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2024年4月の読書メーターまとめ

ラーク
読んだ本
10
読んだページ
3207ページ
感想・レビュー
8
ナイス
141ナイス

2024年4月に読んだ本
10

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ラーク
ネタバレ作者の作品を読むのはずいぶん久しぶりだった。ライトノベルからライト文芸に移行する過渡期にお世話になった記憶があるが、その頃からの「うまさ」は現役なのだな、と思う。 言いたいことならいくつかある。話の筋はあまり新鮮味を感じないし、父親の人物造形についても若干の不満が残る。霧子さんによる終盤の推理披露も、聊か突拍子がないように感ぜられた。けれど、この作品の根幹にあたる、作品全体を貫いてきた一つの事実。それが与える衝撃と、それを知った瞬間に回収されたタイトルが、この作品の魅力を十二分に物語っていた。面白かった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
8

ラーク
この作品は前に短編版を読んだことがあった。長編版は今回初めてだ。 短編版とは異なり、急激な知能の変化に追いつけないチャーリーの情緒的な不安定さや、チャーリーが自らの境遇について自覚し、苦悩するさまを重点的に描いている印象を受ける。特に印象的だったのは、知能を得た後のチャーリーが、得る前のチャーリーを”彼”と呼び、あたかも自分とは別の存在であるかのように認識していたこと。彼はそうしなければ、自分がかつて「何も知らない」うちに経験していた、過去とトラウマを上手く処理することができなかったのではないだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ラーク
ネタバレこの作品を読んだ人は2種類に分かれると思う。ドミノ・ピザを食べたくなる人と、ドミノ・ピザを食べられなくなる人だ。……という冗談はさておき、この作品では、人間の「死」が、様々な距離・解像度で描かれている。それぞれの死に対して、もちろん主人公であるトラヴィスは異なるスタンスをとるのだけれど、戦争や虐殺によって殺された人たちの骸を極めて俯瞰的に眺める彼が、一方で母の死にトラウマを負い、リツィアの死に動揺するのがどこか皮肉的に感じられた。科学が発達した世界において、人間とは何かということを改めて問われた気がする。
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ラーク
医師は、哲学者と科学者、二つの人格を裡に持つ。作中でも語られていたこの事実が、この作品を一本貫くテーマとなっている。生きるか死ぬかの瀬戸際にある人間と向かい合って過ごす医師は、恐らくこの世界のどんな職業よりも、生きること、死ぬことに対して向き合わなければならないのだろう。ただ「治す」だけでなく、「看取る」という選択肢も常に考慮に入れなければならない町医者であれば猶のことだ。答えは決して出ることはない。考えれば考えるほど沼にはまっていくこともある。そんな中でも活動する医師たちの軌跡は、とても美しいと思った。
が「ナイス!」と言っています。
ラーク
ネタバレ作者の作品を読むのはずいぶん久しぶりだった。ライトノベルからライト文芸に移行する過渡期にお世話になった記憶があるが、その頃からの「うまさ」は現役なのだな、と思う。 言いたいことならいくつかある。話の筋はあまり新鮮味を感じないし、父親の人物造形についても若干の不満が残る。霧子さんによる終盤の推理披露も、聊か突拍子がないように感ぜられた。けれど、この作品の根幹にあたる、作品全体を貫いてきた一つの事実。それが与える衝撃と、それを知った瞬間に回収されたタイトルが、この作品の魅力を十二分に物語っていた。面白かった。
が「ナイス!」と言っています。
ラーク
ネタバレ誰にも聞かれることのない声。52ヘルツの鯨という個体の話が、登場人物たちの境遇のこれ以上ない隠喩として機能している。特に、”52”の「声が出せない」という設定と、「仲間たちに聞こえない声を発する鯨」という表面だけなら正反対の要素が、ここまで調和している表現力の高さに脱帽した。あえて瑕疵をあげるとすれば、思ったよりは主人公の過去の話が長く、現代の話がやや薄目で予定調和に過ぎる感は否めないところ。だが逆に言えば、このテーマをこの長さにまとめている筆力は見事だと思う。
が「ナイス!」と言っています。
ラーク
ネタバレ人間の二面性。それとどう向き合うか。それをテーマの根幹として、巧みな伏線とミスリードで話が展開されていく。前半読みながら胸の内でわだかまっていた違和感のようなものが、後半思わぬ形で効果を発揮するさまは非常に心地良かった。テーマがテーマなだけあって、人物造詣がやや過剰なきらいはあるものの、エンタメとしてはむしろそれが作品の面白さを引き立てている。そして、その裏テーマ(と言っていいのかはわからないけれど)として就職活動というシステムを皮肉的に描き出しているのも個人的には面白かった。
が「ナイス!」と言っています。
ラーク
フィクションを通して現実における様々な問題、しかも現代の問題だけでなく、将来起こりうる”可能性”とも向き合った作品。時代が変わり、社会が大きく変わっても、人が「生きていくこと」そして「死ぬこと」の根幹は変わらない。自分はなぜ生きるのか。自分や、近しい人の死とどう向き合うのか。いくら科学技術が進歩し、仮想現実空間が拡張しようとも、その答えを探すのは容易ではない。しかしその中で、この作品は一つの考え方を提示してくれていると感じた。
が「ナイス!」と言っています。
ラーク
随筆の趣を持った小説。人間観察がとても緻密で、詩的な表現でその人物の魅力を描き出している印象を受けた。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/07/12(4698日経過)
記録初日
2011/07/12(4698日経過)
読んだ本
487冊(1日平均0.10冊)
読んだページ
121593ページ(1日平均25ページ)
感想・レビュー
59件(投稿率12.1%)
本棚
0棚
性別
年齢
31歳
外部サイト
自己紹介

基本的には雑食。一般文芸もラノベも漫画も読む。ただ最近は文学に偏り気味。
好きな作家は村上龍、村上春樹、中村文則、平野啓一郎、西村賢太、志賀直哉、石川淳、三島由紀夫、遠藤周作など。
海外文学も読みたいと思っているのだが、一昔前の翻訳調の文章が苦手で敬遠気味。読めるところから読もうと思っている。

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