ネタバレ弟が急死し、夫と離婚した41歳の薫子。無愛想な弟の元恋人のせつなと家事代行サービスをしていく内に、せつなの作る料理等を通して自分の生き方について考え成長していくストーリー。美味しい物を食べられる、安らげる空間がある、愛しい人がいる事が幸せであると改めて再認識。特に食事については、「食べる事は生きる事」と納得。若干薫子の強引さは気になったが、読後にほっこりしてくる一冊。

ネタバレシリーズ第3作。大学生になった成瀬が「京都を極める」をテーマに新たな出会いの中で自分の気持ちに素直に突き進む6つの連作短編集。さくら、ののか、梅谷といった新キャラの他にもこれまで登場していた島崎、西浦、城山、篠原等と共に突き進む成瀬の姿が微笑ましい。相変わらずの良い読後感。完結と謳っているが、まだまだ成瀬の今後を読みたい。

ネタバレ東日本大震災にて復興に尽力した県庁職員が東松島市の仮設住宅にて殺害され、警察の田名部、新聞記者の宮沢等が真相に迫るストーリー。ミステリーの要素もあるが、それよりも震災での惨状や震災後の復興の遅れ等を記載されている方が大きい内容。早坂の様に被災者に寄り添う方が多いだろうが、三村の様に震災にかこつけて給付金等を騙し取ろうとする輩もいる。考えさせられる内容だった。

ネタバレシステムエンジニアの雅樹は身に覚えのない殺人事件の犯人として逮捕される。防犯カメラ、DNAの証拠もあがり混乱しながら真相に迫るミステリー。一卵性双生児の基樹ことジェイクが出生時にいた事が判明し、ジェイクとその相棒ナガノから雅樹は拉致される中で少しずつ新たな真実が出てくる展開は息をつけないが、逆にその息をつかせない展開がちょっと疲れた感。ラストはこの設定としてはハッピーエンド。

ネタバレ陸上競技の4×100mRでインターハイを目指す女子高生達の青春ストーリー。リレーに関わる5人の視点で、其々の思いや悩み、嫉妬等が絡み合いつつも皆の目標、其々のやりきり感に向かって成長していく様はとても清々しく良かった。同じ種目を扱った「一瞬の風になれ」の女子版的。どちらも作中のクライマックスがインターハイへの最終関門の南関東大会。全国有数の激戦区故に、少女達のそこを突破する難しさやインターハイへ出場する事の価値や大変さが伺えて楽しめた。名作だと思う。

ネタバレ再読。五代刑事シリーズ2作目。都議会議員と元女優の夫婦が焼死体で発見され、真相に迫るミステリー。最初から怪しいバディの山尾との知能戦。絡み合った謎を五代が一つ一つ紐解き真相に迫る展開は楽しめた。

ネタバレ昭和の時代、夫の転勤に伴い大企業の首都圏の社宅に移ってきた音子。意気揚々とスタートした生活だが、社宅故の婦人達の噂話や人間関係に振り回され、徐々に音子も周りを振り回していく側になっていく人間描写のストーリー。嫉妬、妬み、嫉みから噂話が大袈裟な情報になっていくのは、今も昔も変わらないと思いつつ、50年以上前の作品だが、教育過多から教育ママの出現や、登場人物達が「異常だよ」と言っている社会は更に加速して変化し、作者の先見性を感じる。エンタメとして楽しめた。

ネタバレ資産家の老女が殺害され、金目の物が無くなると共に犬を飼っていた痕跡が残されていたが犬はいなかった。近くのコンビニで働く男がかつての殺人者と似ており、老女の死と共に子犬を飼い出し、事件の真相に迫るミステリー。各章の始めに犬目線の描写があり、読み手にとっては面白く何度も見直した。原口の放火や真希のSNSでの情報の投稿から夫に見切られての離婚等が繋がり、また一貫して犬への愛情は記載してあり、エンタメとして楽しめた。

ネタバレシリーズ4作目は前作からの流れを受け、農業の話。帝国重工役員的場に恨みを持つダイダロス重田、ギアゴースト伊丹が結束しダーウィンプロジェクトを立ち上げ、帝国重工に宣戦布告。そこに佃製作所も帝国重工側で参戦するも、佃達は物作りを通して農業従事者達を救いたいという熱き物語。最後はお約束の勧善懲悪的でハッピーエンド。安心して読めると共に、農業についての未来も考えさせられた。これ以降の作品は未だないが、更なる続編にも期待。

ネタバレ弟が急死し、夫と離婚した41歳の薫子。無愛想な弟の元恋人のせつなと家事代行サービスをしていく内に、せつなの作る料理等を通して自分の生き方について考え成長していくストーリー。美味しい物を食べられる、安らげる空間がある、愛しい人がいる事が幸せであると改めて再認識。特に食事については、「食べる事は生きる事」と納得。若干薫子の強引さは気になったが、読後にほっこりしてくる一冊。

ネタバレ元新聞記者の大路亨は父からの依頼で、辻珠緒という女性の行方を追い、取材し珠緒の謎に迫るミステリー。ラストではようやく珠緒に会え、その母、祖母も含め3代の女性達が時代の歪みから過酷な生き方が明らかになる。取材形式で登場人物が多すぎるのが、ちょっと苦手。

ネタバレ高校生の時に親友を殺された弓削凜。その凜が精神鑑定医を目指し、その道の第一人者である影山の下で様々な事件の容疑者と対峙し、真相に迫る5つの連作集。物的証拠ではなく容疑者との対話にて真相に迫る展開は面白かったが、最後の話で親友を殺害した容疑者と向き合うが、自分がちょっと苦手な多重人格の顛末でそれだけは消化出来なかった感。

ネタバレ田川信一シリーズ第3作。秋田県能代市の老人施設にて85歳の老女が亡くなり、施設で働くベトナム人女性が自殺幇助したとの事で逮捕。しかし田川が死体からの違和感から捜査を進め、やがて大手流通企業との繋がりを見つけ真相に迫るミステリー。相変わらずのメモ魔の田川だがそこからの捜査は凄いと共に、外国人の劣悪な労働環境とタイトルの下級階層は日本が抱える闇の問題だと感じた。社会の暗部に切り込んでいく社会派ミステリー。相変わらず面白かった。

ネタバレシリーズ3作目。今作はトランスミッションに佃製作所が手をつけていくが、それよりも伊丹と島津のギアゴーストの訴訟や、2人の帝国重工での辛い過去からギアゴーストを設立への経緯が描かれた作品。また、これまで佃製作所を経理の面で支えた殿村が退社するのはちょっと寂しい。次巻へ続く様な感じでのラスト。1、2作とはちょっと違った感じの巻。次作も楽しみ。

ネタバレシリーズ2作目。かつての社員真野からの依頼を受け、心臓病を助ける人工弁を製造。前作と同様にそれを阻もうとする医療界の重鎮や企業等を相手に物作りをしていくストーリー。お約束の勧善懲悪的な展開。仕事に対しての熱さ、情熱、意義等も読み手に伝わり楽しめた。

ネタバレ再読。仕事熱心なベテランケースワーカーが殺害され、調査していくと反社会勢力や生活保護不正受給が見え隠れし、真相に迫るミステリー。再読でストーリーは分かっていたがそれでも楽しめた。税金がこの様に使われていたら、聡美や小野寺の様に許せないと思う。また再読したい作品。

ネタバレ出版社勤務の葛城梨帆へ、かつて小説を応募した志村多恵より小説が届く。小説「長い午後」で主人公の女性が自殺を決意しながら、学生時代の友人と再会し、新しい世界に感化し小説を書きながら男に対しての嫌悪感、殺意が大きくなるストーリーを読みながら梨帆が共感していく話。梨帆と小説のター坊の2つの軸が出てくる。「長い午後」から繋がる冒頭の「犬を飼う」も強烈。自分の読解力が足りないのか、深い所までは理解が追いつかなかった感。