様々な状況にある人間の鬱屈した感情を重い文体で書いた作品。いかにも芥川賞って感じがする。いくつかの話に死体や黒人男性、外国人が登場するけど、死体や黒人は日常ではあまり目にすることのない異質な対象でありながら、本質は同じ人間で、その境目を書こうとしてる気がする。

やりがいを利用されて疲弊していくやり甲斐搾取、過剰な競争が生み出すカスハラなど現代の社会環境が生み出す問題を労働の捉え方で再認識し、その解決策を示す。現代の職業は自分ひとりで粛々と進めることはほとんどなく、組織全体として成果を上げるための分業が進んでいる。だから、社会における自分のミッションを追求する側面と所属する組織の求めるミッションの二面性があって、後者が強くなりすぎると職業への没入が発生する。だからその両面のバランスを取ることや仕事だけではないコミュニケーション、ユーモアが大切と理解。

消費社会(多様で継続的かつ大量の財やサービスの消費によって成り立つ社会)のプラス面、マイナス面を論じ、特に格差問題に対する解決策としてベーシックインカムを検討した本。そもそも格差が生まれるのは現代的な資本主義(お金がお金を生む枠組み)が問題であって、消費を前提とした社会が格差の原因ではない。それを消費社会の問題として論じているところに無理がある気がする。消費社会が環境問題に繋がってるのは大いに納得。いろんな形の消費やその特性、意味をまとめた私的消費はこんな見方もあるなと言う感じ。

様々な状況にある人間の鬱屈した感情を重い文体で書いた作品。いかにも芥川賞って感じがする。いくつかの話に死体や黒人男性、外国人が登場するけど、死体や黒人は日常ではあまり目にすることのない異質な対象でありながら、本質は同じ人間で、その境目を書こうとしてる気がする。