すごい! 本が読めない! この私が! 溜まった疲れのうえに家の中の諸雑用で忙殺され、ようやく本を手に取っても並ぶ文字を理解することができない日が数日続いた。その感覚のまあ新鮮なこと。なのに、ようやく休息も足り、時間ができ、ソファに寝そべって本を手に取ったというのに、それがハズレだったときのがっかり感よ。2022年11月の読書メーター 読んだ本の数:11冊 ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/132173/summary/monthly/2022/11
彼の論理では、ソマリアは世界でもっとも支援が必要な場所である。しかしそこは世界で最も死に近い場所である。死なずに続けられているのは幸運、だろう。内田先生との対談記事で、命を大事にと語りかける内田先生の言葉をスルーしているように読めるのが気にかかった。編集ならよいのだが。社会的な意義が大きいのは理解できる。ただ、殉教者にはなってほしくないと私も願っている。世界には、彼と同じように危険な地で活動に邁進する仲間がたくさんいるのだという。彼らや、ソマリアの仲間こそが、彼にとってのリアルなのだろうな。
知識もスキルも無い者が紛争地に行くべきではない。それが"常識的な"考え方だ。しかしそれに反して飛び込んでいく者たちがいて、私はそれを無謀と切って捨てるべきかと考え始める。そこには、人間が生きているのだ。例えば国内の活動で、政府も行政でもできないことを民間の有志が個人としてできる範囲のことをやっていくように、そこに人間が生きている限り、紛争地にも政府やNGOにはできないが個人にはできることがある、という考え方はできる。紛争自体は即時解決しなくても、何人かに生き延びる人生を生むことはできた、それが動力になる。
これに似た話を先日ほかの人からも聞いた。無条件に相手を信用しない、自分側に損害を生むような非は絶対に認めない、だまされた方が悪いなど、これは歴史的に侵略と支配が繰り返された地では当たり前の人間認識であるという。つまり、本書にもあったとおり、そうでない認識を持つ土地というのは侵略されたことのない、辺境の地である証なのだなと納得した。そうか、日本は例外なのか…否、最近は交通事故を起こしたら謝った方が負けとか、屁理屈をこねてでも非を認めないとか、すでに日本もそうなりかけているのとちがうか。
母アショケはアメリカに渡った当初、家に引きこもりがちで、ベンガルの友人を得た後にインドの親戚のように招きもてなし合う関係を築いた。一方ゴーゴリたちは学校や職場で知り合うアメリカ人と集まって飲食や議論を共にするが、同じ賑やかなパーティーでもその本質は真逆だ。一見きらびやかなアメリカで、自身の中のインドとの折り合いをどこでつけるか、どちらを選ぶか、さらに異世界を選ぶか、その入り交じり具合も人によってほんとうに違っているのだということが、3代遡ってもみな日本生まれが当たり前の日常にいる私にはずっしりときた。
今年の一箱古本市でお隣のブースになった方が、古書然とした本を並べておられたので、本職(古書店)の方ですかとお訊きしたら、「終活です」とお答えになったのが忘れられない。若い頃に大切に読んだ本も老眼が入れば読むものではなくもはや思い出であり、喜んでもらってくれるあてもない。1冊もらい受けようにもこちらも老眼に差し掛かる身で、当時の活字の小ささに怖じた。明日は我が身。溜め込むほど後が大変になるのは自明。それでも本にまつわる全ての記憶と、集めた本への執着、本を読む自分への希望は愛おしい。
スーパーの目玉品を買って帰った妻を叱る場面が印象的だ。手づくり豆腐がマスプロ豆腐に、小商いがスーパーマーケットに追われる様を我が身のことのように思った由。一方、時代柄仕方ないとはいえ、妻とは教え叱り導くものという考えがあちこちで顔を出すのには辟易した。著者の熱さは、その後様々な抵抗活動に著者を引き寄せていく。
スーパーの鮮魚売り場で「ホッケ小さいな」「サンマ細いな」「高くなったな」は判るが、安く売られている魚が、旬だからではなく、不漁なのでしかたなく旬じゃないものや獲り頃よりまだ小さいものを獲ってきてるからだなんて、私は知らなかった。だから美味しくないのだと。海の生態系を破壊する底曳き網を規制するなどは国がするべきことだが、面倒なことはしたがらないのがお家芸。国民が現状や解決策を知り、世論を醸成して国を突き上げるしか、日本を変える方法はないのだろう。漁業にまつわる問題はそこらじゅうにあるようだ。読んで良かった。
サコ学長の学生時代を読みながら、多様性や異文化への理解は、直に接しないと絶対にわからないと痛感した。私は日本の教育の中で、小さい頃から「みんな同じ」「みんな平等」と教わってきた。私はうかつにも、高校生になっても大学生になっても文字どおり「人間は大同小異」だと思っていた節がある。でも実は、他人は皆能力も志向も違っていて、無限の方向性があって、手を伸ばして得るものなんだってことに気づいたのはほんとうに最近のことだ。
