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2025年11月の読書メーターまとめ

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2025年11月に読んだ本
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2025年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

文化
哀しい話だった。倫理は普遍的なものではなく共同体の中の合意に過ぎないことを再認識した。
が「ナイス!」と言っています。

2025年11月の感想・レビュー一覧
14

文化
安藤忠雄の建築は、打放しコンクリートが特徴の禁欲的でミニマルな作りになっている。これは僕の美意識とも合致していて、彼の建築にはどこか惹かれるものがあった。しかし高名な建築家ともなると、やはり生き様から漂うエネルギーのようなものが常人のそれとは大きく乖離していることに気づく。例えるなら、岡本太郎の本を読んだときに近いかもしれない。多くの場合、タイプの異なる人間の生き様から直接的に学べることは少ない。とはいえ彼の仕事に取り組む姿勢に関しては学ぶところも多かった。いくつか抜粋する。
文化
2025/11/29 18:00

「現実の社会で、本気で理想を追い求めようとすれば、必ず社会と衝突する。大抵、自分の思うようにはいかず、連戦連敗の日々を送ることになるだろう。それでも、挑戦し続けるのが、建築家という生き方だ。あきらめずに、精一杯走り続けていけば、いつかきっと光が見えてくる。その可能性を信じる心の強さ、忍耐力こそが、建築家に最も必要な資質だ」

文化
2025/11/29 18:01

「何を人生の幸福と考えるか、考えは人それぞれでいいだろう。 私は、人間にとって本当の幸せは、光の下にいることではないと思う。その光を遠く見据えて、それに向かって懸命に走っている、無我夢中の時間の中にこそ、人生の充実があると思う。」

が「ナイス!」と言っています。
文化
本を読んでいると時々、不思議なほどに親しみを感じる作家がいて、最近の自分にとってはそれが池澤夏樹だった。ソローや宮沢賢治にも僕は親しみを感じる。彼らに共通しているのは、社会に対するある種の距離感だと思う。つまり確固たる倫理の基準を彼らは持っていって、それゆえに社会との折り合いは悪いのだけど、自分なりに正しい生き方を実現しようと努力している。その姿勢に僕は大きく影響され、勇気づけられている。
文化
2025/11/29 09:20

今後のライフワークとして、池澤夏樹の世界文学全集と日本文学全集を少しずつ読んでいきたいと思う。毎月一冊読めば、5年で読み終わる計算になる。

が「ナイス!」と言っています。
文化
レイモンド・カーヴァーの短編にはわかりやすい結末がない。そして作中では劇的なことは何も起きない。例えるなら起承転結の承転結を無くしたような小説に近い。それでいて、彼の切り取った日常の中には何か本質的なものが隠されているように感じてしまう。そこが彼の文章の魅力なのだと思う。この小説は理解を深めるものというより、感覚で読むべきものなのかもしれない。時として、詩は小説よりも多くのことを伝える。僕はそれを事実だと思う。
が「ナイス!」と言っています。
文化
読書会課題本。前半のセカイ系に関する歴史解釈は楽しく読むことができた。個人的に、セカイ系という語は自閉的で無力な(それでいて経済的には豊かな)現代日本人の精神性に結びついた概念だと考えていたが、その認識は概ね間違っていないようだった。 また本書を読んでいて、自分がサブカル批評に興味がないことに気づいた。以前は既存のアカデミアの権威に対するカウンターとしてサブカル批評が生まれたのだと認識していたが、実際のサブカル批評はそこに同様の権威を持ち込んでいて、それが自分に興味を失わせた原因だった。
文化
2025/11/24 11:41

リオタールやシュミットの話がしたいなら、適切な題材を選んでアカデミアの範囲で行うべきだろう。カウンターカルチャーはもっと自由なものであるべきで、そこに権威の構造を持ち込んだ時点で(外部から見れば)それは人文系のアカデミアごっこと区別がつかない。ともあれ分かったのが、今後自分がこの手の本を読むということはないだろうということだった。

が「ナイス!」と言っています。
文化
カズオ・イシグロは人生のどうにもならなさを延々と書いている作家だと思う。僕が読んだ彼の作品はどれもビターエンドで、最後は人生との折り合いのつけ方の話に帰着する。大きな流れの前で、個人がいかに無力かということは、現実的な考えの人間なら誰しも理解していることだと思う。そうなるとやはり、あらゆる問題は個人としての人生の向き合い方の話でしかなく、カズオ・イシグロがこのテーマに固執する理由もわかる気がする。
文化
2025/11/22 20:18

もう一つ思ったのが、カズオ・イシグロは人物描写が抜群に上手いということだった。例えるならサマセット・モームが一番近いかもしれない。人間は欠点のある生き物なので、時として合理的な判断ができない。しかしその不合理な部分こそが人間の最も人間的な部分でもある。彼はそうしたものを描くのが非常に上手い作家だと感じた。

