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2024年5月の読書メーターまとめ

お抹茶
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2024年5月に読んだ本
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2024年5月のお気に入られ登録
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

お抹茶
生放送の「Q-1グランプリ」で,「問題」というアナウンサーの声だけで正解を言い当てたファイナリスト・本庄絆の謎に迫る。競技クイズという世界の仕組みも知れる。「クイズに答えているとき、自分という金網を使って、世界をすくいあげているような気分になることがある。僕たちが生きるということは、金網を大きく、目を細かくしていくことだ」。早押しクイズは答えがわかってから押しては遅く,「わかりそう」と思った段階で押し,答えを思い出していく。クイズとそれぞれの人生を絡めていくところが作者の腕。テレビ局の対応には不満が残る。
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2024年5月の感想・レビュー一覧
47

お抹茶
受け手は「なんかいい」と思うだけだが,広告でいい仕事をする人は「なぜいいのか」を問い続ける。コピーの第一の目的は描写ではなく解決であり,若者が古本屋を利用するようなコピーの課題で古本屋の現状を描写しても「古本屋には古い本がある」ということを言っているだけ。世の中で言われている決まり文句ではなく,本当に自分や世の中の人達がそう思っているかを検証すべき。人が言いたいことや話題にしたいことが口をついて出るように仕向けるのが大事で,著者の例では「消えたかに道楽」。初版から17年。本文に対する著者の補足説明付き。
お抹茶
川名晋史『在日米軍基地』を先に読むと理解が深まる。日米同盟は二国間同盟としてアメリカの他の同盟網から独立した存在ではなく,アメリカが極東防衛の中心となる米日・米韓同盟の一機能であるという現実が大事。日本政府は日米部隊間での指揮権の共有や移譲は考えていないという立場だが,一国平和主義や必要最小限論による日本的視点だけで決められるものではない。極東有事でのアメリカの軍事行動に対し,事前協議制度を通じて一線を画せるという日本的視点と,アメリカの軍事行動と日本の便宜供与の一体化という第三者的視点にも乖離がある。
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お抹茶
新聞のコラムをまとめた本。政権批判が多い。軍事力によって隣国を組み込み自国を拡大するという行為を,かつての沖縄は体験した。「家族」を国の統治の基本に据えるという自民党憲法改正案の価値観は江戸時代で言えば武士階級の考え方で,男女の結びつきである結婚でできた家庭は子供を養育する義務があり,愛国心教育を行い,子供は親を支える義務があるというプーチンが改正したロシア連邦憲法と似ている。江戸時代の宗教は身近なもので寺は共同体とともにあり,共同体の崩壊につながるような過剰な寄進で生活が立ち行かなくなることはなかった。
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お抹茶
人口,科学,マクロ経済,防衛と幅広いテーマで日本の現状を描写する。一つ一つのトピックの書き方は概説的で悲観的なトーン。対話型AIによって,子供や高齢者の見守り用の機器ができるだけでなく,故人が語り掛けているようなこともできる。火星探査のために人口重力や微小生態系の移転研究が進められていて,地球上と変わらない生活空間が実現可能になるかもしれない。読者がある程度知っているテーマであれば,それほど目新しい記述はないかもしれない。
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自治体による在宅育児手当に関する博士論文を基にした本。自治体の公式的な意義は経済支援や家庭・家族機能の支援や子供の成長であるが,実質的な意義は保育士不足や待機児童発生への危機感,保育サービスを受けられない世帯との公平性の配慮など。福祉担当職員の中には,医療費や虐待貸借や貧困対策といった深刻な事案への対応こそが本当の福祉として認識されやすい傾向もある。貧困対策という目的だけでは女性の就労を阻害する。在宅育児手当が育児家庭の家計にどの程度の影響を与えどういう行動を促したかという経済学的観点の分析も欲しい。
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マンハッタン計画に潜入して原発の機密情報を流していたソ連の工作員・コヴァルの足取りを記す。1930年代にはソ連のスパイ網がアメリカ中に広がった。何年もの間厳重に機密が保持されていたため,スパイの存在も長らく気づかれなかった。1948年になんとかソ連に逃げたが,ソ連では反米プロパガンダと反ユダヤ主義が広がり,ユダヤ人でアメリカ帰りのコヴァルの立場は苦しかった。アメリカでのスパイ活動も公にできなかった。その後はメンデレーエフ化学工科大学教授として,米ソどちらでも元スパイと気づかれないまま余生を過ごした。
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ここ最近では最もヒット作。「いい本を読んだ」と思いながら本を置いた。霜介が痛々しいが,水墨画の境地を掴んで再生していくところ,亡き母が教えていた小学校で小学生に水墨画を教えるところに心が動かされる。「本当は、この世界にいるみんなが優れた絵師なんだ。ただ、そうだったことを忘れてしまうんだよ。心の内側には本当に美しい絵が、誰の胸にも眠っている」。小学校での揮毫会で亡き母を想って皆が描く菊の絵,霜介が回復途上で描いた絵,そしてラスト,とても温かく,そして美しい。
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お抹茶
タイトルだけでは想像できないが,北海道を舞台にした刑事物。数学が謎解きやトリックに関わるかと思ったが,そうでもなかった。テレビドラマになりそうな展開と登場人物。刑事部と公安部の対立,新人班長としての葛藤,相棒との関係性,主人公が引きずる過去,ジェンダーバイアス,上司の思惑,犯人の人間性など,キャラクター構成がわかりやすい。前作があるとは知らずに読んだが,そんなに影響なかった。主人公の沢村は前半は少し頼りなさを感じるが,松山という優秀な部下と組んでから真相に迫っていく後半はぐぐっと冴えてくる。
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東京都に残る自然の空間。トトロの森とは場所が違うし,必ずしもトトロがいそうな景色でもないが,古き東京郊外の息吹を伝える写真を見ると,何とも言えない郷愁を感じる。
お抹茶
著者は日本の小説を専門とする韓国の翻訳家。おもしろく読みやすいエッセイで,区切り良い文章は著者によるものか日本語にした翻訳家の技によるものか。翻訳家の仕事の現実も赤裸々に記す。翻訳は長距離走で,お金儲けのチャンスを優先して体調を崩したことも。出版翻訳の場合は安いなと思ってもチャンスが訪れたときにありがたく仕事を引き受けるべしとアドバイス。娘との日々を綴る内容も,翻訳の苦労話も翻訳の実践例も興味深い。著者が好きなのは村上龍,村上春樹の特に『パン屋再襲撃』,最高の作品は天童荒太『悼む人』。
お抹茶
アメリカの食文化の歴史も感じられる本。エリアごとの代表菓子を紹介。アメリカにはオフィシャルステイト・デザートというのがあるんだ。意外と素朴な印象のお菓子が多い。バターや砂糖の量を見る限り,日本人向けのレシピになっている感じがする。基本となるパイ生地やイエローケーキを基に作っていくものも多い。ピーカンナッツ,ココナッツ,桃が出てくるのもアメリカの特徴か。レモンパイといっても地域によってアレンジが異なる。セブンレイヤーバーのように比較的簡単にできるアメリカらしいお菓子もあるので,レパートリーを増やせるかも。
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お抹茶
天橋立図の分析が詳しく,仮説も魅力的。雪舟は自己プロデュースに熱心で,中国での自慢話を使いながら自身のイメージを作っていった。詩情漂う画風を好む京都の禅僧の趣味に無骨さとパワフルさが持ち味の雪舟は合わなかった。遣明使に随行して描いた中国の絵は日本にはなかった写生風・スケッチ風の都市や風景の描き方で,他の画家にできない専売特許となって天橋立図に繋がる。帰国後の雪舟は中国で得たものを日本人の趣味に合うようにアレンジして,自己の造形感覚を生かしながら周囲の要求に応えられるようになった。大内氏との関係もポイント。
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お抹茶
チャートやイラストが豊富で,準拠法の決定プロセスがわかりやすい。判断の根拠は本文にまとめられている。複数国の法が並立するときの考え方がわかる。重婚の禁止,近親婚の禁止,再婚禁止期間など双方的要件は,より要件が厳しい法を適用する。相続は被相続人の本国法による。不法行為の準拠法は加害行為の結果発生地だが,損害の発生を通常予見できなかった場合は加害行為地法になることがある。インターネットでの著作権侵害の考え方は整っていなくて,国ごとの準拠法を適用するのが有力説。先に民法を勉強してから読むとよい。
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お抹茶
新築マンションが富裕層のものになりつつある現状を記す。駅前では第一種市街地再開発事業が盛んで,事業の主体はデベロッパーではなく再開発組合で,容積率の割り増しと自治体からの補助を飴玉に,店主は土地を取り上げられずに基本的に自己負担なく土地の価値を高められる。土地価格と建設費の暴騰で,デベロッパーは一般国民向けのマンションの供給を手控え,あぶれた顧客が中古マーケットに流れ,価格が急騰する。タワマンは金融商品だと割り切り,適切なタイミングで売り抜けることが肝要。景気のよい時に建設された中古マンションがおすすめ。
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お抹茶
大阪の地理歴史のガイドを受けているような本。大阪市だけでなく,堺市などの南部も多く紹介。大阪平野の東側の上町台地へは天王寺七坂のように急勾配の坂道があり,界隈には寺社が多く落ち着いた雰囲気が漂う。高度な土木技術を有することを示す古墳は倭国の威光を表す効果があったか。大阪は五世紀から港湾・交易都市として栄えた。堺は中世から工業都市で,堺の人は大阪に負けないという自負がある。大阪には大正から昭和初期に建てられた近代建築が多く,大大阪と呼ばれた時代の産物。京橋,鶴橋,釜ヶ崎,宗右衛門町などディープな世界も案内。
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お抹茶
平城京の官人の暮らし,物資の流通などさまざまな内容を記す。地方出身の官人のための帰郷用の休暇や忌引休暇もあった。造東大寺司は東西市から常に必要とする諸物資を調達し,例えば調庸を貢進するために設けた相模国の調邸では,相模国から輸送した調庸を一時的に収納し,市で交易によって不足分を補い,また余剰品などを売却したと推測される。平城京の諸門の中にはその門の通過を認められた官人の名前が木簡に記されていたが,五位以上の高官はどの門も自由に出入りできた。『正倉院文書』をはじめ古文書や木簡解読の成果が記されている。
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お抹茶
生放送の「Q-1グランプリ」で,「問題」というアナウンサーの声だけで正解を言い当てたファイナリスト・本庄絆の謎に迫る。競技クイズという世界の仕組みも知れる。「クイズに答えているとき、自分という金網を使って、世界をすくいあげているような気分になることがある。僕たちが生きるということは、金網を大きく、目を細かくしていくことだ」。早押しクイズは答えがわかってから押しては遅く,「わかりそう」と思った段階で押し,答えを思い出していく。クイズとそれぞれの人生を絡めていくところが作者の腕。テレビ局の対応には不満が残る。
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お抹茶
若者ではない読者は若者の行動原理を,若者は自分達がどう見られているかを知れる本。必要なのは適切なフォードバック。正解はわからないけれど自らの意思と責任で選べという現在のビジネス環境では,答えとマニュアルとお手本があり,横並びの世界へ逃げ込むいい子症候群の若者たちが増える。いい子症候群の若者達は,一見して爽やかで前向きでコミュニケーション力があり,与えられた仕事をしっかりこなし,素直で優秀に見えるが,外的な要因で自分の感情をアップダウンされることを強く嫌う。主体性が大事だと認識しつつ自らはチャレンジしない。
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お抹茶
著者はアラビア語通訳官としてイスラエル大使館などに勤めた。クリントン大統領のガザ訪問はアメリカがパレスチナ問題の解決に本気であった証だが,その後の米大統領はパレスチナ問題に無関心。それが現在の戦闘の遠因だと指摘。第二次インティファーダの前夜,パレスチナ側には暴力を発生させようとする雰囲気はなく和平達成への期待感が強かった。トランプ政権期では,イスラエルにとって最大の脅威はアラブ諸国ではなくなり,アラブ諸国にとってもイランが共通の敵となり,パレスチナ問題の関心は低下し,イスラエルとUAEは国交を正常化した。
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特にグルメバーガーについて論じる。ハンバーグとハンバーガーのミートパティは明確に違うものと訴える。「本物志向のハンバーガー専門店」は日本で日本人によって創業された。著者が考えるグルメバーガーは,個人資本による経営で料理経験者がビルドの順序と味の構成に意図をもって商品設計・デザインを行い,自家製のパーツを用いて自分の責任の下で一点一点を提供するスタイルの店のハンバーガー。各パーツが口の中で混じり合い,口の中で完成するという考え方が日本独特で,パーツは同じでもビルドの順が違うと味の感じ方は全く異なる。
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お抹茶
一人旅の小説だが,訪問先や感想がかなり具体的で,どこまでが創作なのかわからない。割とはっきりと感想を書く。旅先は,能登,妙高,村上・新潟,山口。能登の居酒屋では朱塗りの器に刺身や汁物が供され,全てが美しく,上品そのもの。村上駅近くの店の村上牛の串焼きはリーズナブルで,びっくりマークを連打したくなるほど極上の味。このシリーズではこの本が初めて読んだ作品。小説としての登場人物の動きよりも,旅人としての動きが目立つ構成。
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称徳天皇が道鏡を寵愛したのは事実だが,正倉院文章や続日本紀には称徳天皇や道鏡に関する「下衆の勘繰り」伝説の記載はない。称徳天皇への言及も多い。孝謙上皇・仲麻呂と淳仁天皇は蜜月関係にあったが,道鏡を寵愛する上皇を淳仁天皇が諫言したため,両者の不和が表面化し,仲麻呂は利用価値がなくなった淳仁天皇から離れた。清麻呂配流の首謀者は道鏡ではなく称徳天皇と考えられる。道鏡や弟の大納言弓削浄人は太政官政治を掌握できず,後ろ盾の称徳天皇が人事不省に陥ると,即座に転落した。
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お抹茶
著者二人が交互にエッセイを綴る。東日本大震災,熊本地震,水害,コロナ禍と経て,庭仕事や老化に音を上げながらも逞しく生きる。「新しく住まった家は生類の気配が濃い」と言って,ヤモリの訪れを楽しむ。若い頃だったら億劫だと思ったかもしれない近所づきあいも年をとればむしろありがたく,人の営みと生類の営みの音がほどよく混ざる。日常の些細なできごとも,当人以外の記憶に繋がり残ることもある。居酒屋でタブレットで注文するのにかなり努力し,時間と労力が虚しい。適応しろと言う若者の気持ちもわかるが,老人には努力も難しい。
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お抹茶
講座としてまとめた論考集だが,社会学の各分野の潮流はどうなのか,なぜ今この論文が大事なのか,というのがいまいちわからない。ブックガイドは最新の本も含んでいる。都市は部分的紐帯が豊富で,コミュニティ喪失論は該当しない。
お抹茶
ネタバレトルコの食文化は,騎馬遊牧民だったトゥルク人の食文化,アラブ人やイラン人から受け入れたイスラムの食文化,オスマン帝国やギリシャやビザンチンの食文化が影響し合い,独自の深化と変容を形成したもの。19世紀中頃になると,トマトやパプリカからサルチャ(ペースト)が作られるようになり,香辛料を使う量が減った。断食明けの祝祭シェケル・バイラムでは,甘いお菓子を親戚や知り合いに配り,仲違いしている者同士でも抱擁し合い,紐帯を強化する。ヘルヴァは,祝い事に限らず,和解する時,弔事でも食べられ,悲しみや喜びを分かち合う。
お抹茶
国際会館は観光地としては認識されていないと思うが,広大な敷地に建つモダンな建物,日本庭園の景色,そして特徴的なインテリアがを魅力的。開業時のコンセプトにも立ち返り,日本・京都の美と国際的な感覚を融合した空間を豊富な写真とともに紹介する。
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お抹茶
実は週末だけでは辿れない都市も多い。全州の旧市街には韓国伝統的家屋が並び,ビビンバやコンナムルクッパの発祥地で華やかな食文化も魅力。濡れた道路がライトアップされ煌々と光る夜の上海は幻想的。コタキナバルの夜は新鮮な魚介類でご飯。バンコクのマッサージや美容は,最先端技術で,衛生面も問題なく,施術者の技術も高いのに日本より安い。色彩の魔術師・マティスが感動したニースは明るく華やか。礼文島,父島・母島,対馬,壱岐,与那国島も入る。あとがきにあるように,海外旅行は,「行ける時に行け」,「今のほうがまだ安い」。
お抹茶
台湾,韓国,タイ,マレーシア,ラオスを中心に鉄道旅行の体験と注意点を記す。他の東南アジア諸国と中国の鉄道事情にもコラムで言及。韓国の鉄道は,新線開業やルート変更や駅の移転など急ピッチで変貌する。韓国の大半の線区では普通列車はなく,料金券の概念はない。タイでは僧侶専用席があったり,冷房がなくて窓を開け放ったりする車両もあるが,「タイの風」を感じて意外と快適。ミャンマーの鉄道はダイヤが不安定で激しい揺れに耐える常識外れの実態。ベトナム統一鉄道は濃厚な縦断旅を味わえる。ラオス中国鉄道の体験記があるのは貴重。
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お抹茶
好みの画集。東海道五十三次のような,時代劇のような,歌舞伎のような,戦前のドラマのような,日本の“音”が聞こえてきそうな版画。特に雪の情景が素晴らしい。例えば,≪芝増上寺≫≪牛堀≫≪弘前最勝院≫≪高野山鐘楼≫など。蛍狩りを描いた≪大宮見沼川≫には懐かしさを感じる。巴水自身が登場する≪京都清水寺≫には哀愁を感じる。もちろん色鮮やかな版画も多い。珍しく戦争を題材にした≪阿可い夕日≫もうまい構図。
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お抹茶
花政による作品と花政への依頼主の寄稿を載せる。普段とハレをきっぱり分ける京商家の慣らいにあわせた節度のある花を届ける。村上重本店の夏の暑い日の青竹,マールブランシュ本店の鉄線裏白瓔珞躑躅,Bijuuの洋風のリースがいい。挿花家の栗﨑曻氏の生け花は花を活ける人間の心のうちを表す「おちつく花」で京都人を楽しませる。
お抹茶
おすすめのご飯のおともを出す食堂を舞台に,作者を彷彿とさせるおばさん店主を主人公にした小説に実在の商品が出てくる。「たまり漬チーズ」はたまご焼きやオムレツの具材だけでなく,みじん切りにしてパスタに入れると和テイストのカルボナーラになる。アサリは冷凍すると旨味が四倍になり,史上最強の味噌汁になる。年を重ねれば良い経験も悪い経験もネタになり,小説家としてはネタが豊富になるからと励ます。梅とベーコンと玉葱を合わせた「梅あぶら」,日野菜と胡瓜と青トマトと青唐辛子と青紫蘇の「まぜちゃい菜」もおいしそう。
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雪舟が中国で見たのは,雪舟が京都で挫折した繊細な画風ではなく荒っぽい画風で,ダイナミックな筆の勢いがある「四季山水図」にその特徴が表れている。夏珪風のような中国画家に倣いながら雪舟風のアレンジを積み重ねていくのが当時の方法で,「山水長巻」や「秋冬山水図」のオリジナリティを生んだ。山水図巻は中国では権威ある絵画で,主君の大内政弘の治世を言祝ぐ大作として,雪舟は「山水長巻」を描いて献上した。「天橋立図」の解説は特集ページになっていて,細部の拡大もありおもしろい。
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京都の21の日本庭園を紹介。知識が押しつけがましくなく,行きたいと自然と思わせる文章。作庭者や維持する人への敬意も感じる。泉涌寺は「浄化された空間」で,いつ来ても静寂で凛とした美しい場所。詩仙堂は石川丈山が鹿威しを初めて音響効果として庭に取り入れた所で,山や花や苔むした築山が風景に溶け込み,とても心地がいい。桂離宮には日本文化の粋が集まっている。圓光寺には柔らかい上品な空気が流れている。真如堂には青いうろこ石が並べられ,水の流れを示す斬新なデザイン。借景も苔も美しいのが白龍園。一部は予約制や非公開。
