ある肉牛の最後の旅。間も無く食べられる牛が故郷に帰り、自らのルーツを思い返す。あらゆる動物の中で、肉牛に生まれてしまったばかりに食べられるべく育てられてきた運命を、作中では肉牛自身は既に受け入れている。肉牛の苦しみが描写されることもなく、ぼかしの入った絵のタッチも効いており、悲壮な雰囲気を感じさせないが、肉牛の最期の願いには肉牛生の無情さを感じざるを得なかった。

茶の湯の歴史上の役割について、豊富な文献をもとに丁寧に説明がなされている。茶の湯の政治的な役割だけではなく、今も尚探求が続けられている利休の茶が人々の関係にもたらすものについての考察もなされており、茶道を修める者にとっても興味を持って読める新書であった。

ある肉牛の最後の旅。間も無く食べられる牛が故郷に帰り、自らのルーツを思い返す。あらゆる動物の中で、肉牛に生まれてしまったばかりに食べられるべく育てられてきた運命を、作中では肉牛自身は既に受け入れている。肉牛の苦しみが描写されることもなく、ぼかしの入った絵のタッチも効いており、悲壮な雰囲気を感じさせないが、肉牛の最期の願いには肉牛生の無情さを感じざるを得なかった。