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2023年11月の読書メーターまとめ

荒野の狼
読んだ本
13
読んだページ
1350ページ
感想・レビュー
13
ナイス
420ナイス

2023年11月に読んだ本
13

2023年11月のお気に入られ登録
3

  • murarara
  • よむよし
  • 杜のカラス

2023年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

荒野の狼
「ジョン万次郎漂流記」は、井伏鱒二が木村毅(き)の集めた資料に依存(p316)して書いた中編小説。内容は、万次郎が漁の最中に嵐により漂流し、アメリカ船に助けられ渡米、在米生活数年を経てから日本に帰国して数年活躍する話が中心。特に冒頭の鳥島に漂着し、アホウドリ(小説では「藤九郎」と表現されている)を食べて生き延びたことなど救助された前後のサバイバルの話は、単なる資料の小説化というレベルを超えて楽しめる。
荒野の狼
2023/11/22 12:23

興味深い記述としては、「ヌウ・ギネア」の「人喰い人種」を見た(p190)という部分。ニューギニア島のFore族では、家族のメンバーが亡くなると、遺族が弔いの儀式としてカニバリズムが行われており、この結果として、クール―という致死性の神経病(蛋白質が本体とされるプリオンによる感染症)が起こったことは医学史上有名(現在、カニバリズムの習慣は廃止されたので、クール―もなくなった)。本書に登場する人種がFore族と関係があるかは不明であるが「人喰い」の習慣がニューギニア島にあったことは事実。

荒野の狼
2023/11/22 12:23

なお、私は高知県土佐清水市の「ジョン万次郎資料館」を訪れる機会があったが、本書のファンにはおススメ。同館で紹介されていた万次郎関連の書籍で、写真が豊富で簡潔に万次郎の生涯が把握できるものに、万次郎の子孫である中濱京が書いた「ジョン万次郎 日米両国の友好の原点」があった。こちらは写真・図が豊富であり、「資料館」を訪れることのできない人にとっては、小説を補足するものである。

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2023年11月にナイスが最も多かったつぶやき

荒野の狼

2023年10月の読書メーター 読んだ本の数:8冊 読んだページ数:1385ページ ナイス数:357ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1124113/summary/monthly/2023/10

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2023年11月の感想・レビュー一覧
13

荒野の狼
「銀(しろがね)心中」は、田宮虎彦が岩手県花巻市の鉛温泉「藤三旅館」をモデルに執筆した32ページの短編で1時間で読了できる内容。現在、同旅館を訪れると虎彦が宿泊した部屋や、本作に登場する「白猿の湯」もある。「白猿の湯」は、本作では湯の由来が猿の絵と共に温泉内に掲げられ、湯は混浴であると書かれているが、現在は、猿の絵は温泉の外の廊下にあり、「白猿の湯」は、混浴の時間と、女性専用の時間とが別れているが、湯船の深さは1.25mあり、立って入浴する岩盤を人力で掘って造った湯船。
荒野の狼
2023/11/30 17:20

「主人公から瀆(けが)れた淫乱女を読み取った読者は誰もいないだろう。逆に、力を尽くして根限り真実に生き抜くべく努めつつも、ついに及ばず破れ去って行く佐喜枝に、満腔の同情を惜しまないのである。行為の結果は不貞に相違ないにしても、精神的にはあくまで純粋で、瀆れを知らない可憐な女性を感取するからである。見逃してならぬ重要な一点は、美しい魂の所有者である三人の触れ合いから生じた悲劇も、畢竟は、戦争という、個人的には如何とも為し難い国家悪に依って演出されたということである」p240。

荒野の狼
2023/11/30 17:20

「富士を見に」は30分で読了できる17ページの短編。解説に結末まで書かれているので、解説は読後に読みたい。解説では「田宮の作品の中で結末の明るいこの一篇は、蓋し異色といってよいだろう」と書かれているが、主人公の若い女性と、これに関わる中年男性ともに、心情の描かれ方が浅く、男性の行動の謎は明かされないままで、ハッピーエンドとは言えない暗さの残る作品である。

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荒野の狼
「ジョン万次郎漂流記」は、井伏鱒二が木村毅(き)の集めた資料に依存(p316)して書いた中編小説。内容は、万次郎が漁の最中に嵐により漂流し、アメリカ船に助けられ渡米、在米生活数年を経てから日本に帰国して数年活躍する話が中心。特に冒頭の鳥島に漂着し、アホウドリ(小説では「藤九郎」と表現されている)を食べて生き延びたことなど救助された前後のサバイバルの話は、単なる資料の小説化というレベルを超えて楽しめる。
荒野の狼
2023/11/22 12:23

興味深い記述としては、「ヌウ・ギネア」の「人喰い人種」を見た(p190)という部分。ニューギニア島のFore族では、家族のメンバーが亡くなると、遺族が弔いの儀式としてカニバリズムが行われており、この結果として、クール―という致死性の神経病(蛋白質が本体とされるプリオンによる感染症)が起こったことは医学史上有名(現在、カニバリズムの習慣は廃止されたので、クール―もなくなった)。本書に登場する人種がFore族と関係があるかは不明であるが「人喰い」の習慣がニューギニア島にあったことは事実。

荒野の狼
2023/11/22 12:23

なお、私は高知県土佐清水市の「ジョン万次郎資料館」を訪れる機会があったが、本書のファンにはおススメ。同館で紹介されていた万次郎関連の書籍で、写真が豊富で簡潔に万次郎の生涯が把握できるものに、万次郎の子孫である中濱京が書いた「ジョン万次郎 日米両国の友好の原点」があった。こちらは写真・図が豊富であり、「資料館」を訪れることのできない人にとっては、小説を補足するものである。

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荒野の狼
「銭形平次捕物控 大盗懺悔」は、銭形平次が、ガラッ八と、盗んだ品を必ず返す不思議な盗賊を捕らえようとする話。30分ほどで読了できる作品。本作で、平次は「若い平次」という表現があるが、「縮尻(しくじり)平次と言われる人気者」であり、広く知られた存在。本作で平次は、犯行の手口を見破ったり、推理で盗賊の正体を暴いたり、ということはできないが、いかにして盗賊を捕らえるか(捕らえるまで平次には盗賊の正体は見当もつかない)という点に長けている。人情味のある結末も平次らしい。
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荒野の狼
「銭形平次捕物控 振袖源太」では、「平次は28歳、今売出しの脂の乗り切ったところ」と紹介されるが、本作では、既に平次の名前は一般人に知られており、子分も数人引きつれている。本作のアクションは、平次が冒頭で永楽銭を投げて自殺しようとする呉服屋の使用人を思いとどまらせる部分のみ。呉服屋の子供が連続して神隠しのように姿を消す謎解きが本作のテーマ。神隠しのトリック自体には特筆すべきものはなく、今一つであるが、本作の魅力は平次の人の好さである。30分ほどで読了できる作品。
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荒野の狼
「老妓抄」は岡本かの子の短編で1時間ほどで読了できる作品。若い頃から芸者として身体をはって現在は金銭的にも生活に余裕がでた「小その」という女性の話。小そのは「老女」ということになっており、若い芸者を雇っているような立場であり、日々の生活は堅気(かたぎ)の生活をしており、養女をとっている。それから若い発明家を目指す青年の世話をするようになる小そのだが、彼女と青年の対比により、真に生きるとは、若いとは何かが明瞭になってくる。
荒野の狼
2023/11/15 23:00

本作において、青年の逃亡は独り立ちには、はるかに遠い子供じみたものであるが、そうした小さく意味のなさそうな行動すら、あたたかく見守る小その。この姿は、作者岡本かの子が、息子の岡本太郎にそそぐ限りなく優しい愛情を彷彿とさせるものである。

荒野の狼
2023/11/15 23:00

苦労をして、奔放な人生も体験した小そのは、年を経て、自らは向上心を持って、満足せず、諦めずに生活し、次世代を担う若者には、自分の背中を見せながら、強制することなく、自主性を促し育てている。本作では、「小その=岡本かの子」といってよく、かの子が、死の前年に書いた名作である。

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荒野の狼
「横倉山の自然見てある記 横倉山植物図鑑」は、高知県越智町立 横倉山自然の森博物館が1998年(平成10年)に発行。一種類の植物が1ページに一枚、四季の順にカラー152ページに掲載されている。サイズは21x13㎝で、茶色い紐で閉じられているユニークな体裁で、表紙と1ページの間に、1ページがあらたに挿入され、三枚の植物の写真の名前の訂正と、これに基づく索引訂正が掲載されており好感が持てる。
荒野の狼
2023/11/14 14:39