農地は農業従事者以外が買うことはできないし、買ったらそこには販売用の農作物をつくらなければならない。かといって農地転用した土地は宅地分の固定資産税を払えば自由になる訳ではなく、農作物をつくったり木を植えたりして住宅を建てずにいると指導される。これでは、放置か分譲住宅にするか太陽光パネルを敷き詰めるかしかないだろう。農地を農地として守る規制は大事だけれど、農地なり緑地なり他の方法でも、土のまま繋いでいくことはできないのだろうか。この仕組みは待った無しで変えていかなければ、ますます失われるばかりだ。
著者の行動は"筋"が通ってない。「男でないと」とあるが、性別の話ではない。さらに、住んでもいない、これまでに合議に参加したこともない若いもんが、経緯を脇に置いて論を吹っかけるなど、私でも鼻白む。それがわからない者が一人前に認められないのは当然すぎる。日本人の自治は、宮本常一が書いたように、古来定式がある。それを経た結論は、既に集団の総意だ。一方で、男ばかりの団体に所属している経験から言うと、男偏重の合議には変な暗黙の了解みたいなのもあって、健全な議論を阻害しがちなのも確かなので、変わっていくべきとも思う。
介護保険制度は上野さんが後続に残す遺産として誇りにしているもので、本書の中にも介護保険をしっかり使ってね!と何度か出てくるのが印象に残った。そういえば先日、介護保険制度が改悪されようとしているとSNSでも声を上げていらしたので、そこのところを確認しておくのは後続の者の義務だなあと思い出した。
『一国でも象牙市場が存続し続ける限り、密猟者たちはアフリカゾウの虐殺を止めない。その存在を免罪符にして彼らはいつまでもゾウを殺すだろうし、象牙が生産される限り、中国はいくらでもそれらを買うだろう。日本人はそんな簡単なこともわからないのか』と関係者に言わしめたのが2016年。認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金による2022年11月のワシントン条約締約国会議@パナマのTwitterレポートを読む限り、全象牙市場の閉鎖を求める世界的な方向性に逆らい、日本政府は"徹底抗戦"し、日本市場は閉鎖していない。恥ずかしい。
辛い画像ですが、見たい方は「象 サタオ」でインターネット検索してください。この問題についての記事はこちらがわかりやすいです。「象牙問題から見る、国際取引の課題と日本の責任」(2022.04.19) https://www.asahi.com/sdgs/article/14599023
以前、職場の先輩に国内専門ですがトレイルランニンニングを趣味とされている方がおられました。山歩きもお好きで、疲れた同行者達の荷物も抱えて先に休憩小屋まで走って預けに行く姿から「イエティ○○」と敬意をこめて呼ばれていました。「闘いつづける自分への欲求」って求道者っぽいですね。凄い世界ですね。ご紹介ありがとうございました。
道を求める方法は、人それぞれなのですね…。イエティさんのように山がお好きで歩いたり走ったりだとか、メロスのような責務があって早く走る必要があるならともかく、「1位でないとだめですか?」と私は思ってしまいます。
本は買って読む派。
本棚とKindleの両方で積読しています。
<ジャンルの配分目標>
フィクション(小説)45%
ノンフィクション(エッセイ)10%
ノンフィクション(ルポ、学術、趣味実用)45%
環境、自然、動物、人間、武術に関心があるみたいです。
歳を重ねるごと興味が広がり、読みたい本が増える加速度との板挟みです。できるだけ偏らないように、1冊読み終えたら違う種類の本を選ぶようにしています。
その結果、一見しっちゃかめっちゃかな選本ですが、大切にしたい核はしっかり一貫していることに、自信を覚えはじめています。
お気に入りは関心の似た方、感想に尊敬の感を持った方にしています。お義理では返しません。読み友さんの感想やつぶやきを読むのは楽しみですが、本に関係ないつぶやきが余りに多い方には、そっとさよならします。
<好きな作家リスト>
◆国内◆ 内澤旬子 内田樹 小野不由美 開高健 小松左京 佐野洋子 高野秀行 田口ランディ 種田山頭火 恒川光太郎 寺田寅彦 中島敦 中島らも 南木佳士 半藤一利 福岡伸一 森下典子 養老孟司
◆国外◆ アゴタ・クリストフ イーユン・リー オリヴァー・サックス ケン・リュウ サキ サマセット・モーム ジュンパ・ラヒリ ショーン・タン スティーヴン・キング マイケル・クライトン メイ・サートン (50音順)
<好きな出版社リスト>
亜紀書房 英治出版 光文社(古典新訳文庫) 草思社 築地書館 早川書房 ポプラ社(百年文庫) みすず書房 (50音順)
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます