
⇒誰もが経験する青春の美しさと苦渋する老いの変貌を織り交ぜ、人生を映す走馬灯のように淡々と描いていく。ジョヴァンニーノの人生は波乱万丈ではなく、むしろ平凡である。その背景あるシチリア島カターニャのまばゆく照らす陽光が私にも重なり、人生もまんざら悪くないよと、日々老いていくもどかしさと不安を少しだけ和らげてくれたように思えた。
Sakieさん、こんにちは。『娘巡礼記』は著者のお遍路中から熊本日日新聞に連載されたルポなので文章としては整合性のなさや粗削りの部分が見受けられます。遍路に出た年齢を18才と言ったり、私、あたし、妾(わらわ)といった使い方、感情的になってやたらと泣いたり。旅先の宿で執筆をするのに追われて十分な校正や清書ができなかったかもしれません。その分、リアリティがあるので私は好感がもてましたが。『お遍路』も読んでみますね。
⇒突きつけた著者に対しての裁判にも、裏で蠢く国家権力の悪意がある。本人や家族たちの生々しい証言を読み進むほどマヒしてしまい、戦争=殺人という現実が重みを失くし、まるで日常生活の一コマに見えてくるのが恐ろしかった。
⇒たとえ二畳でもホームレスよりマシと思う人もいるだろう。本書で紹介されたお遍路が利用したという四国の茶屋は壁もない東屋。今でいう遍路小屋である。雨風が入るあけっぴろげな造りは、乞食遍路や不審者を締め出すための防犯対策である。これを住居として同列に論じるのはどうかと思うが、正岡子規の六畳間にしかり、表題の二畳にこだわっているわけでもなさそうなので、物足りなさを大いに感じてしまった。
⇒いってもいいのに、その位置づけが低いのは、タテマエとしてタブー視された性がウリだったからと察しがつく。掲載された秘宝館の画像を見ると、昭和レトロな看板のフォントや精巧な蝋人形、大掛かりな仕掛けに過ぎ去った時代を見ることができる。これが離散し消えていくのは残念でならない。文化装置と称え、学術的な見地から真面目に論じた著者の努力を買いたい。
⇒それが集団による残虐行為に変わる過程は人間不信に陥るくらいの生々しさだ。オディールやマーガレットもまたナチスの狂気に人生を翻弄された被害者であるが、自分の居場所を探す力強さのなかに、もろくも揺れる心を絶妙に描いている。そしてこの作品の肝でもある、本の力を信じ、図書館を開け続けることと、本を読む人全員に本を届けることがナチスへの抵抗の形だと、職業意識を越えた信念をもって活動する司書たちの姿が心を打った。
⇒三畳紀の存在を示唆している。化石好きにはたまらない記述だが、ナウマンの最大の業績は何といっても我が国の地質学の礎を築いたことによるだろう。学問以外の場で、プライベートの不幸な事件や東京大学門下生との確執、森鴎外とのボタンの掛け違いのような論争が独り歩きし、その功績が歴史からかき消された背景には、どこかに悪意的な意図を感じる。教科書を含めた学校教育の場でも広く紹介し、正当な評価をされるべき人物ではないだろうか。本書出版の意義は大きい。
⇒ドイツ人だけの責任ではなく、当時のヨーロッパ諸国にも責任があったということ。その根底にあるファシズムや、根強く残る人種差別や偏見について非難していることである。全体主義や右傾化が勢いを増している世界情勢の中で、ホロコーストの生存者は残り少なくなっている。悲劇の歴史を風化させないように記録し、グローバル視点で国を越えて次世代に継承していくことも、今を生きる者の責任のように思う。
まーくんさん、こんにちは。中国、ずっと行ってませんが、今は変わったんでしょうね。あの頃の中国は日本より20~30年遅れていると言われてました。トイレ事情はもっと遅れていましたね。
⇒「尊敬する人は、人からも尊敬される」というジプシーの言い伝えは心に響く。図書館員エステールの読み聞かせにより、どんどん変わっていく子供たちの姿に、「本というものは、寝るところやナイフとフォークと同じくらい生活に必要不可欠」という彼女の考えに、いたく感動せずにはいられない。アンジェリーヌとエステールがナナチスの迫害にあった犠牲者の系譜で、二人の信頼関係を強くする要素となったことも見逃せない。
早期リタイアし、念願の晴読曇読雨読パラダイスに突入。
旅に生き、好きな本を、好きなときに、好きなだけ読む暮らしをさせてもらっています。
飛ばし読み、流し読み、斜め読みは性に合わないので、本は一字一句最後まで読み切るタイプです。
なので、駄本に気づいて後悔することしきり。
近年はノンフィクションが多くなっています。
博覧強記を目指しているわけではありませんが、未知のジャンルの作品に出会うことが無上の喜びです。
読書以外の趣味は登山、歩き旅、昭和レトロを探す町歩き、B級グルメ食べ歩きです(歩くことが好きなんですよ)。
消え去りゆくホーロー看板がある風景を訪ねて、全国を旅した記録を発信するサイトを作っています。
◆ホーロー看板探検隊が行く
https://horotankentai.sakura.ne.jp/
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