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2024年5月の読書メーターまとめ

つちのこ
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2024年5月に読んだ本
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  • Zawa Zawa

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

つちのこ
巻末の参考文献リストに秋元健治著『狙撃兵ローザ・シャニーナ―ナチスと戦った女性兵士』が無かったのは意外だったが、これを先に読んでいたので、本書がもつ背景も理解でき物語にすんなりと入っていけたと思う。赤軍の女性狙撃兵を養成する学校は志願者も多く人気だったようだが、ここでは事情が少し異なり、主人公のセラフィマを始めそれぞれがドラマチックな過去をもって入隊している。作品に込めた意図を感じるのは、生と死のはざまで活動する彼女たちが冷酷な殺し屋にはなりきれず、人の命の尊厳を見つめるまなざしが一貫して流れている⇒
つちのこ
2024/05/11 17:50

⇒ということ。殺伐とした戦闘シーンばかりでなく、10代のティーンらしさの描写にも温かみもあり、作品の厚みを感じた。デビュー作にしてこの重厚感、日本人が描いたとも思えない冒険小説に心底驚くことになった。作中に出てきた「ソ連とウクライナの友情」は今は存在しないし、アガサクリスティー賞の評者の北上次郎氏も鬼籍に入った。遅ればせながら、今頃になって本誌を手に取ったことを少し後悔している。

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2024年5月にナイスが最も多かったつぶやき

つちのこ

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2024年5月の感想・レビュー一覧
11

つちのこ
五編をまとめたチェーンストーリー。最後の話で全体がつながる上手い構成になっている。オチもいける。差配役人の淡々とした日常の中で、上役の横暴に振り回され、辟易する様子は悲哀を抱えた現代の中間管理職のサラリーマンのよう。江戸時代といえども宮仕えの辛さは今も変わらぬということか。これまで著者の四作品を読んできて思うが、音を感じる季節の移ろいや、食欲をそそる匂ってきそうな食事の描写がいい。食にこだわった池波正太郎の作品を彷彿とさせるのは、著者の意識ゆえだろうか。いずれにせよ、しばらくは追っかけたい作家である。
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つちのこ
本は味わって読むのがいい。心地よい昼寝を繰り返しながら、のんびりとページをめくり5日間かけて読了。自然体で飾り気のない文章が、気持ちのよい眠りを誘ってくれたようだ。昼寝と午睡の違いに触れたエッセイは、なるほどそうなのか、と納得。午睡はなんだか格調高く庶民的ではない。私は、やっぱり昼寝だろうか。1980年代後半から還暦を過ぎ、21世紀を迎えるあたりの老いていく姿を綴っているが、そこには自然体に生きる著者ならではの死生観の変化がみえる。その人も今、92歳。これからも元気づけてくれるメッセージを発信してほしい。
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つちのこ
前作『コードネーム・ヴェリティ』は錯綜する内容に苦戦しながら読了したが、姉妹編ともいえる本作は、ひねりも少ない直球勝負のスピード感溢れる描写に救われ、テンポよく読み切ることができた。前作のヒロイン、マディが脇役で登場したり、収容所監視員のアンナが重要な役割で絡むところも憎い演出。ラーフェンスブリュック収容所でのナチスの残虐行為は生還者による証言をもとに描かれており、フィクションといえども、そのむごさは戦慄の内容。アウシュヴィッツでのメンゲルによる人体実験は有名だが、ここでもウサギと呼ばれる少女たちへの⇒
つちのこ
2024/05/25 21:09

⇒同様な実験が行われていたことを知ることができたのは収穫だった。ともあれ、生還者のが抱えた体と心の傷は簡単には癒えることはないだろうが、ニュルンベルク裁判での闘いの行方も気になるところ。ぜひ続編も発表して欲しい。最後に、文中に出てくるローズの詩はこれ以上ない名訳。訳者の詩への思い入れと力量を感じた。

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つちのこ
“狐と狸の化かし合い”…坂道を転がるように、どんどん雲行きが怪しくなっていく一馬と未帆子のメッセージのやりとりを読み進めるにつれ、そんなフレーズが真っ先に浮かんだ。しかし、これは著者があざ笑うかのようなほんの甘い読みでしかなかった。怒涛の展開の最後の数ページは、めくる指先にも力が入り、結末の一行に真っ青になった。怪談噺の最後の決まり文句で「それはお前だ!」と指を突き付けられたあの感覚とでも言おうか。下馬評からも気になっていたが、確かに、これは心臓に悪い小説だった。
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つちのこ
本書に寄せた「はじめに」と「あとがき」は93歳になった著者の渾身のメッセージ。これがいい。ついでに大きな活字も。65歳は折り返し地点と考え、そこで諦めて枯れるか、もう一花咲かせるのか、最後の最後まで人間は走ってみなければ分からない。前期高齢者の仲間入りをして、日々老いていくことに不安と嫌気が差していた自分だが、もっと楽しもうじゃないか…という気にさせてもらった。本を読むだけで知的な老い方ができれば嬉しいが、それだけでは物足らない。やはり死ぬまで新しいことにチャレンジし続ける精神。これに尽きるようだ。
KAKAPO
2024/06/20 10:06

