読む前は「蜜蜂と遠雷」とか「革命前夜」とか「鋼と羊の森」みたいな音楽小説をイメージしてたけど完全に恋愛小説。平野啓一郎ってエロいシーンはあまり書かずに人への愛とは何かを書いてる気がする。お話としては本当に愛し合ってる二人がここまですれ違ったり、感情的な部分を出さずに理知的に割り切れるのだろうかという気はする。けど、それこそが大人の恋愛なんだろう。PTSDや音楽的なスランプ、友の死、仲間の裏切り等々色んな要素はあれ、本筋は二人の恋愛。紆余曲折があったマチネの終わりの再会するシーンはグッとくる。

読む前は「蜜蜂と遠雷」とか「革命前夜」とか「鋼と羊の森」みたいな音楽小説をイメージしてたけど完全に恋愛小説。平野啓一郎ってエロいシーンはあまり書かずに人への愛とは何かを書いてる気がする。お話としては本当に愛し合ってる二人がここまですれ違ったり、感情的な部分を出さずに理知的に割り切れるのだろうかという気はする。けど、それこそが大人の恋愛なんだろう。PTSDや音楽的なスランプ、友の死、仲間の裏切り等々色んな要素はあれ、本筋は二人の恋愛。紆余曲折があったマチネの終わりの再会するシーンはグッとくる。

理不尽で難しい仕事を面白おかしく描くシリーズ本。このシリーズはあとがきが奥深い。厳しく報われない仕事であっても、それを続けることで得られる満足感や達成感、仕事で認識する自身の存在意義があって、理不尽な扱いだからこそその意味が分かる。お金や苦労だけでない労働の側面。現代のコスパ、タイパの時代になかなか理解は難しいけれど、その前向きで希望のある結びが癒やされる。宗教的な修行にも近いのかも。

ろう者の両親を持つ著者の自伝的小説。自分の家族に対して人との違いに引け目や恥ずかしさを感じて、辛く当たるのは思春期にありがちな話。幼い頃には何も感じなかった「特別さ」なのに社会的認識能力の発達に伴って周囲からの疎外感を感じるようになるのが親にとっては残酷。でも、さらに成長することでその違いを受け入れて、自分のアイデンティティとして生きる選択をできるっていうのが感動的なんだな。

前半はエジプトの古代史、後半は中国の古代から現代にかけての歴史。過去に生きた人がその時代にどのような価値観、倫理観で生きていたかは歴史的事実や断片の文献等で想像するしかない。古代史になればなおさら。唯一宗教や哲学の教義や聖典などがそれを紐解く手掛かりになるんだろうけど、それすら真実は分からない。だから、過去に信じられた説に、それが本当に正しいのかと新解釈や問いを投げかける。無理やりな部分もあるけど、一度「こうだ」と言われた解釈も色んな見方があるというのが分かる。

新聞の悩み相談の事例とともにその回答に込めた想いや考え方、回答するときの思考ツールなどを回答者の岡田斗司夫が解説する本。単に真面目に回答するだけではなく、それが相手(もしくは同じ悩みを持つ読者)の心にどれだけ刺さるか、面白みのある答えになるかを意識してるのがよく分かる。単に理路整然とあるべき論を書いてもそれができないから悩みになるということを踏まえたユニークな視点の回答が著者らしい。悩みって本人が「困ってる」と思っている軸ではないところに問題や答えがありがちっていうのが分かる。