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2024年3月の読書メーターまとめ

荒野の狼
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感想・レビュー
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877ナイス

2024年3月に読んだ本
15

2024年3月のお気に入られ登録
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2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

荒野の狼
本書「同志少女よ、敵を撃て」は、2021年アガサ・クリスティー賞大賞作を単行本化にあたり加筆修正したもので、ミステリーではないが、最終盤にアッと思わせる謎解きのような逸話・展開がふたつほどある点で、「クリスティー」の伝統を受け継いでいるとは言える作品。500ページほどの大作であるが、1週間ほどで読了できる読みやすい作品で2022年本屋大賞を受賞しているのも頷けるところ。
zero1
2024/03/09 17:07

こんにちは。本書と「戦争は…」、そして姉の件を解説するレビューは必要かと思います。📚️ひとつ指摘を。【逢坂冬男】は【冬馬】でしょう。

荒野の狼
2024/03/09 17:49

内容は第二次世界大戦の中でも独ソ戦の話で、ソビエトの少女が狙撃手となり、息詰まるアクション、同僚の女性狙撃手チーム内の友情、戦争の悲惨さが語られる。本書には、登場人物のひとりが戦後に(後にノーベル賞を受賞する作家)スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチに「戦争は女の顔をしていない」という題名の本の執筆にあたって取材を申し込まれる逸話があるp476。実際は、本書の著者である逢坂冬馬が、「戦争は女の顔をしていない」を読んで、本書の執筆を構想したということになる。

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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

荒野の狼

2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:8冊 読んだページ数:1315ページ ナイス数:474ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1124113/summary/monthly/2024/2

宵待草
2024/03/01 13:02

荒野の狼さん こんにちは 何時も私の知らない興味深い良書の、ご紹介&詳しいレビューを拝見するのがとても楽しみです!🍀 有り難うございます!🙋 3月もどうぞ、宜しくお願い致します!💫 宵待草

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2024年3月の感想・レビュー一覧
15

荒野の狼
1934年(昭和9年)に島木健作が処女作として発表した短編。島木は1927年に肺結核に感染し、共産党に入党していたが、治安維持法に基づく三・一五事件(1928年)で投獄1932年に仮釈放となる。島木はこの間に転向の声明を行っている。本書の主人公は島木自身を思わせる背景を持ち、肺結核であり共産主義者ゆえに投獄されるにいたって、それ以前に、自分が持っていた信条がゆらいでしまっていることを自覚している。刑務所の結核病棟に隔離されているが、その隣の病棟がハンセン症のもの。
荒野の狼
2024/03/27 15:38

本書では、主人公はハンセン病患者に対し、おもに外見から差別意識を強く持っている(本書では差別的用語が頻出するので注意を要するが、この部分は登場人物の主観として読むのが適当)。ところが、共産党の同志であった人物がハンセン病となって服役しているにも関わらず信条を曲げない姿勢を見て、身体は病気によってダメージ(皮膚病変、感覚障害など)をうけていても「じつに偉大なる勝利者なのである」として、畏敬し羨望するに至る。

荒野の狼
2024/03/27 15:38

執筆当時は、社会的には治安維持法により言論の自由が制限されており、ハンセン病にも結核にも治療薬は発見されておらず不治の病とされていた。当時の社会背景、差別意識、患者および共産主義者の刑務所内での隔離の様子が記載されているという点でも重要。島田は、「黎明」で部落差別についても執筆しているが、当時、ハンセン病や部落差別に関する作品が極めてすくなかった時代に、これらを題材にしている点は高く評価できる。

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荒野の狼
1934年(昭和9年)に島木健作が処女作として発表した短編。島木は1927年に肺結核に感染し、共産党に入党していたが、治安維持法に基づく三・一五事件(1928年)で投獄1932年に仮釈放となる。島木はこの間に転向の声明を行っている。本書の主人公は島木自身を思わせる背景を持ち、肺結核であり共産主義者ゆえに投獄されるにいたって、それ以前に、自分が持っていた信条がゆらいでしまっていることを自覚している。刑務所の結核病棟に隔離されているが、その隣の病棟がハンセン症のもの。
荒野の狼
2024/03/27 15:37

本書では、主人公はハンセン病患者に対し、おもに外見から差別意識を強く持っている(本書では差別的用語が頻出するので注意を要するが、この部分は登場人物の主観として読むのが適当)。ところが、共産党の同志であった人物がハンセン病となって服役しているにも関わらず信条を曲げない姿勢を見て、身体は病気によってダメージ(皮膚病変、感覚障害など)をうけていても「じつに偉大なる勝利者なのである」として、畏敬し羨望するに至る。

荒野の狼
2024/03/27 15:37

執筆当時は、社会的には治安維持法により言論の自由が制限されており、ハンセン病にも結核にも治療薬は発見されておらず不治の病とされていた。当時の社会背景、差別意識、患者および共産主義者の刑務所内での隔離の様子が記載されているという点でも重要。島田は、「黎明」で部落差別についても執筆しているが、当時、ハンセン病や部落差別に関する作品が極めてすくなかった時代に、これらを題材にしている点は高く評価できる。

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荒野の狼
マルクス・エンゲルスによる「資本論」は3巻よりなるが、本書はマルクスの主著である第1巻をベースにしている。原作は物語ではないが、本書は田舎のチーズ職人の息子が資本家と出会ってからどう変わっていくかを、当時の工場労働者の勤務環境とともに描いている。大資本のもとに搾取される工場労働者は、現代の貧富の格差のある社会によく当てはまり、特に派遣社員の状況は、特によく当てはまると池上彰氏は「高校生からわかる資本論」で書いている。
荒野の狼
2024/03/25 13:52

ところが、読者の中には、こうした労働者の資本家による搾取の現実などは、実生活で経験的に共感するところがないと「資本論」自体に興味が起こらない可能性がある。本書は、そうした読者のためともいってよい内容で、工場で酷使される肉体労働者の状況や、金儲けのためには搾取を良しとするかで悩む工場経営者、そうした悩みなど一切なく利益を積むことのみを考える資本家らが登場し、問題意識を読者に受け付ける材料は揃っている。

荒野の狼
2024/03/25 13:52

主人公にからむ家族や幼馴染の女性なども登場し、読後も完結して印象は薄く、「続・資本論」を続けて読みたい気持ちを起こさせるエンディング(ただ「続・資本論」では登場人物の数は少なくなり、幼馴染も登場しないなど「まんがで読破 資本論」のストーリーの完結を求める読者には物足りないものになっていることをお断りしておく)。

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荒野の狼
マルクス・エンゲルスによる「資本論」は3巻よりなるが、本書はマルクスの死後、エンゲルスが完成した第2-3巻をベースにしている。資本論は1巻のみが扱われることが多いので、そうした意味では貴重。章立ては、「商品・貨幣・剰余価値」「利益の追求」「資本主義社会の矛盾」「銀行と信用」「恐慌」で本書の扱う内容は、大企業、下請け企業、銀行といったレベルの話が多く、前作の「まんがで読破 資本論」が労働者個人に対する経営者・資本家という構図と異にする。
荒野の狼
2024/03/25 13:50

登場人物は、前作と主人公らは同じであるが女性陣は登場せず、前作からのストーリーが完結した印象は薄いのが残念。原作の「資本論」を読む前に、実際に関連した内容を物語の形で読んでおくと、原作を読むモチベーションと理解の助けになる。

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荒野の狼
マルクス・エンゲルスによる「資本論」は3巻よりなるが、本書はマルクスの死後、エンゲルスが完成した第2-3巻をベースにしている。資本論は1巻のみが扱われることが多いので、そうした意味では貴重。章立ては、「商品・貨幣・剰余価値」「利益の追求」「資本主義社会の矛盾」「銀行と信用」「恐慌」で本書の扱う内容は、大企業、下請け企業、銀行といったレベルの話が多く、前作の「まんがで読破 資本論」が労働者個人に対する経営者・資本家という構図と異にする。
荒野の狼
2024/03/25 13:47

登場人物は、前作と主人公らは同じであるが女性陣は登場せず、前作からのストーリーが完結した印象は薄いのが残念。原作の「資本論」を読む前に、実際に関連した内容を物語の形で読んでおくと、原作を読むモチベーションと理解の助けになる。

