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2024年4月の読書メーターまとめ

Ryo0809
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2024年4月に読んだ本
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2024年4月のお気に入られ登録
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2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Ryo0809
妄想人格の「わたし」が引き起こす殺人事件に翻弄される作品。警察の威信をかけて犯罪心理分析官を投入するが、蹉跌を抱えたこの官僚エリートによって捜査は攪乱されてしまう…。至る所に張り巡らされた仕掛は、その多くが思い込み(錯覚)によるミスリードを誘発する心理の綾。この辺りは作者の腕の見せ所なのだろう。被害者の母親の心象や、ハサミ男の父親の役割など、どこまでも心理の複雑さを基に構築された作品。唯一わからないのは、ハサミ男が犯行におよぶ心理だろうが、騙されることを楽しむ作品としては一級品だろう。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
15

Ryo0809
妄想人格の「わたし」が引き起こす殺人事件に翻弄される作品。警察の威信をかけて犯罪心理分析官を投入するが、蹉跌を抱えたこの官僚エリートによって捜査は攪乱されてしまう…。至る所に張り巡らされた仕掛は、その多くが思い込み(錯覚)によるミスリードを誘発する心理の綾。この辺りは作者の腕の見せ所なのだろう。被害者の母親の心象や、ハサミ男の父親の役割など、どこまでも心理の複雑さを基に構築された作品。唯一わからないのは、ハサミ男が犯行におよぶ心理だろうが、騙されることを楽しむ作品としては一級品だろう。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
憎めない悪童トム・ソーヤが地元でやらかす冒険の数々。悪戯や遊び。南北戦争前の南部の小村の毎日。体罰が公然と認められる学校生活や、毎週日曜日には教会に集まる熱心なキリスト教徒は、流布する迷信も固く信じている。迷子がでれば村民みんなで捜索にあたり、犯罪があれば一致協力して逮捕に協力する。物質的な豊かさはなくても、なんと微笑ましく人情味あふれた世界か。ノスタルジア一辺倒ではなく、子ども向けの物語でもなく、人間の営みや包容力豊かなコミュニティを描いた作品で、寅さんのような懐かしさを覚える。残したい名作。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
冬眠中に先進医療により回復して目覚めたルオ・ジーと、彼を支えるシー・チアン。宇宙艦隊に奉仕するジャン・ベイハイ。三体の放ったたった一粒の水滴により次々と破壊される宇宙軍。生き残った数少ない艦船も同士討ちに走る。予想不可能で途轍もなく壮大な戦いが宇宙空間で繰り広げられる。そして、解き明かされる宇宙文明の姿。イエ・ウェンジェとの邂逅の意味に辿り着くルオ。モラル皆無の宇宙文明を支配する二つの公理。第三の文明の存在を怖れる三体文明。科学と心理の両面から迫る人類の物語。構想の大きさに息をのみつつ、第三部を待つ。
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Ryo0809
四世紀後に地球に到達する異星文明・三体。地球では面壁計画を発動し、四人を選ぶ。智子に感知されないように全くの極秘裏に進めなければならないのだ。地球三体協会(豪華このうえないキャスティング!)の妨害・暗躍も始まる。面壁者ルオ・ジーの創り出した楽園と苦悩を中心に描きつつ、周辺のキャラクターを疎かにしない筆さばきは見事。冬眠前に人工ウイルスに感染・重篤化したルオ・ジー。果たして送信したメッセージは打開策となるのか、下巻へと読み進めずにはいられない。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
13世紀のカソリック。イタリア・アッシジ。聖界は俗界よりも俗に塗れていたのだった。本来のキリストの教えに立ち戻ろうとしたのだろうか、修道会が活動する。失われた聖フランチェスコの遺体や聖遺物を巡る、フランチェスコ会とドミニコ会の諍い。純粋すぎる修道士ベネディクト。世慣れた助祭のピエトロ。この二人を支えたり、陥穽に堕とそうと蠢く人間の姿と石造りの大聖堂。中世ヨーロッパの宗教観や生活の様子を雰囲気たっぷりに感じさせる筆の力、大変楽しく読んだ。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
明治時代央を舞台に見立てたパラレルワールド。歌舞伎なのか、人形浄瑠璃なのか。黒衣とその娘のやり取りが艶めかしく展開するなか、文明開化の帝都は魑魅魍魎の世界へと逆行していく。街に瓦斯灯が灯ろうとも、人の心には人魂や生首、魔人など、闇への畏れが蠢く。風水や陰陽道への信仰も深い。近代化と人心との乖離につけ込まれる空隙が生じ、パラレルワールドが生まれる。この物語は、すべて人が心に残す恨みや抑圧が生み出す虚構を描いたのだと読んだ。さもありなんと思わせるストーリー・テリングの妙には、思わずうなる。さすがである。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
村上春樹訳で読む。繊細な感受性が葛藤を招く若者の物語かと読み進めていくうちに、これは家族愛の話だと気づく。おろおろする母親の言動が際立つ。ズーイとのバスルームでの会話も笑ってしまうほど、心暖かい。劇を観ているような臨場感がある。会話を中心に物語が進行してゆくところも、観劇に近い趣がある。投げ込みエッセイで訳者が述べているように、この時代のニューヨークとサリンジャーの精神状態、そして文体技術が分からなければ、この作品の奥深さには立ち入れないのが残念だが、優れた翻訳本があることを感謝しよう。
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Ryo0809
第二次世界大戦末期、野戦病院跡となったイタリアの僧尼院に集まる4人。イギリス人の患者が回想するリビア砂漠の描写が見事だ。インド出身のイギリス兵の爆弾処理現場はスリル満点であり、従軍看護婦との恋は初々しい。泥棒を本業とした中年男の戦地活動は意外性を与える。終戦近しのニュースに希望も芽生えるのだが、最期には切なくも大きな破局で共同生活は終わる。多様多彩なシーンが重層してゆくストーリー展開に翻弄されて、よい意味で裏切られる作品である。
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Ryo0809
6編の短編からなる書。今から50年以上前の1960年~70年代に執筆されている。鯨神は圧倒的な作品で、最大の哺乳類との生死をかけた息詰まる闘いを臨場感豊かに著す。あたかも神への挑戦なのか、それとも神との同化なのか…。姫君を喰う話は斎宮との妖し気な交わりを、花魁小桜の足はキリストとの官能を、そして西洋祈りの女はあたかも西洋=神との交流を漂わせるようだ。どれも官能的で猥雑で息苦しくなるほど濃密。他2編も生活のなかの屈折と変態をたっぷりと描く。どの作品にも漂う生と死の匂いに、容赦なく惹きつけられた。
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Ryo0809
何とも不思議な味わいのある短編9編。すべて、サリンジャーの自薦という。何気ない会話があちらに飛び、こちらに着地するように進んでゆくうちに物語が進行し、驚愕の結末であったり、ニヤリとする落ちであったり、言葉の魔法のような作品集。面食らう場面も多かったが、熱狂的なサリンジャー・ファンが多いことも肯ける短編小説。
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Ryo0809
人生にある選択や岐路をパラレルワールドとして描く。どれも当たり前のような日常なのかもしれないが(感電・バラバラ殺人は除く)、どれもがイビツな手触りに落ち着かない気分にさせる。異常とまでは言わずとも、普通とは思えない生き様が次々と立ち現れて…。いや、ひょっとすると、自分は普通だと思って平然と生きていることが、他人からすれば不気味に見えるのかもしれないが。描かれたどのパラレルワールドにも違和感が先行し、あまり爽快な気分にならない読書であった。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
短編とエッセイ。どのような連想なのか、行けども尽きない森のなかを彷徨するかのような、あるいは次々に扉を開いてゆくような世界。エロチックで、猥雑で、懐古的で、前衛的で、精神は気高い。変幻自在だ。幻惑されること間違いなし。揺蕩うしかない。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
スペイン作家の幻想的な作品。出身地でもあるバルセロナの魔窟を描く。二十世紀央の時代設定だが、古色蒼然とした中世的なテイストと、夢か現つかの怪奇的な展開がマッチしていて、妖しい雰囲気のなか物語は進む。登場人物が一人ずつ、それぞれの視点で語り継ぎながら、散りばめられた伏線を回収しながら事件の核心が明かされてゆく。ミステリーの要素も含めて様々なテイストが重層的に織り込められた独特な世界を楽めた。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
表題作を含め5作品をおさめる短編集。いずれも中国古代の話で、夏から春秋時代までの王朝を題材にしている。この時代、我が国には文字はないことを思えば、感慨深いものがある。史実がどうであったかではなく、心を躍らせる古代史ロマンというのでもなく、人間の物語を宮城谷氏は描いたのだろう。静かに、味わい深く、様々な人々の思いが語られてゆく。短編作品であるからこその読了感とでも言えばよいのか、余韻も十分にある。興味深く読んだ。
が「ナイス!」と言っています。
Ryo0809
台湾の軍部・陰謀モノ小説。スナイパーと定年退職間近の警部が主人公。チャーハン作りの名人がスナイパーというキャラは面白いし、炒飯作りの参考にもなるオマケつき。また、定年間近の警部の父子関係は時々刻々と移り変わってゆき、面白かった。とはいえ、スナイパーといえば「ジャッカルの日」の右に出る小説はないので、本作のストーリー立てや狙撃の臨場感などはかなりマイルドで、際立つものは少なかったか…。このあたりは欧米の作家に軍配は上がる。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2023/04/30(389日経過)
記録初日
2019/09/15(1712日経過)
読んだ本
310冊(1日平均0.18冊)
読んだページ
142211ページ(1日平均83ページ)
感想・レビュー
310件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
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