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2024年10月の読書メーターまとめ

沙華
読んだ本
9
読んだページ
2122ページ
感想・レビュー
9
ナイス
98ナイス

2024年10月に読んだ本
9

2024年10月のお気に入られ登録
1

  • すやすや

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

沙華
書きたいことの3割も書けていないと言っていた処女作。村上春樹らしい文体に触れると同時に、どうも本作は決意表明に思えてならない。「蝉や蛙や蜘蛛や、そして夏草や風のために何かが書けたらどんなに素敵だろうってね」「誰もが知っていることを小説に書いて、いったい何の意味がある?」"他人と違う何かを語りたかったら、他人と違う言葉で語りなさい"という言葉を胸に、自分で書いた英文を日本語に訳しながら本作をしたためたそう。本作だけで著者の真意を追い求めるよりも、順々に読み進めていくごとに、村上春樹の世界を知りたい。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
9

沙華
『14歳からの哲学』の後ではどうも歯応えがないように感じるが、中学生向けであることを勘案するとむしろそうあるべきなのかもしれない。ただ、多くの章で"自分"に帰着する点は興味深かった。友達も歴史も宇宙も、それを知覚し思案するのは自分という存在であり、自分と物事の関係性を見つけることで、退屈に思えることさえ謎めいて不思議で非常に興味深く思えてくる。なぜ勉強するのか、なぜ戦争をしてはいけないのか、自分らしさとは何かなど、誰しも一度は抱いたことがある疑問に丁寧に寄り添ってくれる。14歳の君へ薦めたい。
が「ナイス!」と言っています。
沙華
「あえて冷めた言い方をすれば、パートナーよりも素敵で魅力的な異性は、世の中にたくさんいるでしょう。しかし、パートナーにとっても、あなたより素敵で魅力的な異性はたくさんいるかもしれません」枝葉末節だがは印象的だった文章。自分も相手もあるがままを愛するという点で心に留めておきたい。また、ABC理論(Activating eventは自身のBeliefを通してConsequendceたる)から、自分の捉え方の重要性を知れた。簡単なことではないかもしれないが、アサーティブな姿勢を心掛けたい。良書。
が「ナイス!」と言っています。
沙華
絵の描かれた歴史的背景やモチーフとなった物語の知識ばかり頭に入れていたが、とあるアニメを見ていて絵画の構造も知りたいと思い本書を手に取る。目線誘導、バランス、構図、色など、名画が名画たるゆえんを知れた。書く側も骨が折れる作業だが、それを読み解く側も大変である。また、作為的に構造をでっちあげることもできるため、あくまで構図は作品鑑賞の補助線でしかないという著者のスタンスも良い。こうゆうことこそ学校の授業でやるべき。文化の日は美術館に行きたいなとカレンダーを埋めます。
が「ナイス!」と言っています。
沙華
人生の主導権は自分で握れ。お金に悩まされる人に対して、負債に次々追われるラットレースを抜け出し、資産を増やすことでファースト・トラックへ移ることを熱弁する。"バランスよりも一点集中"は、"最も効果が上がりそうなところに最強の武器を投じる(『良い戦略、悪い戦略』ルメルト)"に通ずる。その見極めには、謙虚に学び続ける姿勢が必要。そして、チャンスを逃さないように恐怖心や臆病風に負けないこと。ファースト・トラックに乗れるかもしれないという期待と、ファイナンシャル・インテリジェンスを高めたいという熱量をもらった。
が「ナイス!」と言っています。
沙華
「もし僕が両耳の穴にくちなしの花をさして、両手の指に水かきをつけていたとしたら何人かは振り返るかもしれない。でもそれだけだ。三歩ばかり歩けばみんな忘れてしまう」女と別れる鼠、探し求めたピンボール台に別れを告げる僕、双子との別れ。終盤連続的に描かれるこれらの"別れ"は、未来の"忘却"までも示唆しているように感じた。はっきり知覚し得る現在が過ぎ、この象徴的な別れの記憶もおそらく失われる。まるで、いずれ落ち行くピンボールのように。それこそこの小説で描きたかった出口なのかもしれない。
が「ナイス!」と言っています。
沙華
書きたいことの3割も書けていないと言っていた処女作。村上春樹らしい文体に触れると同時に、どうも本作は決意表明に思えてならない。「蝉や蛙や蜘蛛や、そして夏草や風のために何かが書けたらどんなに素敵だろうってね」「誰もが知っていることを小説に書いて、いったい何の意味がある?」"他人と違う何かを語りたかったら、他人と違う言葉で語りなさい"という言葉を胸に、自分で書いた英文を日本語に訳しながら本作をしたためたそう。本作だけで著者の真意を追い求めるよりも、順々に読み進めていくごとに、村上春樹の世界を知りたい。
が「ナイス!」と言っています。
沙華
メンバーさんとの関わりやケアの複雑さをエッセイ風に描いたものと思いきや、最後に「ケアとは何か」という問いへ一気に切り込む。本来ケアは親密な依存を原理とし市場の外側にあるはずが、現実では金銭を求める市場ロジックがケアの根底にある「いる」を頽落させる。「いる」が金銭を得るための手段へと変わる。「いる」を支えることのコスパが計算されるから、ケアする人の「いる」が使い捨てにされてしまう。著者を含めケアする側の人が苦悩の末に入れ替わり立ち代わり去っていく様子は、ケアの現実を突きつけてくる。居るのはつらいよ。
が「ナイス!」と言っています。
沙華
「聞く」は声が耳に入ってきて、語られていることを文字通りに受け止めること。対して「聴く」は、声に耳を傾け、語られていることの裏にある気持ちに触れること。だから「聴く」ことは難しい、と思っていたら「聞く」ことの方が難しいと筆者は主張する。実は私たちは、日常にありふれた「聞く」を蔑ろにしがちだ、と。ねぇちゃんと話"聞いて"よ。相手の話を「聞く」ことができないなら、まずは自分が「聞いてもらう」。そして「聞く」と「聞いてもらう」がぐるぐる循環すればよい。目新しいことはないけれど、大事なことに気付かせてくれる一冊。
が「ナイス!」と言っています。
沙華
クルミドコーヒーを訪れたことがある。談笑する夫人や読書に耽る学生など、普通のカフェと同様に各人が思い思いに時間を過ごしているにもかかわらず、こじんまりしたとカフェが不思議な一体感を作り出していた。さらに、玄関(厨房)とカフェを隔てる階段が、お客さんはスタッフを意識しないがスタッフはお客さんに目を配ることができるという絶妙な距離感を作っているように感じた。「特定多数」と「健全な負債感」というキーワードが「贈ること」を負担なく、絶やすことなく、循環させる。本書からもカフェからも良い贈り物をもらえた気がします。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/12/18(711日経過)
記録初日
2022/11/27(732日経過)
読んだ本
203冊(1日平均0.28冊)
読んだページ
49763ページ(1日平均67ページ)
感想・レビュー
203件(投稿率100.0%)
本棚
2棚
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