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そして悪徳画商なんだけど、これさよならソルシエのテオに影響受けすぎだと思う。さよならソルシエではテオがいつまでも売れないゴッホを殺して不遇な天才作家と死後に演出する合理性があったが、「画家とAI」の場合、いくら反戦運動をして作風が変わったからと言って、既にかなりの名声を得て、とっくに箔は付きすぎるほどついている主人公を今から殺したからと言って、死後に名声が倍倍になるということはさすがにないと思う。
むしろ彼のノームを奪って無理矢理彼の作品を作らせ続ける展開にしたほうが、人の手を離れても表面上作品を作り続けられる生成AIの問題提起になったのでは?
追記、面白く読んだけど、「孤独死するような老人は大金持ってるのは変」っていう偏見がこの本の底にはあって、それは事実なんだけど、珍奇な人生を送った故人に対して野次馬根性丸出しで品のいいものでは決してないことは確か。ただ、この話から全国の孤独死問題に切り込む作り方もできたのにあえて「不思議な取材記」ふうに仕上げているのはそういう下品さを割り切っているのだとは思う。
一番面白いのはプロローグだろう。死刑囚列伝のようなものは他の本を読む選択肢もあるが、1970年代半ばころから本書の書かれた1995年までに死刑囚の処遇がどのように悪化していったのかという部分は他の本ではあまり得られない情報だった。曲がりなりにも集団処遇が行われていた1995年当時から、死刑囚同士の交流も厳に禁じられた2022年現在はより悪化しているといえるだろう。
ASDかつ内海と聞くと某先生を思い出すのだが、流石にそれは違って、セリフにも一瞬あるように「ウツミソウ(鬱/躁)」はおそらく広くメンタルヘルスの問題の存在をほのめかすための名前なのだと思う。(双極性障害は関係はい)
わかさん、内海の名前にそんな意味が秘められているとは気付きませんでした!!目からウロコです(*'ω'*)
文系院生専門とはあんまり関係ない精神病理の本を読んだり、読まなかったり
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そして悪徳画商なんだけど、これさよならソルシエのテオに影響受けすぎだと思う。さよならソルシエではテオがいつまでも売れないゴッホを殺して不遇な天才作家と死後に演出する合理性があったが、「画家とAI」の場合、いくら反戦運動をして作風が変わったからと言って、既にかなりの名声を得て、とっくに箔は付きすぎるほどついている主人公を今から殺したからと言って、死後に名声が倍倍になるということはさすがにないと思う。
むしろ彼のノームを奪って無理矢理彼の作品を作らせ続ける展開にしたほうが、人の手を離れても表面上作品を作り続けられる生成AIの問題提起になったのでは?