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荒野の狼
2024年に大阪のあべのハルカス美術館で円空の展覧会「円空-旅して、彫って、祈って」を鑑賞後に、本書を20分で読了。円空の生涯は不明な部分が多く、同展覧会の円空年譜も、記載は円空によって造られた仏像が年代順にたどられているものがほとんど。本書は、円空の母が川に流されて死亡したとされる伝説や、架空の幼馴染との恋愛など話で物語に面白みを持たせつつ、円空が青森や北海道まで渡った旅の様子や、円空の生涯にあった政治・時代背景を紹介している。
荒野の狼
2024/03/23 16:58

本書では実際に円空の作品が作画されており、円空展のカタログと対照するのも楽しい。本書に掲載の円空作品で円空展に出品されたものは以下(ページ番号は円空展の図録のもの)。大般若経の見返し絵p39,金剛力士(仁王)立像(吽形)(岐阜県・千光寺p80)、八大龍王像(岐阜県・千光寺p97)、善財童子立像(岐阜県・神明寺p114)、十一面観音菩薩及び両脇侍立像(岐阜県・高賀神社p122)、円空の墓所(岐阜県・関市p124)。

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荒野の狼
2024年に大阪のあべのハルカス美術館で円空の展覧会「円空-旅して、彫って、祈って」の公式図録。展覧会に出品された作品を大判のカラー写真で掲載し、それぞれの解説と作品の背面の白黒写真が掲載。作品の背面には梵字が書かれているものが多いが、この梵字の解説もある(ただし、梵字の基礎知識について解説がないので専門家以外には、この部分は理解は困難)。
荒野の狼
2024/03/23 16:57

なお、円空の漫画に里中満智子(構成)と木村直巳(作画)による「円空 魂の形を求めつづけた旅人」があるが、ここには、本展覧会に出品された複数の作品や円空の墓が作画されている。

宵待草
2024/03/23 17:31

荒野の狼さん こんばんは 『円空』の展覧会を観賞され、良かったですね!🍀 生涯に12万駆の造像を成したとも云われる、円空仏像からは温かいものが伝わって来ます!💫 何時も、有り難うございます!🙋 宵待草

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荒野の狼
多くの歴史的事件では「その出来事に関与した人格を持ち感情や感覚を持った人間というものは、おおむね歴史には登場しなかったp389」。著者は「重大な出来事が起こると、その出来事は歴史に名を残すが、けれども些細なことは、それが小さな人間にとってはいかに重大なことであっても、跡形もなく消えていく。p23」と述べ、これまで大惨事・事件に伴って大勢の市民が経験してきた声をまとめあげ、市民の側の歴史をドキュメンタリー小説という形で発表してきた。
荒野の狼
2024/03/20 09:47

kamakama さんコメントありがとうございます。逢坂さんの新作は未読ですが、「同士少女よ」は読みました。本書の翻訳者の弟だけにメッセージに共通するのは納得です。戦争を代表とする社会問題に、自分が直接関係しないものも含め、声をあげていく事が大切だと思います。それには、まず関心を向けること(例 本書のような本を読んだりして情報を得たり)、それに対して自分の意見を発信していくこと(例 読書メーターへの投稿)が、一般市民が出来ることだと思います。kamakama さんは、既に 声をあげておりリスペクトします。

kamakama
2024/03/21 07:44

読メへの投稿が声を上げることになる、というふうにはまったく考えておりませんでした。そうですね。その方法がありましたね。勇気をいただきました。ありがとうございました。

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荒野の狼
本書「同志少女よ、敵を撃て」は、2021年アガサ・クリスティー賞大賞作を単行本化にあたり加筆修正したもので、ミステリーではないが、最終盤にアッと思わせる謎解きのような逸話・展開がふたつほどある点で、「クリスティー」の伝統を受け継いでいるとは言える作品。500ページほどの大作であるが、1週間ほどで読了できる読みやすい作品で2022年本屋大賞を受賞しているのも頷けるところ。
zero1
2024/03/09 17:07

こんにちは。本書と「戦争は…」、そして姉の件を解説するレビューは必要かと思います。📚️ひとつ指摘を。【逢坂冬男】は【冬馬】でしょう。

荒野の狼
2024/03/09 17:49

内容は第二次世界大戦の中でも独ソ戦の話で、ソビエトの少女が狙撃手となり、息詰まるアクション、同僚の女性狙撃手チーム内の友情、戦争の悲惨さが語られる。本書には、登場人物のひとりが戦後に(後にノーベル賞を受賞する作家)スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチに「戦争は女の顔をしていない」という題名の本の執筆にあたって取材を申し込まれる逸話があるp476。実際は、本書の著者である逢坂冬馬が、「戦争は女の顔をしていない」を読んで、本書の執筆を構想したということになる。

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荒野の狼
百田(ひゃくた)尚樹が、「文蔵」に2016年-2019年に連載した内容に加筆修正して、2020年に発行した本。私は単行本の初版を読了。ボクシングの草創期からヘビー級の歴史をモハメド・アリまでをカバー。1975年に、アリがジョー・フレージャーと三度目の戦いをフィリピンのマニラで戦ったところまでは、丁寧に知名度の低いチャンピョンも白黒写真付きで、カバーしているので、ヘビー級のボクシング歴史としてユニーク。
荒野の狼
2024/03/07 23:45

本書のユニークな点は、ボクサーの名前とニックネームを併記していること。ただし、ニックネームの解釈は誤りと思われるものが多いので注意。たとえばジャック・デンプシーは「Manassa Mauler」と呼ばれたが、これを「マナッサ(デンプシーの生まれた町の名)の殺し屋」と訳するのは間違いで、Maulerは「大きなこぶし」という意味と本書には書かれているp159。しかし、Maulerとは「Maul(叩き壊す)する人」という意味が一般的であり、「殺し屋」と訳するのは、むしろ、こなれた訳と言える。

荒野の狼
2024/03/07 23:45

本書の魅力のひとつは、ボクシング史を世界史にからめて書かれていること。たとえばベルリンオリンピックの時には、ドイツ政府はナチスが弾圧していたヘルマン・ヘッセやトーマス・マンなどの書籍を大会期間中に店頭に並べたp247といった話は興味深い。ただし、ベトナム戦争の記載で「北ベトナムがアメリカ軍駆逐艦に攻撃を仕掛けたトンキン湾事件p415」とあるが、事件はアメリカのでっち上げであることが歴史的にわかっているので、こうした歴史誤認は本書の改定の時は訂正が必要。

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荒野の狼
本書は台湾の作家である林育德による10編のプロレスに関する短編集。それぞれの短編はゆるく関連しているので通読するのがベストだが、独立した話としても楽しめる。フィクションに、実際の台湾の情報・政治などが、各短編の終わりに注として書かれているので、小説の内容が一部はドキュメンタリーのように受け取れる効果が出ている。 表紙は三沢光晴だが、三沢に関するものは「ばあちゃんのエメラルド」は20ページの作品で10分もあれば読了できるが、2016年の台北文学賞を受賞p311している。
荒野の狼
2024/03/03 21:55

このデビュー戦の試合を見た観客の一人を描いたのが「テーブル、はしご、椅子」。「オレンジアナウンサー失踪事件」は台湾で放映されているアメリカのプロレスWWEの番組の中国語の実況アナウンサーが降板した話で、このアナウンサー自身がアマチュアのプロレスラーだったという短編。「パジロ」では、台湾の人口の2.4%を構成する原住民族出身のレスラーの話でマスクに関する話が、前半のマスクのオークションの話へと繋がっていく。

荒野の狼
2024/03/03 21:55

本書の最後に掲載されている短編は「青い夜行列車」で28ページの作品。主人公は台湾のインディのプロレス団体の元覆面レスラーで自分が怪我をした時の試合について語る。試合の内容は、裏話もふくめてリアルで楽しめる。また、この短編で「タイガーマスク」に登場する二代目タイガーマスクのマスクがどこから来たのかが判明し、二つの短編の世界がつながる。