お抹茶
深層学習の数学的観点を解説。実験的にはニューラルネットワークの層を増やしてデータの変換を数十回繰り返すことが高い性能に必要だが,数学では,層が二つのニューラルネットワークがどんな関数であってもほぼ正確に表現できる。膨大な数のパラメータを持つニューラルネットワークでも,適切に枝刈りをすれば半分以下の枝でも高精度になる。バイアスとバリアンスの二律背反がデータ分析の宿命だが,パラメータ数が膨大でもバリアンスが上昇しない数学的理論が期待される。
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出張料理人がさまざまな家庭で料理を作る。短編が24作品あり,それぞれは短いが,離婚とか病気とか事情を抱えた人達をさち子の料理が束の間和らげる。「不幸は一瞬で全てを破壊するけど、幸せはゆっくり満ちてくるものだから」,「花は、早く咲けば良いってもんじゃない。ゆっくりで良いから大きな花を開いて、長持ちさせることが大切」。「娘を愛すればこその取り越し苦労を、さち子は笑う気にはなれなかった」という心の持ち主。焼いたトウモロコシを昆布出汁で煮てミキサーにかけて濾したスープを飲んでみたい。
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数珠つなぎに縁が繋がり,おおっ?というラストへ。1nd seasonから読んでいき,相関図を描いていかないと,誰と誰がどういう関係で繋がっているのかわからなくなる。食堂のリングが舞台装置として役割を果たすだけでなく,まさに「リング」の象徴。人生で辛いことがあっても,この店にやってくれば幸運に巡り合う気がする。
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いろいろなお墓の形がある。墓石にとらわれない弔いを考えるきっかけになる。家制度や古い価値観を背負った墓石から解放される安堵感がある。抜魂供養は習俗に過ぎず,仏教の教義とは関係ない。外墓の選択肢を持たずに自動搬送式の納骨堂の見学に来る人が増えた。自動搬送式の斬新さに目がいきがちだが,お墓の役目は外墓と変わらず,お参りしやすい環境があり,満足して選んでいる。ある永代供養塔では,事実婚,姉妹などイエに縛られない墓という点が好まれている。散骨は,熟慮のうえ選ぶ人と海を遺骨の捨て場と考える人に二極化している。
お抹茶
日常のほっこりを提供するお店から,ちょっと贅沢な気分になるお店まで,必ずしも京都っぽくなくても,通えばそこがあなたの京都になる店を紹介。カフェ・喫茶店,食器屋・雑貨屋が中心。開店日が月数日というお店もいくつかあるので,訪問前に要確認。
お抹茶
近現代の記述が中心。ゲルマン民族の大移動や内陸アジアの移動はほぼ言及せず。体系的な構成ではない。イギリスの植民地で奴隷が解放された後,インド人の年季奉公人が代わり,大半はインドに帰らず,その子孫が多くの社会で大きな成功を収めた。フィリピンは,介護士,ベビーシッター,看護師,船員として労働力を輸出する。交易ディアスポラで有名なのがレバノン人で,ニッチ市場を切り拓いて成功。戦後のイギリスではカリブ海地域出身者の後,南アジア出身者が増えた。貧しい国からの医療従事者の移動も多く,送出国では育成費用を回収できない。
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永観堂はもみじの季節がよろしいが,この写真集に載っている雪景色も美しい。うっすらと雪の積もった日,お地蔵さんが肩をすぼめて庭を見ている構図もいいし,石橋に積もる粉雪が新たなグラデーションを生み出しているのもいい。すっくと立つ睡蓮の花もまたよろしい。
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ドイツ語の慣用句を紹介。ビール,ソーセージ,熊が出てくるところがドイツらしい。Das ist nicht mein Bier.=私の知ったことではない。Extrawurst=依怙贔屓。プラス面でもマイナス面でも使う「やばい」と同様,Sau(豚)はSauwetter(ひどい天気)にもsaucool(超かっこいい)にも使われる。ただし,豚は幸運の象徴で,Schwein haben=運がいい。火中の栗ではなくじゃが芋を拾う。一人ならeinsam(孤独),二人だけの生活ならZweisamkeit。
