お話のドライブ感覚がもの凄い。ひたすらに舗装の無い悪路をフルスロットルで走っているのに都度都度ナビゲーションが的確で、最終的にはきちっとゴールに辿り着いてしまうまるでラリーのような読み心地。これは面白い。抜群に面白い。だがしかし、ここには正義も悪も無く言うならば純粋な資本主義に支配された世界があり、表面に広がるものはトラディショナルな暴力だ。暴力のみが衣を纏わずに顕現している世界だ。決着は美しかったが、私が小説に求めているものとはズレが生じていて最高の読書体験とは言い難かった。面白かったのは確かなのだが。

いや凄い。焼きそばの謎シリーズ第2弾は完結編にして遠く三国を股にかける大浪漫だ。おかしいだろ。だってあんかけとはいえ焼きそばだよ？庶民の味だよ？海を越えてメリケン国まで関わるなんて想像もつかないじゃん。それを推論・傍証・実食を絡めて、あんかけ焼きそばにあんまり関心のない私にも面白く読ませてしまうとかホントにどうかしてる。オチも上手く締めてあって小説みたいな読後感があるのもいい。まあ私的に横浜中華街が身近でアレが会芳亭という名だと知らなかったから、リアルにピタッと嵌まったことに快感を覚えたのかもしれません。

長い。謎はたくさん出てくるけれども進展せず、文章は耳慣れない単語の説明や解説が多くて進まず、ワトソン役はたいした魅力もなく、読み易い割には物語の抑揚に乏しくて少々退屈。話が纏まり始める終盤にやっと面白くなってきてエンドマークはさすが古泉迦十だせヤッター！！と両手を挙げて喜びたくなりましたが、冗長なページ数に喜びは正味半減してしまったように思えます。なんか参考文献とか凄くて感心するものの衒学趣味は控え目にして短く纏めて欲しかったなあというのが正直な感想。京極夏彦と丸山天寿を足して2で割ったようなコンセプト？

お話のドライブ感覚がもの凄い。ひたすらに舗装の無い悪路をフルスロットルで走っているのに都度都度ナビゲーションが的確で、最終的にはきちっとゴールに辿り着いてしまうまるでラリーのような読み心地。これは面白い。抜群に面白い。だがしかし、ここには正義も悪も無く言うならば純粋な資本主義に支配された世界があり、表面に広がるものはトラディショナルな暴力だ。暴力のみが衣を纏わずに顕現している世界だ。決着は美しかったが、私が小説に求めているものとはズレが生じていて最高の読書体験とは言い難かった。面白かったのは確かなのだが。