ワニ町シリーズ2作目。前作と変わらずアイダ・ベルとガーティのおばあちゃんコンビがパワフルでめちゃくちゃで最高！職業柄いわゆる普通の生活をしてこなかったフォーチュンが、嫌々来たはずのシンフルで初めての同年代の友人を得たり美味しいものを食べたりして楽しんでるのが好き。一応期間限定の滞在のはずなので今から期間終了後のことが気になっちゃう。コージーミステリらしくロマンスの片鱗があるけど、あくまでもストーリーのスパイスで匙加減がいい。ドタバタアクションコメディにちらりと見え隠れするシリアスな背景も気になるシリーズ。

前世が見えるという人に自分の前世がルネッサンス時代のフィレンツェの彫刻家だと言われ、その男の人生を追っていく…というまるで小説のような筋書きがあくまでもノンフィクションというのに驚き。結局真偽は不明のままなのだが、デジデリオという男の人生を追い求める冒険を通して作者が得たものが本質なのだろう。作者がフィレンツェ行きを決意した時の自分はこの先どれだけ冒険できるだろう？ドキドキもワクワクもせずに生きていくのか？という自問に共感。旧タイトルは『デジデリオ』だったそうだが、今のタイトルの方がワクワクさせてくれる。

シリーズ2作目。今作も作中作が丸ごと入っていて、一作で２つのミステリ小説が楽しめるという趣向は楽しい。今作は現実の過去の殺人事件＆現在の失踪事件の真相が作中作に隠されているかも…という導入から始まり、関係者や事件の舞台となったホテルの描写のあとで作中作に入ってるので、その点前作よりも作中作に対するワクワク感があって◎。ただ現実の事件パートの探偵役であるスーザンにどうも主人公としての魅力というかキャラの強さがないので今後のシリーズの続け方はちょっと気になる。作中作の名探偵アティカス・ピュントが登場し下巻へ。

主人公が60代、かつての仕事仲間とシェアハウス（下宿屋として）してるということで、木曜殺人クラブより少し若いけどちょっと雰囲気が似ている。元気なシニアのお話って好きだなあ！海外のコージーミステリに義務のように入りがちなロマンス要素も、新しい下宿人サムとの関係性は互いに夫や妻を亡くした痛みを抱えながら、ゆったりと穏やかで良い。作中に出てくる桃のデザートやコーラを使ったローストビーフがおいしそう！コブラーってお菓子は初めて聞いたので食べてみたい。犯人は途中で目星がついたけど、結末は切なかった。

コーヒーの香り漂うアメリカのコージーミステリ。コーヒーの蘊蓄がたっぷりですごくコーヒー愛が伝わってきて、紅茶党だけどコーヒーが飲みたくなってしまう。レシピ付きだから試してみようかな。被害者周りのストーリーは悲しいけど謎解きとしてはライト。犯人は登場した場面で大体当たりがつく。謎解きよりも主人公にまつわるコーヒーと周囲の人々の話が多いのでミステリを求めてると肩透かしかな。コーヒーが謎解きに関わる訳では無かったのがちょっと残念。元夫と警察官との三角関係が今後どうなるかな。個人的にはあんまりロマンスはいらない。