お抹茶
田舎の国道沿いの食堂を舞台にした短編人情噺。壮絶な人生を送ってきた人が何人も出てきて,偶然が起こり過ぎるところはあるが,出てくる人たちを自然と応援したくなる。特に,プロに「持って生まれた華がある」と言わしめる置き薬セールスマンの二方がいい。彼のオーラを見て血が騒ぐ,本当にちょっとしたことを感覚としてできる人間,「いるんだよなそういうのを持って生まれる奴」。巡り廻って次の物語が誕生しそうだ。
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機械学習の基本的な考え方を比喩も交えながら噛み砕いて説明した本。AIをかじり出したレベルで,専門書を取る前の本として最適。AIには考えるべきことを捉える力がないため,与えられたあらゆる可能性を網羅的に調べる。そこで,AI設計者が考えるべきことを限定する。ニューロンは入力の見方を変えているだけで,見方を変えた結果を次の層のニューロンが入力として使い,さらに見方を変えた結果が出力される。正解とのずれをできる限り減らすことが学習の目的。過学習対策は,特徴を新しく見出すのをやめる正則化。AIには重みの調整が重要。
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野菜で中華と言ってもあっさりしたものばかりではない。椎茸と茄子のピリ辛炒めは四川料理の調理法に則った料理。中華料理屋というより中国の家庭で出てきそうな料理が多い。例えば,里芋と鶏肉の煮込み,じゃがいもとピーマンのオイスター炒め,椎茸と筍の醤油煮込みなど。紹興酒,黒酢,豆板醤があればよいが,醤油や塩や酢や胡麻油でぱぱっと味を調える料理も少なくない。
お抹茶
ネタバレ地上と宇宙間のデータを伝送し制御するシステムを標的とするサイバー攻撃は,データを傍受し,偽のデータや不適正なコマンドを偽装して組み込むことで,衛星からリンクされるデータやサービスを喪失する。極超音速システム・兵器の対応・開発も重要。ハイブリッド戦争が世界に敷衍し,現実空間と仮想空間の境界が曖昧になり,地理的制約の影響を受けず,非常に短時間で宇宙などの新領域作戦が行われる。兵士が戦場に派遣されない一方,サイバー攻撃で命を落とす市民も増える。進み過ぎたテクノロジーを用いて戦闘する兵士のケアの必要性にも言及。
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やまと絵の歴史を代表作と共に簡潔に繙く。隋・唐に源を持つ唐絵に学びつつ平安時代前期に改良を加えられたのがやまと絵。やまと絵は屏風絵・屏風歌とともに発展し,モチーフを散在し,どこを切り取っても絵になり,集合した全体も絵になる。異なる時間を一つの画面に描く「風景の理想化」も鎌倉時代の特質の一つ。安土桃山時代の御所の障壁画は狩野派による漢画に置き換わった。天皇家や大名家といったパトロンを失い,西洋絵画が導入された明治時代に「外の美術」である中国絵画に対するやまと絵の役割は終わり,日本画が新たな「和風」になった。
が「ナイス!」と言っています。
お抹茶
中高年男性の厳しい副業事情を取材。コンサルなどのホワイトカラーの仕事は少なく,体力勝負の仕事,儲からない仕事が多い。フードデリバリーサービスは,謎に包まれたアルゴリズムで順位をつけるAIに左右される。おじさんの名誉心や孤独感をくすぐる暗号資産×国際ロマンス詐欺の被害も広まる。ホテルの宴会場の裏側,食品加工工場,夜の仕事の裏方など,ホワイトカラーは出会わない場所も多いが,長続きしにくい。若い頃のアルバイトや趣味や体力が生きるケースも意外と多い。副業も結局は人間関係で明暗が分かれる。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/09/24(634日経過)
記録初日
2016/01/16(3077日経過)
読んだ本
1718冊(1日平均0.56冊)
読んだページ
447189ページ(1日平均145ページ)
感想・レビュー
1718件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
自己紹介

読書は無尽蔵。読んでも読んでも,まだまだ読みたい本があるのですから,贅沢な趣味です。

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