ネタバレ読み始めた頃は「痴人」が譲治なのか、それとも最終的にはナオミになるのか…と考えたが、終始一貫して譲治であり、そのまま終わってしまったのには「え、あ、そうなん…」とスンとしてしまった。 痴人の愛であり、盲目の愛。惚れてしまったからにはもう、その人を手元に置いておくためになりふり構わず機嫌を取っていくしかない。その構図は令和の今でも見るもの。所詮、人間の本能であるので痴人はそれに抗えないのだろうな。そしてたまたまここでは譲治とナオミであるけども、性別が反対でも十分あり得る。 書かれた時代の割に読みやすかった。

ネタバレSNSでたくさんの人が読んでいて、褒めていて、タイトルも興味深かったので読んだのだけれど…。二話目の物語が始まってから「繋がってない。短編集か」と理解したのだが、その二話目と次の三話目が特に自分の好みとかけ離れていて読むのに時間がかかった。買うまでに何日もかかるクロワッサンの列も、訳のわからない乱闘が生まれるカオスな結婚式の二次会会場も、まったく面白さがわからなかった。わたし自身が良識をみじん切りにできないからなのかな。

ネタバレ何も情報を入れず読み始め、短編集だとわかった時に少しがっかりしたけど、読みやすかったし「次のお話はどんなかな」と一編読み終えるごとに楽しみになってた。 「はずれくじ」を読んでる時点で「あ、FはfatherのFか」と決めつけてしまい、そこから後記を読むまで頑なにその視点しか見つけられなくて少し反省。「父親ってこういう考えやからああいう行動なのか」と結論付けちゃったり、作者が男性だからか余計に「男の人ってこういうとこ独りよがりよな」って考えちゃったり、各主人公と歳が近いであろう自分の父を思い出したり。

ネタバレ読み始めた頃は「痴人」が譲治なのか、それとも最終的にはナオミになるのか…と考えたが、終始一貫して譲治であり、そのまま終わってしまったのには「え、あ、そうなん…」とスンとしてしまった。 痴人の愛であり、盲目の愛。惚れてしまったからにはもう、その人を手元に置いておくためになりふり構わず機嫌を取っていくしかない。その構図は令和の今でも見るもの。所詮、人間の本能であるので痴人はそれに抗えないのだろうな。そしてたまたまここでは譲治とナオミであるけども、性別が反対でも十分あり得る。 書かれた時代の割に読みやすかった。

ネタバレ普通の小説だと思って手に取ったが違った。回想録、人生の節目に日記や作品を通して若い頃を振り返ってみようって感じ。内容の時代や切り貼り形式でまとまりがないように感じたし、頭や心が行ったり来たりしてしまい、少し読みにくかった。 どうせなら清野少年との出会いから会わなくなるまでの日々を通しで、この『少年』とは別に小説化してほしかった。

ネタバレ多かれ少なかれ毎年死人を出すほどの病気を根絶させたのはすごいことであり、それに一役買った町医もすごい存在であると思う。それが京でも江戸でも長崎でもなく福井の町医なのがこの本にも書かれているようにワクチンを広めるのに時間がかかった理由だろうな。自分の子供に「訳のわからないもの」を摂取させるのは親は躊躇うもの。それを説得するのは骨が折れると思う。こういうとてつもない熱意を持つ医者が、権力と悪意を持つ上に邪魔をされながらも、誠意と志を強く持って働いていき、最後に報われるのは読んでいて気持ちがよかった。