なぜこんな「どうしようもない」人たちの話なのに最後は涙がこみ上げてくるのでしょう。夢を追いかけることを忘れた私だからかな。

高校の教科書で表題作を読み、早く大人になりたいなあなんて思ったものです。怖いようで優しくて、温かくはないけれど冷たくはないお話たち。夢見がちで体面を気にし、何よりも自分に対してカッコつけている誰しもが通った青年時代の思い出あるいは空想話でした。

p131「二十代の頃から怒りは"炎症"と呼び、炎症はお肌に悪いから控えてきた。ニキビできちゃう。」 パッキパキなのは北京じゃなくて姐さんの方でした。私も精神的勝利目指そう。由紀乃・瑞穂との攻防をもっと読みたいので続編に期待です。

家庭用安心坑夫が面白かったのでこちらも。 ボノボ語りはさすがに読みにくくて、しふみパートになって少しホッとした。と思ったらしふみとシネノが手を取り合って、あるいは単なるしふみの妄想なのか、大爆走を繰り広げるので凡人の私は置いてきぼりに。 理性を保つことすら危ういほど心身の限界を競っている中でしふみが起こした行動を叩いている人は、何がそんなに限界なのですか？

悩むことはあれど軽やかに生きていて羨ましい。 わたしもメールの始まりに「やること成すこと全て順風満帆で人生右肩上がりの〇〇です。」って付けようかしら。

なぜこんな「どうしようもない」人たちの話なのに最後は涙がこみ上げてくるのでしょう。夢を追いかけることを忘れた私だからかな。