読書メーター KADOKAWA Group

2024年5月の読書メーターまとめ

宙太郎
読んだ本
14
読んだページ
3951ページ
感想・レビュー
14
ナイス
144ナイス

2024年5月に読んだ本
14

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

宙太郎
ネタバレ作者はこの作品を書くにあたって現代ホラーについてかなり研究したんだろうなと思う。SNSによる心霊スポット訪問の実況中継、怪異の後で人格が変わってしまう友人、最終的に読者に怪異が及ぶ可能性を示唆するメタ構成、”神”としての祀り捨て、都市伝説、学校の怪談、廃墟、UMA、コックリさん、呪いの動画、そして謎が解けた後でもなお残る疑い…実話系ホラーのアイテムがてんこもりだ。まるで「怪獣総進撃」みたいに何でも出てくる。ある意味で現代ホラーの一つの到達点と言えるかもしれない。実際、ちょっとゾクッとした。
が「ナイス!」と言っています。

2024年5月にナイスが最も多かったつぶやき

宙太郎

家族が増えました。無限の元気エネルギーで"黒いお姉ちゃん"を翻弄しています。

家族が増えました。無限の元気エネルギーで"黒いお姉ちゃん"を翻弄しています。
が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
14

宙太郎
ネタバレシリーズ中でもちょっと異色な連作。時はコロナ禍の真っ最中。ぶたぶたが経営するイタリア料理店も休業を余儀なくされる。物語は主にその休業中、各話の主人公たちとぶたぶたの交友を描いているが、例えば第6話でしょんぼりしながら公園のベンチでコンビニおにぎりをおいしくもなさそうに食べるぶたぶたの姿が痛々しい。今まで何でもソツなくこなしてきたように見えるぶたぶたにもこんな蹉跌があったのかと意外な気がした。でも、考えてみれば彼には何も特別な能力が備わっているわけじゃないのだ。ぶたぶたに今まで以上に親近感を覚えてしまった。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレ12の短篇(と言っても7~9話の独立性はほぼないのだけれど)が集まって1つの長編となる。登場人物もお話も実に緩くつながっていて、しかも各話で1カ月ずつ時間が経過しているという凝った構成。もちろん内容も氏独特の世界観を体現している。主人公は愛する家族の死を運命だと甘受できず、自分の恐るべき姦計によって非業の死を遂げたのだと韜晦しようとするのだ。この考え方は氏の他作品でも見られる。そしてその韜晦計画も1975年に山梨で実際に起きた貴腐の発生で蹉跌するというのも氏の作品でよくみられるモチーフだ。幻想的で美しい。
宙太郎
ネタバレ歌人・塚本邦雄が第1歌集「水葬物語」を出版するころまでの評伝(ではないと著者は言ってるが)。使用する資料を出版物に限っている。塚本氏の青春時代の詳細がいまだによくわかっていないことを考えると、この姿勢は実に真摯だと言える。氏はその若き日にどのような人生を歩み、どのような出来事に出会い、どんな人々に影響を受けたのだろうか。確かに気になる。しかし、一方で、そういう私的な部分と作品を峻別する姿勢を貫いた塚本氏に対して、伝記的なアプローチは本当に望ましいことなのだろうかという一抹の疑問が心に兆してしまうのだ。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレ今回の敵役は人間の”富”…というか”欲”。彼は他人を思いやることを人間に教える”本”をこの世界から排除しようとする。立ち向かうのは本好きの女子中学生。しかし、この世界から欲がなくなるはずはないのだから、完全勝利はそもそもあり得ない。「他人を踏みつけてでも自分の思うままに生きろ」という相手の主張を主人公が絶対否定できないのは、彼女が喘息という持病を持っていて多くのことを諦めてきたから。この設定が物語を奥深いものにしている。主人公のピンチに愛読書のヒーローたちが救いの手を差し伸べるくだりは胸が熱くなる。佳作。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
「この本は、僕たちが余りに当たり前すぎて特に思い出すこともなくなってきた”本を読むのって愉しい‼”ということをもう一度認識させてくれる。そしてその再認識は僕にとってとても愉快なことだった。もっと本を読もう。何度でも同じ本を読もう。」…という感想を書こうとして、書斎の中に詰まっている”まだ読んでない本”や”一度しか読んでない本”の余りの多さに絶句してしまった。夏川先生、ごめんなさい、僕はできの悪い読書好きです、もっともっと精進します。あ、でもこの「本を守ろうとする猫の話」は再読ですよ。(ちょっと)えっへん。
宙太郎
2024/05/22 18:17

「大切にされた本には心が宿り、そして心を持った本は、その持ち主に危機が訪れたとき必ず駆けつけて力になる。」(P175)、「君たちは本が好きでここに来たのではないのかね?ならば理屈は置きたまえ。理想を語りたまえ。それが本を生み出す我々の特権だ。」(P205)、「読んで難しいと感じたなら、それは柚木にとって新しいことが書いてあるから難しいんだ。難しい本に出会ったらそれはチャンスだよ。」(P214)など、名言もいっぱい。

が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレ主人公の通う小学校は転勤族の家族が多く、転校してくる(して行く)子も多い。描かれるのはそんな転校生たちとの出会いと別れであり、いかにもありそうなエピソードがほとんどなんだけれど、”主人公が出会ってきた4人の転校生がみんなユウキという名前だった”という小さな偶然によって見事に一つの物語としてまとまっている。そんな作者のセンスの良さに脱帽させられる。過去の3人のユウキとの思い出の品がたまたま見つかるというエピソードや、ラストの”転校しなおし”のくだりなど、読んでよかったと素直に思わせてくれる堅実な児童文学。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレ作者はこの作品を書くにあたって現代ホラーについてかなり研究したんだろうなと思う。SNSによる心霊スポット訪問の実況中継、怪異の後で人格が変わってしまう友人、最終的に読者に怪異が及ぶ可能性を示唆するメタ構成、”神”としての祀り捨て、都市伝説、学校の怪談、廃墟、UMA、コックリさん、呪いの動画、そして謎が解けた後でもなお残る疑い…実話系ホラーのアイテムがてんこもりだ。まるで「怪獣総進撃」みたいに何でも出てくる。ある意味で現代ホラーの一つの到達点と言えるかもしれない。実際、ちょっとゾクッとした。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレジーヴスは登場しないのに、こんがらがった状況がうまい具合に決着する。これはもう、神(=作者)の采配というしかない。「伯爵とガールフレンド」のグラディス、「ブランディングズ城を襲う無法の嵐」の孫のジョージらと卿との交流は心温まるものがある。特にジョージと卿とのバクスターをめぐる会話(P240~)は男と男の会話だ。しびれる‼ 「伯爵救出作戦」のギャラハッドは僕の最も推すキャラクターのひとり(飄々としていてカッコいいのだ)だが、「天翔けるフレッド叔父さん」のフレッドの狂気ともいうべき破天荒さも楽しい。巧いなぁ。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレぶたぶたシリーズも20年となると、ぶたぶたさんがぬいぐるみだという特殊な設定は各話の主人公が目を点にするくだりでしか用がない感じ。その分、ぶたぶたさんの飾らない優しさがちょっとした問題を抱えた登場人物に一歩を踏み出す勇気を与えてくれるという展開が心地よい。今作も、50年前に家族を捨てた父から突然連絡を受けた男性、不登校になってしまった小学生などがぶたぶたさんに助けられていく。完全無欠の姉がぶたぶたさんに魅せられる話が面白かった。もちろん紅茶と英国風のスイーツもすごくおいしそう‼ 僕も食べたい‼
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレうーん、僕とはちょっと反りの合わない本だった。例えば「オミダマさま」。数か月のうちに3人もの親族を亡くした一家が正月の祭礼である「オミダマさま」を挙行しようとするのだが、供物が転がり落ちたり位牌が倒れたりということが頻発する。なのに誰も”祭礼のやり方が違っているのでは”とか”死んだ親族の誰かがこの祭礼をよく思っていないのでは”とか言い出さないのだ。そりゃ、実話怪談だから原因がわからないことはあるだろう。でもそれと原因を明らかにしようとしないことは別だ。モヤモヤとした不満が残る怪談集だった。残念だ。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
そうか、ウイスキーの熟成などまだ化学で解明できない部分が多いのか…それでも我々はこれほど見事な蒸留酒を味わうことができるのだから、何という幸福だろう。「科学ではまだ分からない」と言いながら、それでも分かっていることについて真摯に説明しようとしてくれるのは嬉しい。さすがはブルーバックスだ。特に第12,13章の水とエタノールの混液の化学動態についての解析は興味深かった。欲を言えば、融解過程のサーモグラムなど、う少し丁寧な説明が欲しかったところだ。新版が出ているそうなので、そちらではよくなっているのかなぁ。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレ氏の短歌には物語惹起力がある。例えばP30の「密獵のながきたびぢの果ての或る宿で誦す赤き文字の祈禱書」。一人称は吸血鬼。伯爵の血族だ。彼は正体を隠すため一か所に居を定めず、流浪の生活を送っている。今日もある街にたどり着き、宿を定めた。場末のみすぼらしい宿だが、部屋に窓がないのが気に入った。乙女を狩るのは明日からにして、今日は休もう。…とその前に…彼は今まで犠牲にしてきた幾人もの処女の名をその血で記した本を取り出し、その名の羅列を祈祷のように読み上げる…という話が勝手に頭の中に湧いてくるのですが…変ですか?
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレ必死で働いても生きていけないほど貧しい漁村の生活が描き込まれた力作。村人はやむなく沖合で難破した船の積み荷を私服して暮らしている。生き残った破船の船員は全員惨殺。それ以上に、彼らは海の荒れる冬の夜に浜で塩を焼き、その火明かりで積極的に沖ゆく船を岩礁におびきよせているというのだから、役人に見つかれば重罪に当たる。そんな絶対の秘密を抱えた生活が、徹底して感情を抑えた筆致で描かれ、却って緊迫感を感じさせる。最後は天然痘に罹患した患者を隔離する船から感染が拡がり、村人は次々と斃れていく、その様子が何とも痛ましい。
が「ナイス!」と言っています。
宙太郎
ネタバレ晦渋極まる異色作品集。読者に卓越した知識・理解力・そして集中力を強要する何とも不親切な書きぶりに泣かされた。いい加減に読んでいると(というか、かなり真剣に読んでいるつもりでも)主人公の行動理論が理解できず、霧の中を散々引っ張りまわされた挙句、何となく事件に収まりがついてしまったような読後感に困惑することになる。「これではいかん」と姿勢を正して読んだ最後の4篇はそれなりに楽しめたのだが、前半はもう何が何やら。自分の読書力のなさを痛感させられたような気になる。いつの日か膝を正して再挑戦…できるだろうか?
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2021/06/18(1108日経過)
記録初日
2021/06/17(1109日経過)
読んだ本
443冊(1日平均0.40冊)
読んだページ
124638ページ(1日平均112ページ)
感想・レビュー
441件(投稿率99.5%)
本棚
2棚
自己紹介

本を読むことも本を買うことも好きなので,いつも「積読本増加速度>積読本消化速度」という慢性疾患を抱えています。
読んでるジャンルはミステリが多いかな? 大長編もいいけれど,奇妙な味の短編にお気に入りの作品が多いみたい。
読んだ本の感想はなるべく書き込むように努力しています。よろしくお願いします。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう