再読。児童養護施設で奮闘する新米職員をはじめとする群像劇。三田村の、少し頼らないながらも優しいところとか、俺がその立場だったら、と相手の立場になって考えるその柔軟さ、得難い美点だなと思う。私は事務職に就いていて福祉の世界とは畑が全然違うけど、社内の人にも社外の人に対してもその気持ちが大事だな、伝わるものだなと常から思っている。忘れずにいたいなと思う。

久々にストレートに刺さる作家を新たに開拓できてうれしい気持ちでいっぱい。一気に読んだ。どうしたって自分は自分でしかあり得ず、流されるも自ら切り開いていくも決めるのは私自身でしかないのだ。とにかく美紀がカッコいいけど、自分の世界の狭さを知り飛び出した華子のこともカッコいいなと思う。

面白かった、ただ謎い作品ではあったなあ。典子、吉元ともマジで何を考えてるのかわからない。特に、典子。吉元(特に恋人というのでもなさそう)が住みたいと言う菊葉荘に潜入し、べつに何とも思ってない蓼科と半同棲状態まで持ち込む。果たしてなんのためにここまで菊葉荘に執着したのだろうか。なにがしたかったんだろう…。

前作に引き続き、三好愛さんのイラストが素敵だな〜。80代の方の相談もあり、いくつになっても悩みは尽きないのね…とどんよりもするが、高橋源一郎さんの明快でありそれでいて慈愛に満ちた回答にほっとする。引用:だとするなら、きちんと考えれば考えるほど、わかってくるはずです。他人を理解するなんて難しいこと、やりたいことなんて簡単には見つからないこと、友達なんてほとんどみんな上べだけの付き合いにすぎないこと。(P153)

その後『僕とネモ号と彼女たち』にタイトルを変えたらしいロードノベル。行き先は特になし。そのときどきに出会う女子との無目的なドライブ。なかなかこう、何がどうだったという感想が思い浮かばなかったという珍事態に！！

今年もやってまいりました、東京バンドワゴンの季節が…！ ある種の様式美といえるサチさんのはじめのご挨拶。やわらかな話し方がすてきでうっとりするし、最近は登場人物も本当に多いので前回までの復習の意味合いもあるな。家族だと思ってもらって嬉しかった、と話す池沢さんに、「思う、じゃなくて家族だよ？」と青が返したところで泣いたよ。さみしくなるなあ。でもまたいつでも会えるから、大丈夫だよね。

どうしても許せない人がいて、そもそもこんな他人に対して許せない気持ちになることなんて今までほぼなくて、動揺がすごくて苦しかったので手に取った。タイトルが直球や！と思ってさ。 結局それを解決してくれる内容ではなかったけど、正義中毒(自分と直接利害関係がない立場の人が例えば不祥事を起こしたとして、関係ないのに、鬼の首取ったみたいに叩きのめすアレ)に陥りそうになったときの対処法、参考になった。「そういう自分はどうなのか」とたちどまって考えるメタ認知。思考を柔軟にするにはいつもと違う選択をあえてする、など。

エッセイ。筆者はアクが強いながらも優しい、みたいな人だなという印象を受けた。会が嫌いで強制されるのはもっとわからん、みたいな件に共感。ただ危ういというのか、自分が体調悪いと引っ張られるから読む場面を選ぶかな。

根っからの陽キャって菖蒲みたいな人のことをいうんだろう。超ポジティブで、「悩んでる暇あったら楽しも？人生楽しんだもん勝ち✌️」みたいなことをどんな体調・気分のときでも思ってそうなところがスゴい。北京に限らず月の裏側とかだったとしてもやっていけそう。

再読。児童養護施設で奮闘する新米職員をはじめとする群像劇。三田村の、少し頼らないながらも優しいところとか、俺がその立場だったら、と相手の立場になって考えるその柔軟さ、得難い美点だなと思う。私は事務職に就いていて福祉の世界とは畑が全然違うけど、社内の人にも社外の人に対してもその気持ちが大事だな、伝わるものだなと常から思っている。忘れずにいたいなと思う。

最果さんの本は装丁がものすごく素敵。今回も最高オブ最高！！時に刺さりまくる文章有。以下引用:私は感情の起伏が激しくてなんでも気持ちが強まりやすく深まりやすいのだけど、最近これは「心が派手」ということなんだなと思うようになった。(P49)

素敵〜！短編6編。クリムトの作品、最近とても気になっていて、いつか実物に会ってみたいと思う。〈あの絵〉(とは、モネだったりクリムトだったりそれぞれ色んな絵を指すが)の前で、運命的に心を打たれる。美術館に行きたくなった。

40年ちかく前の工場見学エッセイ。アデランス工場、人体標本工場などニッチなところを攻めてくるなァ。これらの工場は、時代も状況も変わった今でも稼働しているのだろうか。

悶絶するくらいベタで昭和なかんじ(言い回し、ヤンキーの感じ、酒、タバコ)で、読んでて赤面するいきおいである。ただ、そこは山本文緒さんで、読んでて元気になるというか、思春期の登場人物たちが愛おしくなる物語だった。諸君、そのまま突っ走れ。

環のようにとなり合う話がつながっている連作短編集。前向きでいることがツキを呼び込むのだ！「独立」することって、親元を離れるとか、会社をやめて起業するとかに限らず、つらいこととか心が囚われていることから「独立」するっていうような話も入っていて、何だか読者である私の気持ちまで軽くなっていくようだった。

夫が風呂に入らなくなったら。どんどん体臭がきつくなる夫に風呂に入るよう強制するでも懇願するでもなく、罵声を浴びせるでも生理的に無理と遠ざけるでもなく、一応受け入れてしまう。といって常に世間からはどう思われるんだろうと考えているので、夫に関心がないわけではないし、幸せでいてほしいと思っているため、そこに愛はある。ラスト…夫はどうなったのか気になる。

小学生男子の部屋の押入れで交互にチャット嬢になることにした高3の朝子、っていう設定面白いな。2001年時点のチャット、古いな！とか、パソコンはガーガー言うだろうから親にバレてないはずはないよな…とか色々思ったが、朝子の将来にゆるーく絶望している感じは身に覚えがあった。

再読。怖すぎるな。じわじわ佐竹が復讐してくるのが恐ろしく、邦子が送られてきたときは声出た。またそれ以上に各人の金銭的・心理的な飢え、それから来る心の闇がおそろしかった。それぞれに毀れており、毀れていき、出口を目指すが、そこに救いはない。

「おもろい以外いらんねん」ってタイトル秀逸じゃない？キャッチーで。アクキーにしてポーチにつけたい。「おもろいこと」の基準が変わって きてる状況、芸人さん視点だとこんな感じなんだ…。色々考えこんでしまうセリフが散見されたな。「お笑いに対しておもろい以外のことをいったりするのを俺はおそれていた。自分が自分が楽しんで笑っているものがダメなところを持っているのだと認めたくなかった」(P84)