
車で事故を起こしたので保険とか代車とか修理とか混乱し本は読み進まない。外務大臣の内田から広田弘毅はその職を引き継ぐ。外務省内部でも白鳥事件も起こる。ようは内田の反対派である。社会不安を呼ぶ三月事件とか神兵事件があったり、右翼の「昭和維新」などテロや暗殺事件が起きて来る。関東軍の満州の支配や満州国の擁立から中国の河北なでに拡大してゆく。荒木陸相も皇道派である。統帥権を振りかざし、関東軍の独走に歯止めがだんだんなくなる。広田弘毅は外務省でソ連との満州鉄道の権益の買い取りにも奔走する。相当な苦労の末、実現。
「燃ゆる紅葉のもと人は舞うの巻 」まで来ると、紫の上の話が出てくる。光源氏がみそめた少女が紫の上。まだあどけない少女になぜ惹かれたのか。人形遊びのねんねなのに。背景に夫婦でも打ち解けない葵の上の存在か。藤壺に憧れた光源氏はまだ子供心に母親に未練があり、寂しさが彼女との不倫となった。藤壺につながる紫に理想を見て、強引に少女を引き取り、教育をし始める。この巻は舞楽の催しで源氏は青海波を舞った。兵部卿は藤壺の兄でもあり、紫の姫君の父宮であり、しかし兵部卿はまさか源氏が娘の婿とは知らない。さてどのような展開か。
まだほんの最初の二つ「葵の上」「藤壺」の段階だが、源氏物語とは何という小説だろう。嫉妬の渦巻く帝と皇后、女御、更衣、・・の恋愛劇か。正妻は皇后であり、あとは愛人である。帝の心をつかむのは皇后とは限らない。恐るべき愛欲、嫉妬、禁断の情交の後宮。藤壺は先帝の四の宮として生まれた内親王。階級がすべてに当時の貴族社会において、内親王の身分は絶対的。源氏の母である桐壺の更衣をいじめぬいた弘徴殿の女御でさえ、藤壺に手出し出来ない。藤壺は美しかった桐壺の更衣と瓜二つのほどの容姿に恵まれた。源氏は若い継母藤壺を思慕する。
明石の上が女性の出世物語か。源氏は尚侍(役所の長官=朧月夜)を寝取った罪で、朝廷から官位を剥奪された。源氏の政敵弘徴殿の女御からの迫害を恐れた。流罪の恐れかあったので、自ら隠退する。隠退先で出会ったのが明石の上。彼女は田舎で育ったとは思えないほど立ち振舞いが上品で、教養もあり、すこぶる気位が高い女性。彼女はとるに足らない身分の田舎娘を、貴公子たる源氏が本気で相手にするとは思わなかった。彼女はなかなか源氏になびかない。そんな彼女だが、次第に源氏に惹かれてゆき、そのうちに彼女も体を許す、それから運が開く。
TVシリーズの十津川警部もなかなか面白かったが、この小説の方もスリリングな展開で感心。読みごたえがある。寝台特急はブルートレインのことで当時はファンの人気も高かった。寝台特急に乗っていた女性が溺死体の同一人物か捜査が進む。記者の青木は自分の体が〈はやぶさ〉から〈富士〉に乗り換えさせられた秘密の手がかりを得る。二つの特急には時刻表に載らない運転停止があった。その駅は岡山で二つの特急のつながりがあった。なかなかはらはらする展開だ。また青木は事情を知る車掌に話の確認を求めたが、事故で死んでいた。痛快なスリル。
以外と面白い。まだほんの前半だが、本居宣長は文学的な人。契沖との出会いとか不思議な人。契沖の万葉集の講義が良い。その中で言葉の意味を追求。その学問の方法を古歌とか古書で契沖の「大開眼」とする。万葉集や源氏物語にも言及がある。思想と言うより、芸道や歌学として検討する。また内村鑑三も認める中江藤樹への思慕もある。彼もまた学問は深いが、忠臣よりも母親の孝行のため田舎で子供たちに寺子屋を開く。仕官より母親への孝行を学問とも考えた。人間の真心を芸とする。林羅山にしても大学者より家康に家康呪詛の銘文で家康を助ける。
中盤あたりには源氏物語の注解が多い。本居宣長が源氏物語の物語性に深く共感している。光源氏と恋する女性との対比の心情が面白いのかな。「宇治十帳」の主人公は内省家薫と行動家匂宮の性格の対比も見事である。二人に恋する浮舟は二人と契り、恋敵同士の争いは激しくなる。浮舟は進退に窮して死のうとする。しかし作者は死なせない。「浮舟の巻」では追いつめられて発狂しか残らない。この浮舟の心境は詳しく語られない。この物語性が怪しき不用の人なのか、恋の欲望なのか、結論は読者に任され。善悪と言う分けでもない。これがもののあわれか。
星野はまず予算と会計年度の設定。財政も金融もそこから始まる。歳入は租税の徴収から始まる。だが満州では公平の原則どころか、普遍の原則も行われない。租税負担は農民と商工業者の一部にかぎられ、政治家、役人等は税負担を免れていた。これでは公共事業もなりたたない。やがて租税の徴収は順調になり、歳入は増える。また鉄道付属地があり、治外法権であり、解決には時間がかかる。満州では道路が未整備であり、道路拡張には予算も必要となる。租税制度はなっても資金不足である。そのために国債の発行が必要となる。彼は高橋是清に援助を頼む。
さて、臨時政府の蝦夷共和国は成立したが、長くは持たなかった。各自治区で殖産興業にも手をつけたようだが、本格化したのは榎本武揚が許され、開拓局の一員に彼がなってから。鉱山開発の知識もあり、空知の炭鉱の鉱脈を見つけたようだ。製鉄に石炭は不可欠。また酪農業にも力を注いだ。小樽の酪農や港の整備も彼の親族が足跡を残している。あとは収監中に彼を憎む五人組がいて暗殺を企てたとか。ただ自叙伝もないので詳しくは分からない。ただ榎本武揚を変節漢とする五人組の主張はどうかな。その後に国際法に詳しく彼は樺太千島交換条約を締結。
加納恭史さん こんにちは! そちらはもう雪が、ちらついているのですね!❄️ 東京も冷え込み始めました。 お互いに体調に留意したいと思います!🍀 何時も、有り難うございます!🙋 宵待草
宵待草さんありがとうございます。第九章が最終の「それでも言わむ」。田中義一内閣でまた蔵相を頼まれた。七十二歳の時。銀行の取り付け騒ぎ中、全国的な支払猶予令が採決された。それでも社会不安は収まらず、大量に日銀の紙幣を印刷した。それも裏面は印刷されず、すぐさま各銀行の窓口に山のように積み上げた。やっとこの金融恐慌は乗り切った。この危機を乗り越えて四十三日の対応を終えて彼は蔵相から身を引く。しかし支那出兵が決まる。いよいよ日本も戦争に巻き込まれてゆく。それでもまだ当時は政党政治が健在。経済も金融も信頼が大事。
車の事故の対応に追われ、休まらない。まとめも進まぬ。満州事変から戦線は中国にまで拡大。軍部の暴走は止まらない、広田弘毅の対ソ連や米英の対外の交渉は平和外交推進に邁進するが、松岡洋祐が外務大臣になる頃には日独伊三国同盟となり、大東亜共栄権まで発表するが、実体はない。国際連盟とも離れて反米英に軍部や右翼や世論までも政党不審となる。一度首班にもなり、また外務大臣として活躍されたが、軍部の横暴は止まらない。中国から仏領インドシナまで海軍の進駐があり、米英は激怒する。東条英機が首班となると天皇の願いもむなしくなる。
弘毅の外務省での出世は順調ではなかった。閑職のオランダ公使になったこともある。出世にこだわりはなかった。駐ソ大使になったこともある。満州事変があったり、関東軍の暴走は止まらない。ワシントンの軍縮会議もあり、軍部の反感も強くなる。松岡祐介が外務大臣になることもあり、日独防協定もなり、やがて国際連盟からの離脱となる。やがて上海事変もあり、関東軍の暴走は止まらない。満州から中国の軍備費だげが膨らむ。富国強兵の富国の政党政治はないに等しい。重苦しい。やれ金融恐慌だ、世界恐慌だ。高橋是清の財政政策で乗り切るのみ。
車で事故を起こしたので保険とか代車とか修理とか混乱し本は読み進まない。外務大臣の内田から広田弘毅はその職を引き継ぐ。外務省内部でも白鳥事件も起こる。ようは内田の反対派である。社会不安を呼ぶ三月事件とか神兵事件があったり、右翼の「昭和維新」などテロや暗殺事件が起きて来る。関東軍の満州の支配や満州国の擁立から中国の河北なでに拡大してゆく。荒木陸相も皇道派である。統帥権を振りかざし、関東軍の独走に歯止めがだんだんなくなる。広田弘毅は外務省でソ連との満州鉄道の権益の買い取りにも奔走する。相当な苦労の末、実現。
高校時代より、読書が始まりました。最初に感動したのヘルマン・ヘッセの作品でした。最初に読んだのは、「郷愁」でした。最初は文学、しだいに歴史、考古学、プラトンの作品とか、スウェデンボルグとか、ギリシャ神話、インド神話、ジュセフ・キァンベルの作品、ユング心理学の作品、ルドルフ・シュタイナーの作品、聖書、バガヴァット・ギーターとか、UFOの小説・実録、などなど様々です。頭を柔軟にして、グノーシスとかナグハマディ文書とか最近の新しい発見とか、古代の見解と最新の見解を比較・検討してみたいのです。また最近の潮流のレイチェル・カーソンから始まったエコロジー運動、水や森林や土壌や微生物学の発展も興味深いものです。七十歳を過ぎて、アリストテレスやカントを知り、その博学さに感銘を受けた。ともに「形而上学」に大変に驚かされました。それまでプラトンにも飽き気味でした。ゲーテもとても好きになりました。こんな近況です。
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弘毅の外務省での出世は順調ではなかった。閑職のオランダ公使になったこともある。出世にこだわりはなかった。駐ソ大使になったこともある。満州事変があったり、関東軍の暴走は止まらない。ワシントンの軍縮会議もあり、軍部の反感も強くなる。松岡祐介が外務大臣になることもあり、日独防協定もなり、やがて国際連盟からの離脱となる。やがて上海事変もあり、関東軍の暴走は止まらない。満州から中国の軍備費だげが膨らむ。富国強兵の富国の政党政治はないに等しい。重苦しい。やれ金融恐慌だ、世界恐慌だ。高橋是清の財政政策で乗り切るのみ。