つちのこさん、おはようございます。死ぬまでチャレンジし続ける精神。私もそんな気持ちで残りの人生を楽しみたいと思います。

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つちのこ
今年度の65歳以上の孤独死者数の推計が過去最高の6万8千人となるというデータが昨日発表された。家族や社会から孤立し、誰にも看取られないで死を迎えることはもはや珍しくもない。本書で、著者は遺棄社会という辛辣な表現を使い、その実態を生々しくルポしている。家族関係の希薄さを象徴してか、葬儀を行わない直葬があたり前になり、納骨もされない。遺骨の引き取りを拒否するケースも増えてきている。業者を使っての近親者なしでの火葬がふつうの世の中になる近未来を自分の死後に当てはめてみると、遺棄社会がより身近な言葉に思えてきた。
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つちのこ
不思議な世界に絡めとられたのに、まだその先に踏み込んでみたくなる欲求と余韻が残る作品。普通でないことが異端ならば、異端とはなにか。マニュアルは単なるルールや指針であって、個性を消してそこから脱線しなければ、責められることもないし、身の安全も担保できる。生きづらい時代の中で、無理に同化し続けなければならない世間こそ不条理なのだろう。恵子は決して少数派ではなく、むしろ巷に溢れている存在ではないか。普通の人間として社会に溶け込んで生きるためのルールに隠れ、仮面をかぶり続ける日々のほうがむしろ異端でおぞましい。
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つちのこ
巻末の参考文献リストに秋元健治著『狙撃兵ローザ・シャニーナ―ナチスと戦った女性兵士』が無かったのは意外だったが、これを先に読んでいたので、本書がもつ背景も理解でき物語にすんなりと入っていけたと思う。赤軍の女性狙撃兵を養成する学校は志願者も多く人気だったようだが、ここでは事情が少し異なり、主人公のセラフィマを始めそれぞれがドラマチックな過去をもって入隊している。作品に込めた意図を感じるのは、生と死のはざまで活動する彼女たちが冷酷な殺し屋にはなりきれず、人の命の尊厳を見つめるまなざしが一貫して流れている⇒
つちのこ
2024/05/11 17:50

⇒ということ。殺伐とした戦闘シーンばかりでなく、10代のティーンらしさの描写にも温かみもあり、作品の厚みを感じた。デビュー作にしてこの重厚感、日本人が描いたとも思えない冒険小説に心底驚くことになった。作中に出てきた「ソ連とウクライナの友情」は今は存在しないし、アガサクリスティー賞の評者の北上次郎氏も鬼籍に入った。遅ればせながら、今頃になって本誌を手に取ったことを少し後悔している。

が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
売れっ子過ぎてメディアの露出も多いので、何となく敬遠してきた角田さん。『八日目の蝉』『紙の月』からは手に取ることもなかったが、『絶景本棚3』の圧倒的な蔵書を見て、この作家の印象が大きく変わった。本書を読むと、この人はほんとうに本が好きなんだなと、その読書愛に納得。解説の的確さは言うに及ばず、本質を見抜く鋭さを感じる。作品に溢れるリアリズムの源泉は開高健に影響を受けたのだろうか。対極をいくような開高の食の作品群と東海林さだおの丸かじりシリーズとのギャップも面白く、どちらにも尊敬のまなざしと深い愛情が見えた。
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つちのこ
イスラエルでの裁判によってその存在が知られたアイヒマンであるが、エルサレム以前の彼を知ることは、後の時代に作られたアイヒマン像と比較するうえで重要である。本書は多角的にそれを検証している。歴史に残る殺人者として成功者となった彼は、ユダヤ人絶滅の象徴的存在であったことを十分に認識しながらも、国家事業と割り切り、犯罪を自己正当化する。更にアルゼンチンに逃亡したナチ戦犯たちと旧ナチ共同体を築き、あたかも逃亡生活をエンジョイするかのようだ。自分を誇示するために南米に残した資料や足跡は闇に生きる逃亡者として⇒
つちのこ
2024/05/07 15:11

⇒理解し難く、その狡猾さには虫唾が走る。稀代の大量殺戮者としての位置は揺るがないが、アイヒマンファイルの存在により、旧ナチ共同体やネオナチを刺激し、彼をホロコーストの象徴的存在にしてしまう危険が現実化する。このリスクと恐ろしさにドイツはどう責任をとるのだろうか。

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つちのこ
盛り上がりに欠けるまま読了。神山藩シリーズの前二作で流れるような美しい描写とスピード感溢れる構成に面喰ったことに比べると、これはちょっといただけない。そもそも、物語を引っ張っていく主人公が、18歳の総次郎なのか祖父の左太夫なのか、どちらに主眼を置くのか迷ってしまい、感情移入が難しかった。ミステリの要素も陳腐で意外性がない。かろうじて、前作つながりの一膳飯屋の〈壮〉の登場や食欲をそそる食事の描写には、池波正太郎の世界を彷彿するものがあり、惹きつけられた。筆力がある著者なので、これに懲りずにまだ読み続けたい。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/05/03(1517日経過)
記録初日
1986/01/19(14040日経過)
読んだ本
3131冊(1日平均0.22冊)
読んだページ
966213ページ(1日平均68ページ)
感想・レビュー
2962件(投稿率94.6%)
本棚
28棚
性別
現住所
岐阜県
URL/ブログ
https://tsuchinoko2006.blog.fc2.com/
自己紹介

早期リタイアし、念願の晴読曇読雨読パラダイスに突入。
旅に生き、好きな本を、好きなときに、好きなだけ読む暮らしをさせてもらっています。
飛ばし読み、流し読み、斜め読みは性に合わないので、本は一字一句最後まで読み切るタイプです。
なので、駄本に気づいて後悔することしきり。

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