子どもと猫の目線で語られるちょっと不思議な物語。どこまでも優しく、こんな世界が子どもたちに広がっていてほしくなる。

英国留学により一人になった漱石の内面の描写が増えたり、漱石作品の背景や当時の世間の反応が知れたり、後半はよりあっという間に進んだ印象。最後の方は、史実を並べるばかりで物語としての盛り上がりが少なかったのは少し残念だった。 漱石の小説だけでなく、子規や芥川の作品も改めて読みたくなった。

漱石の生い立ちや、周囲に慕われたという人柄を知っていくのが面白く、読みやすかった。上巻はキャラクターの立った子規が主役のようだった。彼らのような当時のエリートたちが、ともに漢詩や俳諧を学んだりしながら互いを認め合っていたというのは、その時代ならではで興味深かった。

子どもと猫の目線で語られるちょっと不思議な物語。どこまでも優しく、こんな世界が子どもたちに広がっていてほしくなる。