平さんの過去が詳らかにされていくにつれ、彼の人柄、深い悲しみに触れられる構成。ふたりが一緒にいられなかったことを思うと悲しいけど、もし一緒にいてもそのときはうまくいかなかったのかも…でもやっぱり切ないことには変わりないね。何十年の時を経て、悦子さんが今幸せなことはよかった。

平さんの過去が詳らかにされていくにつれ、彼の人柄、深い悲しみに触れられる構成。ふたりが一緒にいられなかったことを思うと悲しいけど、もし一緒にいてもそのときはうまくいかなかったのかも…でもやっぱり切ないことには変わりないね。何十年の時を経て、悦子さんが今幸せなことはよかった。

エッセイ。かわいい方だなあ。ミドリと結婚したり、筆名を「くどうれいん」に統一したり。家族や恋人や、大切なひとを大切にしたいと改めて思ったよ。

短編集。大好きな平野啓一郎さんの新刊であるうえ、本の説明書きにあった「あり得たかもしれない人生の中で、なぜ、この人生だったのか？」とのフレーズに心を思いっきりつかまれ購入。かき氷屋が満席で仕方なく入ったマクドナルドで内視鏡検査の話を「たまたま」小耳に挟み、自分も受けてみたところステージ0の超早期発見、何度も何度でも「もしかき氷屋に空席があったら…」と考える『息吹』がとりわけ印象的だった。

こんな長い回文ってある？？スゴすぎる。(先月の又吉さん講演会、朗読していたのが「心映る川と月、甘い恋と曖昧、あと憩い。まあきっとわかる、通路ここ。」でした。詩的ですよね。てか詩ですね。)又吉さんの散文と満島さんの回文が面白く融合。イチオシは、「こんなにメキメキと何度も言うよ イラつく辛い用意もどんなトキメキ！目に何個？！」です。文化祭のちょうちんを学生帽男子と大量につくる話。

何から何まで好き。タイトル、装丁、歌、使ってるフォント、ページや歌によってレイアウトを変えてるところも。サイン本なんだけど、サインに、日付と時間まで書かれてるのがなんかうれしい。特に好き→きみに会うときのわたしが好きなのに あなたらしくとか言わないで(P31)/楽しんで暮らせば溜まる髪の毛の捨て方なんて習わなかった(P48)

母とユキさんからたくさんの愛情を受けて育った。そこからが過酷なのと、最後…。さよならっていつかは言わないといけないことはわかる。わかっているつもり。でも、事故で急に…ってあんまりやん。小説の世界では、せめて、もうちょっと癒されたかった、と思った私は疲れているのだろうか？ただ、静かな文体はとても素敵だった。他の作品も読んでみたい。

性を超えたその人自身に対する愛？SFで前衛的なうえ文章がちょっと読みにくくて、わからなさにひっぱられて呆然としてしまった感がある。修行が足りない。悲しい。

ANA機内誌の連載がこれにて終結したらしい。肩肘張らないリラックスした文章が心地いい。今度の小説の新刊予約しているのだ。楽しみだなあ。引用→やはり人間というのは、何かを始めようとしているときが一番臆病で、そして一番勇敢なのだと思う。(P24、25)

こんなコアな本が関西でもなんでもない図書館にあるなんて感激！大学生のときに大阪にいたがゆえ、土地勘あるからさらに面白かった。あと、お酒が当然のように飲みたくなってしまい、読了後ウォッカのソーダ割を飲んだ。笑

商店街で生まれ育った姉妹がさびれた商店街を復興させよう！と奮闘する。シャッターを閉めていたり開店休業状態になっている店がどうして多いのかなど興味深く読んだ。原田マハさん『ランウェイ•ビート』を読んだときのワクワク感に近いものを抱いた。

名言の宝庫。ひっそり生きているが近しい人にしてみればめっちゃ面白い的な人なんだろう。私もやりたくない面倒事を片づける前、「まだ少し先のお話」と言ってみるかね。短歌引用→活躍をお祈りされる筋合いはないが見たいのなら見せてやる(P113)/蚊になって叩きつけられ君の寝る部屋の壁紙のシミになりたい(P173)/取り急ぎ今抱きしめていいですか？希望の光が消えそうなので(P175)/カスばっかだけど賑やかだったなと滅亡後に神を泣かせたい(P192)/ネタバレはわりと平気な方だから来世のぼくの笑顔が見たい(P219)

『逃亡くそたわけ』の続編。逃避行から幾年が過ぎ、それぞれの家庭を築いた2人が偶然再会する。コロナ禍の描写があり、あの息詰まる感じを思い出した。まっとうな人生を送りたいと願い、実際頑張って送るんだけど、(大したことでなくていいから)逃亡しないとやってられない時はあるものだ。

「海」がテーマの短歌たち。一回り小さいハードカバーが手にやさしくなじむ。新しく歌人を開拓したい場合にも◎‼︎以下引用:夜の海すこしあかるい黒が夜、暗くて濡れている黒が海(P5 くどうれいん)/あっ、ビデオになってた、って君の声の短い動画だ、海の(P31 千種創一)/アルフォートまず海を噛むわたしたち少しことばを使い過ぎたね(P45 toron*)/きみの名になるかもしれなかった名がいまも浮かんでいる海がある(P50 榊原紘)/つないだ手やわらかかった春の海まぶしいままで終わりにしたい(P65 上澄眠) ⇒

素晴らしいと一言伝えたい。後半怒涛の展開で、この頑ななまでのルーティンへのこだわりは思い出すのも苦しい過去にあった。まさかさんの、浜野の過去を最初から知っていて、知ったうえでやさしく寄り添うところにほっとした。一緒にいてゆっくりできる人ってすてき。ナチュラルボーンチキンって裏を返せば他人の痛みにも敏感だから、それってある意味美点になるよと私は思う。

メッチャ良い。『恋愛の極端なもの』だとありきたりなのに、『ボーイミーツガールの極端なもの』になるとこんなにもハイカラ。タイトル通り本当に多種多様な恋愛があるわけで、それが変種のサボテンに表現されているところがまた面白い。「白刺竜女冠」などサボテンひとつひとつも名前がまた興味深い。この本、文庫になってないのはなぜだろう。多くの人に届いてほしい。

性別、愛、それってなんなのか。とらえどころのない展開でありながら「記号としての男や女の身体ではなく、ただ、肉体そのものとして愛し合う、そんな単純なこと」(P183)に気づいた里帆、わかるよと思った。私は女で、いいと思う対象は男の人だけど、性別がどうこうよりその人そのものを好きでいたいと思うし…愛するって難しいね。

題の通り本当に辛口。特に他人に責任転嫁している人に超厳しい。ただ、多くはただ厳しいだけではなく叱咤激励というのか、前を向かせるようなコメントを残しており、愛がある。