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2024年9月の読書メーターまとめ

宙太郎
読んだ本
11
読んだページ
3280ページ
感想・レビュー
11
ナイス
51ナイス

2024年9月に読んだ本
11

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

宙太郎
ネタバレ”条件ゲーム提示能力”という架空の力が登場するのでファンタジーだと思って読んでたら全然違った。これは”復讐”とか”罰”について深く深く思索する話だ。小学4年生の主人公は、学校で起こったうさぎ殺し事件にこの能力で罰を与えようとする。その過程で、どんな罰を与えることが効果的なのか、犯人がどう感じれば自分は満足するのかについて真剣に考え続けるのだ。主人公、そのガールフレンドのふみちゃん、指導役の秋先生…みんな優しく、賢い。逆に犯人の卑しさ・下らなさも群を抜いていて、実に不愉快。作者の人物描写力が圧巻。大傑作。
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月にナイスが最も多かったつぶやき

宙太郎

2024年8月の読書メーター 読んだ本の数:12冊 読んだページ数:3316ページ ナイス数:79ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1257733/summary/monthly/2024/8 無類に面白かった「室町少年倶楽部」、グッとくる「あしたのことば」と「やさしい共犯、無欲な泥棒」、作者と趣味がぴったり合う「とりっくものがたり」「ミステリ作家のたくらみ」…と充実のラインナップでした。逆にかなり苦労したのも何冊か。それもいい経験。

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2024年9月の感想・レビュー一覧
11

宙太郎
ネタバレ元アイドルの亡霊という都市伝説を一見合理的に見える虚構推理で無に帰すという設定は面白い。しかしこの設定、本格ミステリとは相性が悪いのではないだろうか? というのも、探偵役の岩永が構築する推理は一般大衆が支持を得るのが目的で、真実といくらかけ離れていてもいいからだ。つまりその推理に理論的な積み上げは不要であり、極論すれば”単なる思いつき”で十分なのだ。そこがこの作品の魅力であり、かつ、ミステリとしての弱点だともいえる。「こういうのも悪くないか」というレベルだった。わざとらしい古臭い言い回しも違和感があった。
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宙太郎
ネタバレ徹底的に主人公の内面にベクトルが向いている小説。主人公のアイはシリアの少女。アメリカ人と日本人の夫妻に養女として引き取られる。彼女は常に自分が裕福な家族の一員であること、その幸運が自分自身の能力故でないことに不安と怯えを抱いて生きている。高校の数学教師の「この世界にアイは存在しません」という一言が彼女の人生の中で不吉な呪いの言葉として通奏低音のように響いているのだ。この本は、そんな主人公が「アイはここにある!」と叫べるようになるまでのお話。ラスト20ページほどは読者も「生きててよかった」と感動できるはず。
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宙太郎
ネタバレ「紅茶の世界は良くも悪くもイギリスを中心に回っているのだなぁ」というのが正直な感想。中国は発酵を経ない緑茶が主流だし、オランダは早々にイギリスに紅茶文化の主権を奪われてしまう。その一方で、アメリカ独立戦争もアヘン戦争も紅茶に端を発しているというのだから、その波及効果の大きさたるや恐るべしだ。そんな中、アッサム紅茶の普及と技術開発に生涯をかけて取り組んだチャールズ・アレクサンダー・ブルース氏の潔いとしか言いようのない人生は紅茶の歴史の一服の清涼剤と言えるだろう。これぞイギリス紳士の鑑だ。…紅茶飲みたい…
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宙太郎
ネタバレ酒場をテーマとしたアンソロジー。小説は最後の4篇だけで、あとはエッセイ。エッセイは「こういう酒場があって、こんな旨い酒を呑ませてた」という内容はむしろ少数派で、「この店にはこんな人が常連で通ってて、その人とこんなふうに酒を酌み交わした」という話の方が多かった。当然のことかもしれないが、酒を呑むというのは、どんな酒を呑むのかより誰とどんなふうに呑むのかが重要なのだ。小説4篇はまさに珠玉作揃い。「海坊主」の唐突なラストも捨てがたいが、「ゆうすず」の最後の方の縹渺とした描写の素晴らしさは何物にも代えがたい。
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宙太郎
叙述トリックって、知らずに読むと最後にあっと言わせてくれるのは嬉しいんだが、なんだか白昼、通り魔に会ってしまったような悔しさも否めない。ところが、本作は「叙述トリックが使われている短編集です。」と宣言してくれているので読者としても心の準備ができる。おかげで意外と面白く読めた。作者vs読者の頭脳戦という図式が鮮明になるせいだろうか。新たな発見だ。ところでこの文庫の表紙絵だが、帯があるかどうかで全く違った絵柄になるという趣向だったはず。だというのに、古書店で買ったので帯がついていなかった。失敗した! 不覚‼
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宙太郎
ネタバレ”条件ゲーム提示能力”という架空の力が登場するのでファンタジーだと思って読んでたら全然違った。これは”復讐”とか”罰”について深く深く思索する話だ。小学4年生の主人公は、学校で起こったうさぎ殺し事件にこの能力で罰を与えようとする。その過程で、どんな罰を与えることが効果的なのか、犯人がどう感じれば自分は満足するのかについて真剣に考え続けるのだ。主人公、そのガールフレンドのふみちゃん、指導役の秋先生…みんな優しく、賢い。逆に犯人の卑しさ・下らなさも群を抜いていて、実に不愉快。作者の人物描写力が圧巻。大傑作。
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宙太郎
ネタバレ興味本位でしか考えたことがなかった錯視だが、視覚情報を脳がどのように処理しているのかを研究するうえでこの錯視が重要な武器になるということを初めて知った。錯視がさらに興味深くなる良書。様々な錯視図形にそれぞれ名前がついているのも面白い。さらに、錯視図形によってその錯覚の強さに強弱があるのも興味深い。特に印象的だったのはP39のフレイザーのうず巻錯視。らせんの数を数えようと1本のらせんを指でなぞっていくとスタートに戻ってしまう。螺旋でなく単なる演習だったのだ。まるで世界が崩れるような感覚だった。錯視、面白い‼
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宙太郎
ネタバレショートショートと言えば、やはり一番に頭に浮かぶのが星新一氏。作者の山川氏はその星氏とほぼ同世代。つまりショートショートの創成期に活躍した人だ。星氏のショートショートと言えばSFらしい奔放なイマジネーションと切れのいいラスト。一方、山川氏の作品はオチの意外性より作品の中で描かれる人間性をより大事にしているような印象を受ける。”人ってこういうところあるよね”が全編を通してのテーマみたいだ。コレクターの生態を見事にとらえた「蒐集」、”唯一無二の自我”の崩壊を描く「お守り」など作者ならではの傑作が犇めいている。
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宙太郎
ネタバレ人をあっと驚かすこと、逆にあっと驚かされること。作者はそれが無性に好きだったんだなぁと実感できるエッセイ集。実際、作者のミステリや創作マジックを見ていると、そこまで騙すことに血道をあげなくてもと思ってしまうような作品に数多く出会う。確かに好きでないとできないよ。本書でも「受賞と落選」のように、誰からも頼まれていないのに”終盤近くの一言を少し入れ替えるだけで受賞と落選のどちらでも使えるようなエッセイ”を書き上げてしまうのだから恐れ入る。天国なんか行っちゃって、不思議がなくって困ってるんじゃないのかなぁ。
宙太郎
ネタバレうーん、どうにも作品にのめり込めなかった。その理由の一つは、この世界で”魔法”がどのように認知されているのかがわからなかったこと。他者を別の生物に変えたり、時間旅行さえできる魔法使いだが、特にその存在が秘密にされているようではない。にもかかわらず、彼らの存在はどうやら一般には知られていないらしい。よくわからない。もう一つの理由は、物語の根幹となる”主人公の魔法の力が失われてしまえば魔法使いは絶滅する”という設定。なぜ主人公だけがそれほど特異な存在なのか? その説明がきちんとなされていない。?がいっぱい。
宙太郎
ネタバレ皆藤氏の本を読むのはこれが初めて。言葉に関する謎を解き明かしていく連作推理小説。ミステリとしてもしっかりとした作りになっているが、それ以上に人物の描写がうまい。第2話の「彁」なんて論理的な正解はないのだから、人物描写で読者を納得させるしかないのだけれど、そこを上手に処理できていて膝を打ってしまった。欲を言えば、主人公がアキに一目ぼれする冒頭はいささか唐突な感があり、彼女に恋するためのエピソードのひとつもあれば申し分なかったんだけど… でも、第4話は素敵な大団円で、幸せ気分の読後感だった。続き出ないかなぁ?
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2021/06/18(1352日経過)
記録初日
2021/06/17(1353日経過)
読んだ本
538冊(1日平均0.40冊)
読んだページ
151595ページ(1日平均112ページ)
感想・レビュー
536件(投稿率99.6%)
本棚
2棚
自己紹介

本を読むことも本を買うことも好きなので,いつも「積読本増加速度>積読本消化速度」という慢性疾患を抱えています。
読んでるジャンルはミステリが多いかな? 大長編もいいけれど,奇妙な味の短編にお気に入りの作品が多いみたい。
読んだ本の感想はなるべく書き込むように努力しています。よろしくお願いします。

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