初読み作家。 昨日に引き続き、家族がテーマの作品を読む。 こちらは「新生児取り違え」 昔はこういう事件が実際にあったと聞く。 映画『そして父になる』にも感じたが、ずっと育てた子供を「はい」と交換など出来る筈がない。 読んでて何度泣いただろう。 自分の小さかった子供が浮かび、絶対ムリだと涙が出た。 航太が哀れで堪らなかった。

『完璧な母親』とどちらが先に書かれたのだろうか。 前作が面白くなかったので、これもまた同じかと思っていた。 予想に反しスゴく良かった。 私も子を持つ母親だけど、自分の母性に疑問を持つ時があった。 可愛いのに愛せない時期があり、それは私だけの責任じゃない様に思えた。 重なる部分はつい最近の様な気がするが、20年以上も昔の事だ。 宝子の生い立ちと、伏線も回収されラストに向かう。 色々考えされられる作品だった。

始終重い話で気分が塞ぐが、白石弁護士と真壁刑事の登場で大きく揺れた。 以前より知っている2人が出てくれば、安心して先に進める。 それにしても伊岡瞬はスゴい。 それぞれの心情や、鮮やかな回収の仕方も感動すら覚える。 唸るしかない、見事だ。 中学生の友情に泣けてくる。

殺し屋シリーズとは違い、家族をテーマにした作品。 『アヒルと鴨』に若干似てる。 お父さんが良いキャラ。 ここまで息子たちと仲の良いのって珍しい、というか微笑ましい。 「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」 滲みて泣いた。 兄貴も弟も皆、性格がいいね。 余韻が残る締め方も、映像を観てるようで良い読了感。 続いてAXにゆく。