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まだ単行本化されていないけど、新潮10月号に掲載された「皆のあらばしり」は人物描写もストーリーも恣意性がなくなりリアルかつかなり個性的になっていて面白かった。本作の旅や地史学的エピソードが好きだった僕はかなりお気に入りの作品になりました。芥川賞取ってほしい
大江は、「他人どもの共通の世界」からは外れた『個人的な体験』を、しかし圧倒的な筆力を持って一つの共通体験=文学として描き出すことに成功している。 また、個人的に印象に残ったシーンは、鳥と火見子が赤ん坊を病院から引き取った後、車内で赤ん坊がアイ、イヤー、イエーと泣き出すシーンだ。赤ん坊に意志はあるのか?彼は苦しんでいるのか?意志疎通のできない「完全な他者」の真意の読み取れない叫び声は、そのアイ、イヤー、イエーという奇妙な字面も相まって、「正常」な人間が叫ぶいかなる声にも見いだせない過剰な恐怖を私に与えた。
小説と人文書
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