード疑獄で収賄の罪に問われるわけたが、そんな田中角栄のモノローグの形で語られる本書。作家というよりも、エキセントリックな政治家としての印象の方が強い石原慎太郎が最晩年に選んだ題材が田中角栄というのも意味深い。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
2004年のプロ野球といえば自分の中では日ハムの北海道移転。北国の野球少年にとって、積雪寒冷地域の地元に球団が出来るなど夢のまた夢。可能性が有るとすれば、地元企業が球団買収し、全天候型のドーム球場をつくること、しかしそんなことはあり得ないというのが共通認識。まさか札幌にドーム球場が出来るとは、そして考えてみれば巨人のホームにずっと小判鮫していた日ハムが来るのも納得。だが本書で語られるのは、近鉄ダイエーの経営不安から始まった球界再編。ほぼ自分の記憶をなぞる内容でしかなく、ただナベツネの悪役振りが際立つ感じ。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
話題の本なのでとりあえず手にとってみました。どうやら順番を間違えたみたいなんですが、面倒なので読み始めると、最初は想像していたのとちょっと違うかな、女子高生のトンデモ語りみたいな話かと思ってたんですけど、意外と王道の小説ですね。普通に面白く続きが気になります。売れてるのだから当然といえば当然なのだが、とりあえず直ぐに第一作の方を読もうと思います。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
幕末から明治までを、医療面から関わった関寛斎。司馬遼太郎の小説にも取り上げられるなど幕末の偉人だが、晩年は北方開発に燃え北海道へ、それも十勝地方でも厳寒地域として知られる陸別町。食糧増産を目指し、昔ながらの大農家が小作を支配し搾取するのではなく、全ての農家が土地を持ち自主独立のもと営農するという理念を実現しようと奔走するが、実の息子に否定され、失意のなか自裁するまでの物語。寛斎の理念は昭和の大戦で国が破壊され、連合国軍による農地解放によって実現することとなった
アヴィ
幕末のその時代ですら時代遅れの人斬り集団と揶揄されていたという新選組。その新選組にあって鬼の副長、ヒトを殺すことをなんとも思わない冷血漢、そして京の女達をざわつかせたイケメン振り、あまりにキャラが立ち過ぎている土方歳三、彼の半生を描いた大著。謎多き志士沖田総司を失い、近藤勇は芯棒が折れたようにあっさりと捕縛され斬首された。それでも北に向かい戦い続けた土方の生き方を、作者ならではの冷徹な文体で描ききった本作こそ、大量に存在する新選組文学の到達点かもしれません
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
世界の山岳事故史上最も謎多き事件の一つであるディアトロフ事件。旧ソ連の東西を分断する2000㍍級の壁、ここで起きた不可思議な山岳事故は9人の命を奪っただけでなく、発見された時の凄惨な状況や、遺体の場所など一般的な山岳事故の常識では説明出来ない。まるで、雪男イエティが現れ破壊を尽くしたとでもいうかの如き現場を発見した捜索隊が震え上がったのも理解出来る。だが、本書では当然だがある程度納得できる、解を用意している。この答えを信じるも一つたが、完全に寄りかかるには難がある。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
星飛雄馬が巨人の星を目指していることを知った花形満は「永遠のライバルとして、僕は阪神に行こう」と、いってのけるほど阪神の巨人とのライバル関係は過去も現代も不変なのだが、球界の盟主であり紳士たる巨人に対して阪神は常に内紛を抱えフロントと現場が揉める姿を隠そうともせず、それは本書で取り上げられた岸一郎に始まるらしい。だがいわれる程素人ではなく、アマ野球では知られた存在だったらしく、もう少しタイガースナインに度量があれば、ネット社会に上手く対応出来ない年寄りをバカにする若者のような図式にはならなかったと思う。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
竹本健治といえば国産ミステリ三大奇書プラスワンとも四大奇書ともされる匣の中の失楽だが、入れ子構造が難解で凡人の理解をえることを拒絶するがのごとき作品で、その後竹本本は手に取らなかったが、タイトルに惹かれて本書を読み始めたが、これは当たりでしたね。難解さはないが、小説としてのクオリティはずば抜けて素晴らしい。読後にシリーズ物と知ったが、知らなくても充分楽しめる。全体の雰囲気もだが、ラストの収束は凄いです。
アヴィ
どの作品も佳品です。その中でもストックホルムの羊が一番ですね。本来ならタイトルで気づかないといけないのに、中世の古城を舞台に繰り広げられる女達の愛憎物語の雰囲気作りが上手くて、勝手にストックホルムをヨーロッパの都市名だと脳内で置き換えてしまったんですね。後半世界観が転回するところも上手く、流れるように話が転がりました。陰惨な話なのに、上手く騙された爽快感が上回るという稀有な一編です。
アヴィ
この作品の白眉は、序章で描かれるアラスカでの旅客機墜落現場における修羅場の情景。極寒の地に墜落し、救援もやって来ない。乏しくなる食糧、意を決したパーサーがリーダーシップを取り人家を求めて脱出を試みる。ここで高齢者だったり、傷病者を置き去りにすることで激しい人間ドラマが起き、本編の殺人事件に重要に絡む要素となるのだが、この序章だけでも珠玉の短編といっても良いくらいの出来栄え。本編の密室トリックがあまりにもあれなので、特にそう思います。
アヴィ
人の意識とは記憶の統合である。少年時代に読んだ星新一のショートショートに出てきた1節だが、妙に心に残ったのを憶えている。記憶が失われればその人はもう、自分の知っているその人ではないのか、自分の記憶が失われたら、自分が自分でなくなるのか、あんなに愛した人も、あんなに愛された人も、記憶の消去と共にその愛も失せてしまうのか。だとしても、人は生きなければならない、昨日の記憶を失っても、明日の記憶に夢を託して。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
何故タイヤが飛んだのか、時間が経てば証拠は散逸し、人々の記憶も薄れる。この状況下で何か決定的な証拠が出ることはあるのか、ここで池井戸ファンタジーの発動ですね。八方塞がりの状態から、仲間や良き理解者達によって真実が暴き出されます。現実には、義を見てせざるは勇無きなりとはいっても、勇気をだした者に世の中は蛮勇と罵り社会から放逐します。そして、懲罰人事など銀行では行われないでしょう。そんな体質に義憤を感じたからこそ、作者はバンカーの道を捨てて作家の道を選んだのでしょう。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
タイヤが空を飛んだら大変なことになります。起きてはいけない事故が起きた時、その対処の仕方でその会社のアイデンティがわかります。それは中小企業でも大企業でも変わらず、本質の部分は経営者の資質によるもので、どんな零細企業の経営者でも、納得できないものは出来ないし、受け入れられないものは、受け入れられない。でも、たった一人で巨大な組織と闘おうとする戦士を世の中の人は愚か者と謗ります。本作を読んで身につまされる経営者は多いでしょう。でもそれで終わらないのが池井戸作品ですね。どんな倍返しがあるのか、下巻へ
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
プレジデント社から出版された本で、作者は著名な起業家らしく、既に何冊かの著書もあるとのこと。なのでビジネス本としては当然、猫本としても楽しめるかと思ったんですが、なんとも困りましたね。これはもう、ノンフィクションかフィクションかとか、小説であるとかはもうどうでもよくて、一種のポエムですね。それも80年代の香りを強く感じるので、パステルカラーの装丁にでもしたほうがお似合いな気がします
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
ラーゲリ犬などという犬種は当然無く、ラーゲリ(強制収容所)に収容されていた日本人に飼われていたからのネーミング。幾度もの死線を掻い潜り、日本への引き揚げ船に同乗し日本にやってきてたクロだが、ラーゲリであれほど濃厚に関わった2人の日本人との再会などもなく、やや消化不良に終わります。一応後書きでそのことにも触れていますが、もう少し本編で書いて欲しかったですね。前半と後半のバランスが凄い悪いです。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
タイトル通りSNSで観測者を名乗るシリアルキラーが起こす連続殺人の話です。表紙絵でわかりますが、かなりの猟奇犯罪を描きトラウマレベルです。でも、ミステリーとしてよく出来ています。匿名の人物をどう特定するのか等々、SNSの特性をうまく利用しています。最後がよくわからないのは、自分の読解力の無さのようです。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
完成した宇宙船によって旅立つ科学者。ここから哲学的というか、精神的な描写となっていき、果たして地球人類はファーストコンタクトに成功したのか、全てが妄想であるというオチでも納得しそうだが、謎は謎のまま、広大無辺な宇宙の真相は誰にも分からない。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
未知との遭遇と並ぶファーストコンタクト物の名作sf。地球外生命体から送られてくる電波を受信し、コンタクトを試みる為に宇宙船建造に着手するのだが、その場所がなんと日本の北海道十勝地域。十勝地域の最大都市帯広から南へ何kmと、かなり具体的に位置を特定てして書いている。この原作本を読んでから映画を見た北海道人はかなり期待したと思うが、映画では北海道どころかおそらく日本で撮影もしていないであろうと思える映像でがっかりしたのではないだろうか。下巻へ
アヴィ
舞台は90年代中期、ネット勃興期のスタートアップ企業の社長が味わう悲喜交交。ソフトバンクがやっと存在感を現し、ライブドアが産声をあげ、楽天はまだ創業されてもいない。この時代のIT系アントレプレナー達はまだまだ夢を見れるのと同時に、現実社会の厳しさを突きつけられることにもなる。金融ビッグバン前の銀行業界や、大型投資をするやにみせる大手企業。まだまだ昭和の感覚を引きずっていたこの時代、あまりに直球で勝負しようとした作者の辛酸は本書を読めばわかる。
アヴィ
お別れの涙ではなく、やはりいつものフロストらしく笑いでの涙で締めくくられました。これでオーラスは悲しいが、始まったシリーズはいつかは終わるもの。終わりどころを間違えて、ダラダラと続くシリーズ物の如何に多いかを思えば、作者が鬼籍に入ってしまった事情も踏まえ、このタイミングでの終了は致し方ないですね。それにしても、こういう作品が人気を呼ぶ英国の懐の深さはさすがと思います。とにかく裸の安村が英国で受けたことでもわかるように、成熟した大人の国家の度量の広さには感服します
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
日本に限らず世界中どこもそうだと思うが、警察力の根幹は機動力と人海戦術。現代はこれに科学捜査が加わるが、基本は本書の主人公のフロストのようにフットワーク軽く英国ロマンの愛車モーガンを駆り、どこへでも潜入。そして、ここぞと思えば、大量人員を投入することも厭わない。と、都合の良い1面だけみるとそうなるが、シリーズ第一作からフロストは脱法行為スレスレだったり、警察官倫理なんてクソ喰らえ、スコットランドヤードからやって来たエリートも上等だ。そんなフロストとも本作を持っておさらば、涙無しに下巻が読めるか心配だ
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
書店でも、図書館でも片づけ本は書棚1面を占領するくらい大量に出回っていますね。本作はそういった書棚ではなく、建築などの棚にあったので気になって手に取りました。確かによくある片づけのノウハウ本や、コンマリ本のようなトキメキとかも出てきません。住宅をプランニングする段階からライフプランなども鑑みて片づけ方を想定することを教えてくれます。イラストが分かりやすく面白いのでサクサク読めますし、住宅建築や購入予定の人達には良い本だと思います。
アヴィ
女の情念を描く短編集。宝石に魅入られる女、女王蜂のように生き、周りを振り回しているようで、振り回されて生きている女。そんな女たちも老いに収斂されていく様を、戦後の住宅難を背景に本妻愛人小姑が、夫の残した土地に建つ茶室のような小さな小屋で暮らす表題作。小さいとはいえ、都内一等地に茶室が7,8軒建ちそれが微妙な距離感にあるという設定は、戦前の金融業者ってどれだけ金満だったのか想像もつかない。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
V9時代から川上監督後はONが常勝巨人軍を引き継ぐというのが既定路線だったが、2人が監督から退く時代が来た時はどうなるか。自分はなんとなく、中畑がワンポイントで務め、お祭り男よろしく気分を盛り上げたところで、江川監督による本格政権誕生という流れかと思っていたが、現実には2人より若い原辰徳が三度の長期政権を務め、中畑はDeNAで監督となり、江川は監督どころか一度もフィールドに戻ることなく現在に至った。本書を読むと、さもありなんとも思うが、巨人愛野球愛だけは本物だとも再認識。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
本年度江戸川乱歩賞受賞作。正直筋トレには興味がないし、最後まで読み通せるか不安で、実際前半はかなり冗長に感じたが、後半話が動きだすと俄然面白くなってきました。前半の冗長な部分も実は伏線が散りばめられていて、その回収も水際立ったうまさです。油断して読んでいたことを後悔しました。もちろんご都合主義なところが多く興を削ぐとこらがないではないが、プロでもご都合がご都合を呼ぶ作品がいくつもありますからね。本作は充分乱歩賞受賞に値する作品でしょう。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