2ページの「用語紹介」では植物の花や葉の形状などの学術用語が図で説明されており、本文を読むときに重宝で、横倉山の植物図鑑というだけでなく、植物一般についても学べる本となっている。巻末に博物館の紹介、牧野富太郎が横倉山周辺で発見した植物、横倉山のマップが収録。

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荒野の狼
双葉山と同時期の横綱男女ノ川についてのエッセー。2010年の映画「人間失格」(原作は太宰治)では、男女ノ川が主人公(太宰がモデル)と同じスナック・バーで飲むシーンがあり、セリフもある。本作では、単に、男女ノ川の近所に住む太宰治が、横綱を見かけた時の感想であるが、好意的である。一方、太宰は、双葉山についても、エッセー「横綱」でコメントしているが、こちらは、やや批判的。なお映画「人間失格」では、双葉山は飲み会の話題の中に上がっている。
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荒野の狼
牧野富太郎の生涯を豊富な写真で紹介したムック本。見開き2ページで、ひとつのエピソードが書かれている形式であり、読者の興味のある点からどこからでも読める内容だが、通読も容易。NHK朝ドラ「らんまん」では、牧野が植物学者として成功するまでの幼少期から青年期が描かれていたが、本書の「第一幕」にあたる。
荒野の狼
2023/11/10 14:18

ここでは、ドラマでは紹介されなかった牧野が18-20歳のときに記した、15カ条の研究心得「赭鞭一撻(しゃべんいったつ)」が掲載。この内容は熟練した研究者が書いたと思えるほどの内容で、高知県立牧野植物園の展示室では現在、大きく取り上げられている。

荒野の狼
2023/11/10 14:18

本書では、その後の晩年の活躍を「第二幕」で、牧野ゆかりの地(練馬区立牧野記念庭園や高知県立牧野植物園、富士山の側面にある宝永山を牧野は醜いとしていたp99,など)を「第三幕」で紹介しており、ドラマのファンにも、牧野を深く知りたい人にも勧められる。また中綴じには「人物ファイル」として、牧野に関わった人々(牧野は、シーボルトが遊女であった妻の名前を花の名前につけたとして非難p53,寺田寅彦などp64)がまとめられている。

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荒野の狼
2015年(平成27年)発行の福島県猪苗代町にある野口英世記念館の紹介した36ページのカラー冊子。記念館の展示物、写真とともに野口の生涯と業績も簡潔にまとめられている。野口英世文部省唱歌の歌詞、母シカの手紙、「忍耐の碑」の欧文格文(Honesty is best policy. 正直は最良の方法である)、誕生地碑(題字は松平容保の子息である松平保男が揮毫)、年表などユニークな情報もコンパクトに掲載されている。本書は、記念館でもウェブでも購入可能。
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荒野の狼
2013年NHK大河ドラマ「八重の桜」の完全読本は「完全読本」と「続完全読本」の二冊が出版、前者が2013年1月に、後者が6月にNIKKO MOOKとして発行された。本書の大きな部分を構成しているのが、主な出演者の写真とコメントが一人あたり1ページある部分と、ドラマのストーリーダイジェスト。ストーリーダイジェストは、割かれているページが大きいのだが二冊でほぼ重複している。この部分は、用語解説が脚注として書かれている点がユニークではあるが、写真が少なく、読み物といってよく、ムックにはなじまない。
荒野の狼
2023/11/07 17:45

また、その後の八重として、晩年の八重の事が紹介されている数ページがあるが、この部分は、ドラマではほとんど描かれなかったので、本書では、もっと詳しく紹介して欲しかったところ。 「続完全読本」には「ゆかりの地を訪ねて」として、京都の史跡・建物が紹介されているが、特に巻末に地図入りで各史跡・施設が紹介されているページは、観光ガイドとして有用。 他にユニークなのは、「続完全読本」の会津若松城図p55で、城内で起こった事件と日付が書かれており、ドラマではわかりにくい、地形上の関係がわかるようになっている。

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荒野の狼
2013年NHK大河ドラマ「八重の桜」の完全読本は「完全読本」と「続完全読本」の二冊が出版、前者が2013年1月に、後者が6月にNIKKO MOOKとして発行された。本書の大きな部分を構成しているのが、主な出演者の写真とコメントが一人あたり1ページある部分と、ドラマのストーリーダイジェスト。ストーリーダイジェストは、割かれているページが大きいのだが二冊でほぼ重複している。この部分は、用語解説が脚注として書かれている点がユニークではあるが、写真が少なく、読み物といってよく、ムックにはなじまない。
荒野の狼
2023/11/07 17:43

「完全読本」には「ゆかりの地を訪ねて」として、会津の史跡や建物が、「続完全読本」には京都のものが紹介されている。特に巻末に地図入りで各史跡・施設が紹介されているページは、観光ガイドとして有用。

が「ナイス!」と言っています。
荒野の狼
本書は、若松城天守閣郷土博物館企画展「幕末から明治へ~会津の女性から見る時代~」はの図録。表紙は新島八重。同展は2023年に会津若松市の鶴ヶ城で9月から11月に開催された。2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公である新島八重と、同ドラマにも登場した大山捨松の二人の女性の生涯が豊富な写真で説明されている。八重については、ドラマではほとんど描かれなかった晩年の看護活動の本人の写真が掲載されており貴重。他に会津若松城の古写真、八重の桜の登場人物の所持品の写真、当時の錦絵、などが掲載。
荒野の狼
2023/11/05 22:36

5ページのエッセー「明治維新という出来事」は、ユニークな視点で書かれており読み応えがある。例としては、学校教育で学ぶ明治維新と会津の立場も踏まえた公平な視点でとらえた明治維新は異なるp32。白虎隊の悲話は、神風特攻隊になぞらえるなど国策に利用されたp33。会津は幕末時点の城下町の石高としては福島県内で最大であり県庁所在地となるべき城下町であった(県庁所在地になっていない城下町としては最大p34)。

荒野の狼
2023/11/05 22:36

「八重の桜」は、賊軍とされた会津の名誉を回復させるテレビシリーズであったが、本書も、会津の名誉を回復させたいという意図が随所にみられる優れた内容である。

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荒野の狼
微生物学者の牧輝弥 近畿大学教授の著書。2023年の日本ウイルス学会で著者の講演を聞き、興味をもったので本書を購入。内容は一般読者を対象としているが、豊富な写真と図で科学的な部分はわかりやすく解説しており、二日ほどで読了できる。本書では、著者の研究の発展が時系列に書かれており、ひとりの研究者が、どのように研究分野を展開させていったのかが自伝を読むように楽しめる。また、これらの話に、人気の映画や小説の挿話が折り込まれており飽きさせない。
荒野の狼
2023/11/02 21:47

納豆臭があり、糸引きがあれば、納豆と認定していよいp140 (16S rRNA遺伝子以外に)地域別での違いを検証するために、より変異の多いは入れるであるgryA, rpoB, polC, purH, groEL遺伝子を使用p171 多くのキノコの粒子はよく飛んでも、宿主植物の生息範囲にとどまるp179 高度数千メートルの山岳にも数百種の微生物種が浮遊p182

荒野の狼
2023/11/02 21:47

以下は改訂版のときに修正が望まれる箇所。 p43 誤「病原性をもち」 正「病原性を持ち」 p98 誤「二酸化炭酸」  正「二酸化炭素」 p124、125 誤「ポリサッカライド」 正「リポポリサッカライド=LPS」

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/04/18(1503日経過)
記録初日
1984/08/04(14544日経過)
読んだ本
1327冊(1日平均0.09冊)
読んだページ
313282ページ(1日平均21ページ)
感想・レビュー
1327件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
現住所
大阪府
外部サイト
URL/ブログ
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自己紹介

Amazonのレビューは2009年くらいから投稿しております。本の長めの感想は、アマゾンの「荒野の狼」の上記URLをご参照ください。本職は医学部で微生物学・免疫学・神経難病などの教育・研究をしております。現在は大阪在住ですが、アメリカで21年間医学教育・研究をしておりました。職場のURLは以下です。
https://www.med.kindai.ac.jp/microbio/

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