が「ナイス!」と言っています。
文化
米国副大統領のJ.D.ヴァンスによる回想録。どん詰まりの家庭環境から副大統領まで上り詰めた彼の経歴は、タフでマッチョな男の姿を連想させる。しかし彼の成功の裏側には多くの善良な人々の手助けがあった。薬物中毒の母に代わってヴァンスを育てた祖母と姉、父親の代わりに男としての在り方を教えたヒルビリーの叔父たち。困難な環境の中でもヴァンスが正しい道を歩めたのは彼らの存在による部分が大きいだろう。
文化
2025/11/19 18:36

何よりも最後の謝辞が良かった。友人や家族、恩師に感謝を述べる至って普通の謝辞なのだが、回想録を読んだ後に見ると、孤独だったヴァンス少年が最後には多くの大切な人に巡り会えたように見えて、僕は少し泣いてしまった。やはり家族的な繋がりこそ、人間にとって真に価値のあるものなのではないか。

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文化
数人の作家が共同して一冊の本を書き上げたような内容だった。各章ごとに文体、語り、視点がバラバラで、統一感が一切ない。逆にこの統一感のなさが物語に複雑さを生み出していると肯定的に捉えることもできるが、それは彼の書こうとしているものがあまりにも巨大で複雑なシステムだからで、そうしたものを題材にすれば普通の小説の常識から離れてしまうのは仕方ないのかもしれない。個人的に気に入った章は8章のMondaugen’s Storyだった。この章だけ明らかに力の入り具合が違う。少なくともピンチョンが天才であることは理解した
文化
2025/11/17 16:49

ピンチョンは明らかに天才で、なんでも書くことができたから世界について書こうとしたのだが、人間の内面について書こうとはしなかった。彼にとっては(それがどういう意味であれ)目に見えるものが全てだったのだろうか。

が「ナイス!」と言っています。
文化
読書会課題本(再読)。やはり伴名練は凄いSF作家だと思う。昔読んだ時は時間SF「ひかりより速く、ゆるやかに」の印象が強かったが、今読み返すと伊藤計劃トリビュートの「美亜羽へ贈る拳銃」の完成度が抜けて高いことに気付く。SF的な複雑さが最終的にシンプルな愛に帰着する結末は賛否の分かれる部分だと思うが、個人的には嫌いではなかった。伴名練が『ハーモニー』のアンサーとしてこの短編を書いたことから、彼の社会に対するスタンスのようなものが理解できて良かった。
が「ナイス!」と言っています。
文化
『重力の虹』読書会に向け、まずは『V.』から読むことにした。ピンチョンはいつも陰謀論の話をしている。そして示される情報はどれも断片的で、本筋のストーリーはどこまでも拡散していく。しかし読み進めていくうちに、一見無関係に見える話の断片も「V.」という秘密によって緩やかに繋がっているように思えてくる。ピンチョンが描こうとしているのは、この陰謀論の構造そのものなのかもしれない。下巻に続く。
が「ナイス!」と言っています。
文化
哀しい話だった。倫理は普遍的なものではなく共同体の中の合意に過ぎないことを再認識した。
が「ナイス!」と言っています。
文化
ヴォネガットの最後の著作。「唯一わたしがやりたかったのは、人々に笑いという救いを与えることだ。ユーモアには人の心を楽にする力がある。アスピリンのようなものだ。百年後、人類がまだ笑っていたら、わたしはきっとうれしいと思う。」
文化
2025/11/06 21:21

ヴォネガットが最高の作家である理由がここに詰まっている。

が「ナイス!」と言っています。
文化
実践的な読書のための手引き書。受動的な読者は本の内容を表層的にしか理解できない。本来の読書はもっと能動的なものであるべきで、深い理解のためには本の構造を理解したより分析的なアプローチが求められる。本書は読書の方法論として有益に思うが、良い本は必然的に主張が明確なため、結局はこの要約だけを読めば十分だと感じなくもない。
が「ナイス!」と言っています。
文化
ネタバレ読書会課題本。論理学の形式をミステリの中に持ち込むという試みは面白い。ただ背理法で相手の推理の矛盾を導く証明はその証言が真であることを前提とするもので、その点で被害者の証言は果たして完全であると言えるのか気になってしまった。証言が完全でなければ論理が破綻するところにこの探偵の弱さがあるように感じた。また論理学を用いたこの枠組みがミステリ的に面白いかといえばそうでもなく、あくまで玄人向けのメタミステリと言う印象を受けた。
が「ナイス!」と言っています。
文化
タフであることは、決して傷つかないことを指すわけではない。むしろ、傷ついてもなお自分の信念を曲げない強靭な精神を指すのだということをフィリップ・マーロウから学んだ。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2024/01/05(709日経過)
記録初日
2024/01/06(708日経過)
読んだ本
196冊(1日平均0.28冊)
読んだページ
60269ページ(1日平均85ページ)
感想・レビュー
196件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
自己紹介

moralist

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