80年代J-POPの大ヒット曲から、スマッシュヒット曲までがズラリと並ぶ章題だけでワクワク感が止まらないが、どうやら本作はそういうことではなく、何やら大きな仕掛けがあることが重要らしい。途中まで読んで、若い男女の恋愛模様が続くが、ここからストーカー殺人とか連続殺人になるのかと思ったが、それも何か違う感じ。そうしてラストですね、なるほどそういうことなんだと納得しました。まさしく伏線の美学ですね。映画を見ていないんですけど、前田敦子がこの役を演るのはさもありなんです。
アヴィ
2024/09/09 06:48

急いで映画見ました、確かにこれしかない手法ですね。ランニングからのあれは、既読であれば笑えるし、未読の人はそのまま楽しめます。でも、見て思ったのは前田敦子の物真似をする場合ネタにされる「私のことを嫌いになっ☆%>*!」が意味深になってきますね

が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
巨人軍V9時代のプロ野球の構図は巨人とその他球団という1対11だったといっても過言ではないと思う。ただ巨人戦というキラーコンテンツを持つセ・リーグ5球団はまだしも、当時のパ・リーグ6球団の経営がそれほど楽ではなかったのは、名門西鉄や斜陽化していた映画産業の大映や東映の身売りでよく分かる。その東映からフライヤーズを買ったのが本書で語られる日拓ホーム。クラウンライターや太平洋同様あの時代の記憶として強く残っている。嬉しいのは当時の選手達は球団の身売りにそれ程ネガティブになっていないことですかね。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
明治の言文一致以後、往復書簡スタイルの小説は大量に書かれていて、1つのジャンルになっていますが、時代のデジタル化と共に往復メールになり、現在やSNSでのやり取りがそのまま小説になってしまうんですね。でも変わらないのは、その文章に込められた各々の想いであったり、文脈に隠された喜怒哀楽だったりするわけで、それを無視した独りよがりの言葉は、最後に痛烈なしっぺ返しに遭うということですね。とりあえず読めばわかります。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
巨大製紙会社グループの創業家御曹司が起こした巨額背任。当時ニュースで騒がれた経済事件だが、驚きなのは、本体ではなく子会社でもこれほどの巨額マネーを創業家とはいえ一役員に用意できる資金力の凄まじさ。本来ならその資金力の頂点であるグループ総帥が約束された身の作者が、何故ギャンブルにのめり込み、これほどの資金をつぎ込んだのか、世にいうバカ息子ではなく、東大に入る学力も持ち合わせながら、確率論すら理解していなかったのか。だが、そういう問題ではないことこそ問題であることが本書を読めばよくわかる
本読むおっさん(Lester_the_Nightfly)
2024/09/07 11:23

☆ 横レス失礼します。ご感想の後段「世にいうバカ息子ではなく、東大に入る学力も持ち合わせながら、確率論すら理解していなかったのか。だが、そういう問題ではないことこそ問題であることが本書を読めばよくわかる」。未読の方の興味を惹く書き方が実に巧みで凄いなと感じました。駄文失礼。

アヴィ
2024/09/07 15:20

ありがとうございます。技巧を凝らすつもりも、未読の方を煽るつもりもなく、読んだまま、感じたままを読み返しもせず投稿してるだけです。なので、てにをはもでたらめなことがあり、恥入る毎日です。

が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
馬場猪木の長い長い黄昏の時期に、動き出したのは後継者と目されていた鶴田藤波ではなく、両団体の第三の男天龍長州だった。その2人の名勝負天龍対ランディ・サベージ戦、長州はタッグマッチだがブルーザー・ブロディ戦。平成期に語り尽くされた2戦だが、本書の解説が最も的確だと思う。
アヴィ
ロボット三原則の使い方がうまいですね。 なるほどとなります。 タイトルも秀逸です。確かに硝子のハンマーですね。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
さすがは嫌ミスの女王ですね、しっかりと嫌な気分になりました。終盤色々と説明されればされる程嫌な気分が盛り上がってくるところは、もう伝統芸の粋ですね。 もしも10年前に映像化されたとしたら、主人公が広瀬すずでお姉ちゃんに広瀬アリスと土屋太鳳とかだとうまくいきそうな気がしましたね
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
本格ロジックでやってきていた作者だけに、これはさすがに驚きの結末。 どんなにあっちの世界と隣接するあたりを行き来していても、最後はこちらの世界に帰ってくると思っている読者を背負投げ一本ってとこですかね。でも、続編で何らかの解釈がなされないかと思ってしまう自分もいます
