京都の下町の、いわば地域のホームドクター的な原田病院。そこには特別な内視鏡技術を有する、科学者としても哲学者としても一流のマチ先生がいる。医療小説独特の専門用語や臨場感あふれるドラマも繰り広げられるが、生身の人間についてぐいぐい踏み込み、人それぞれの生き方や意義について医師の語りとして表現されているところが魅力。「おおきに、先生」で号泣。医療現場の緊迫感の中に絶妙の笑いも交えた感動作。甘党のマチ先生おすすめの三つの食べ物、矢来餅と阿闍梨餅と長五郎餅、そしてスピノザの「エチカ」を宿題にもらい充実の読後感だ。

「汝、星のごとく」の続編。いわゆる普通でなく込み入った人間関係がややこしくて、前作での圧倒的な感動も思い出せず、急かされるように文字通り完徹の一気読み。今回、涙することはなく、少々混乱気味で全体像が整理できていないままだが、心に残った美しくも胸に迫る一文を書き留めておくことにする。「今日も、明日も、それぞれの胸に星のように輝く物語を編むために、ぼくたちは地上を歩む。喜び、怒り、哀しみ、愉しみながら日々を紡ぐぼくたちを、黄昏の空に浮かぶ夕星が静かに見下ろしている。」

京都の下町の、いわば地域のホームドクター的な原田病院。そこには特別な内視鏡技術を有する、科学者としても哲学者としても一流のマチ先生がいる。医療小説独特の専門用語や臨場感あふれるドラマも繰り広げられるが、生身の人間についてぐいぐい踏み込み、人それぞれの生き方や意義について医師の語りとして表現されているところが魅力。「おおきに、先生」で号泣。医療現場の緊迫感の中に絶妙の笑いも交えた感動作。甘党のマチ先生おすすめの三つの食べ物、矢来餅と阿闍梨餅と長五郎餅、そしてスピノザの「エチカ」を宿題にもらい充実の読後感だ。

あなどっていました。作者が誰かなんて気にせずに前情報もなく読んでいて、しかもヤングアダルト風な装丁のため、この本で感動を号泣を浴びせられるとは想定外でした。ごめんなさい、青山美智子さん。青山さんの本で心揺さぶられないものは皆無だったことを思い知らされました。自分の体の治したい部分と同じところを触ると回復するという狭い地域の都市伝説、公園のカバヒコに介して人生相談が繰り広げられる。それは自助力ということ、自分を見つめ直して自分の力で前進していくということだと思う。連作短編の全てが一つひとつ繋がって更に感動！