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荒野の狼
2023年に香川県丸亀市の丸亀城を訪れた時に、2016年(平成28年)の増補改訂版を購入。37ページのカラーの小冊子。豊富な写真と図で簡明に解説。吉井勇の歌碑などは探すのが困難で、現地の案内板が不明瞭で、現地の人も場所がわからないので本書のようなもので場所を確認してから行きたい。城の木図は全国でも数少ない木型模型p17.歴代藩主の生駒家、山﨑家、京極家は家系図と家紋や墓の写真付きで見開きのページで紹介。丸亀市観光協会のホームページで無料でダウンロードできるパンプレットも明解なので本書と併せて入手したい。
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荒野の狼
本図録は、2022年度(令和4年度)に高松市讃岐国分寺跡資料館で開催した国指定70周年記念企画展「特別史跡讃岐国分寺跡」のもの。国分寺跡の歴史と遺構を解説。また、四国遍路と讃岐国分寺についても解説され、修行者以外の人々が四国を巡るようになったのは16世紀頃と説明。私は、同資料館には2023年に訪れ、本書を購入したが、他にも「特別史跡 讃岐国分寺跡 史跡ガイドブック」や近くにある「史跡讃岐国分尼寺跡 史跡ガイドブック」も販売。職員の方が3人働いておられたが、隣接の史跡も案内してくれるなど極めて親切。
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荒野の狼
「古寺巡礼 京都」32巻は高山寺(こうさんじ、こうざんじ)で2007年の発行。本シリーズは、建物、絵画、仏像、書が、豊富な写真が掲載されている点が魅力で、本書ではこのカラーページが64ページ。多くは1ページ一枚の大きな写真に簡潔な解説がつく。本書は、高山寺が所持していながら見ることが不可能な寺宝が見られる。高山寺は寺宝を豊富に所蔵しているにも関わらず、実際、訪れても、国宝の石水院くらいしか見られない。
荒野の狼
2024/03/01 22:21

本書では、「現代へのメッセージ」は高山寺山主の小川千恵により、読み応えがある。明恵上人のことば「人は“あるべきやうわ”の七文字を持つべきなり。悪事をなす者も、あるべき様にそむきて、まげて是をなす。此の七字を心にかけて持たば、敢て悪き事有べからずp86」とは、「自分はいかにあるべきかという問いかけは、人として生きていく上で、たえず思いあたるはずのもので、こうした問いかけをしなくなるということ、それは、人であることの放棄にひとしいp84」と説明。

荒野の狼
2024/03/01 22:21

さらに、「あらゆる悪事、不都合は“あるべき様を背く故”もたらされる。問題は、あるべき様が見失われた中で、いかにあらためてこの問いかけを、各人の中に息づいた、現実に即したものとして再生するかp85」。明恵は、護持されるべき約束事を細かに記しているが、これは、「それだけその時々の自らのふるまいをかえりみて、一つ一つの所作もないがしろにすることがなかったということp90」と解説している。

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荒野の狼
「週刊古寺をゆく」36号は神護寺・高山寺。京都西北の高雄・槇野尾(まきのお)・栂尾(とかのお)の三尾(さんび)には、それぞれ神護寺・西明寺・高山寺があり。近接している。本書では、西明寺は2ページほどの紹介で、神護寺・高山寺はそれ以外のページで建物、紅葉、寺宝(伝源頼朝像、鳥獣戯画など)、歴史を地図入りで紹介。神護寺の薬師如来像と土門拳の話は、土門の写真入りで収録されており興味深いp13.巻末には、白州正子著のエッセイ集「明恵上人」などを紹介p34。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/04/18(1463日経過)
記録初日
1984/08/04(14504日経過)
読んだ本
1312冊(1日平均0.09冊)
読んだページ
312089ページ(1日平均21ページ)
感想・レビュー
1312件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
現住所
大阪府
外部サイト
URL/ブログ
https://www.amazon.co.jp/gp/profile/amzn1.account.AGAXCTZNJ3RUL2ZYI3KBAEWCB36Q?preview=true
自己紹介

Amazonのレビューは2009年くらいから投稿しております。本の長めの感想は、アマゾンの「荒野の狼」の上記URLをご参照ください。本職は医学部で微生物学・免疫学・神経難病などの教育・研究をしております。現在は大阪在住ですが、アメリカで21年間医学教育・研究をしておりました。職場のURLは以下です。
https://www.med.kindai.ac.jp/microbio/

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