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
児童向けの戦記文学。といってもドンパチはなく、中国の山の中で捕獲され、日本兵に飼育されたヒョウのハチの物語。本作の中でも紹介されている「かわいそうなぞう」のエピソードと同じくハチも哀しい運命にさらされます。全編に流れる土佐弁がリズムとなっていて、哀しい話に温かさも含まれます。
アヴィ
猫に九生ありをバックボーンに、あの猫の語りで話は進みます。作家と関わった猫といえば、漱石の弟子の内田百閒のノラにも是非登場して欲しかった。室生犀星の火鉢に手を掛ける飼い猫が同じポーズを取ってる姿はなんとも可愛らしいが、肝心の主人公の黒猫が可愛らしくない。吾輩でもなく、俺でもない、己という一人称もなかなか馴染めず最後まで変な感じ。ただ猫愛だけは充分感じました。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
角川映画ブームの頃に少年期を送った者にとって、最初に触れるミステリーは横溝正史であり森村誠一だった。なので横溝を暫くの間引退状態に追い込んだ松本清張は天敵であり、また社会派推理小説を読むなら森村誠一で充分というのもあり、ずっと清張のことは読まず嫌いだったが、一度読んでしまったらもうどうしょうもなくはまってしまったのが今となっては懐かしい。さて本作だが、自分にとって最大の謎は失踪した夫の上司に対して部下がタメ口なところ、未だに解明出来ないでいる。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
なんと、自分の持っている宝くじのハズレ券の番号を、銀行のサーバーに侵入してデータを書き換え当たり券にするというストーリー。 40年程前の作品なので、当然インターネットは無く、公衆回線はアナログの電話回線。銀行は基本的に専用回線を使用していたが、その辺はご都合主義で話が進み、ファイアーウォール(そういう概念もなかったが)を突破するのも、するするクリア。最大の難所は換金の時…皮肉なラストもエスプリが効いています。
アヴィ
新人賞受賞後は着実にsf専業のライトノベル作家として活躍。作家として地歩を固めた頃に発表されたのが本作。お得意の終末テーマだが、狂気と正気のあわいをゆらゆらする感覚は、いつもの新井素子作品に登場するキャラに共通しているが、本作においては、更に際立っているようにも感じるし、冷凍睡眠から無理矢理目醒めさせられた彼女たちが感じる絶望と希望が狂気に緩和されているようにも感じるし、やはり新井素子は一筋縄ではいかない
アヴィ
デビュー当時から言われていた、アホバカ丸文字文体のまま、書き続けている新井素子。でも、そのアホバカ丸文字文体を文芸にまで昇華させたのだからやはり天才なんでしょうね。デビュー時の経緯も新人賞受賞だが、選考会で星新一が激押しするなか、小松筒井の2人は完全否定。選考の様子は当時の主催誌に誌上載録されていたが、かなりのヒートアップで「こういう作品を押す星さんの気がしれない」と星新一の人格否定的な感じになり、一枚岩と(ファンは)思っていた3人の友情にもひびが入りそうな勢い。結局2人が根負けし受賞に。下巻へ
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
まさしく現代ホラー小説界のキング。直接的な恐怖も恐いが、たった一人のファンの為に小説を書かなければいけない人気作家というシチュエーションにも、得も言われぬ恐怖が漂う。中島みゆきの唄に、私の作る愛の歌は全て貴方に当てた歌なのよ、っていうのがあったが、あの唄を聴いた時に感じた恐怖の逆バージョンということだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
アヴィ
寄宿舎で暮らす少年達の学校生活と、先生が教室で語る話中話とで進む、言わずと知れた児童文学の名作。学園ライフもしっかりした物語ですが、やはり話中話の一つだが、世界名作劇場で母を訪ねて三千里として、独立したストーリーになった挿話ですね。こんな数ページのお話を、あれだけ長大なアニメ作品に仕上げたスタッフに頭が下がるが、それでもたった数ページを読んだだけでマルコのポンチョ姿を思い浮かべてしまうのだから、優れた原作ということですね

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/01/30(1726日経過)
記録初日
2020/01/31(1725日経過)
読んだ本
251冊(1日平均0.15冊)
読んだページ
86719ページ(1日平均50ページ)
感想・レビュー
247件(投稿率98.4%)
本棚
0棚
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