しをんさんのエッセイとのギャップがたまらない。どちらも好き。都内の老舗ホテルに務める実直そのものの続力（つづきちから）は、招待状の宛名書きを新たに依頼することになった書家の遠田薫と出会う。続は、遠田との居心地の良い関係や書の魅力にはまっていく。そんな遠田の生い立ちは、続と対極なるもので、遠田は関係を断ち切ろうとする。が、深刻になりすぎる前に、遠田の飼い猫カネコ氏が場の雰囲気を和ませ、二人の間に割って入る。墨の香りが漂ってくる感じがした。まりもようかんも気になる。最後にびっくり、カネコ氏の肉球印。

しをんさんのエッセイとのギャップがたまらない。どちらも好き。都内の老舗ホテルに務める実直そのものの続力（つづきちから）は、招待状の宛名書きを新たに依頼することになった書家の遠田薫と出会う。続は、遠田との居心地の良い関係や書の魅力にはまっていく。そんな遠田の生い立ちは、続と対極なるもので、遠田は関係を断ち切ろうとする。が、深刻になりすぎる前に、遠田の飼い猫カネコ氏が場の雰囲気を和ませ、二人の間に割って入る。墨の香りが漂ってくる感じがした。まりもようかんも気になる。最後にびっくり、カネコ氏の肉球印。

二部構成の一部では、古典的なまでのザ・ミステリーで、延々と続く連続殺人を読み切ったら、二部の盛り沢山の伏線回収に臨めます。回収してすっきりするどころか、最後は苦笑がまじる顛末が予想外で、読み応えと読後感、ともに満足でした。ミステリーが売りなので、あえてあらすじには触れません。というか、とても255文字には収められません。

テンポが悪く、小説なりの真実味がなくて、まったく興味をそそられず。警察庁第二種未解決事件整理係は、呪いとか心霊とかが関わって未解決になった事件を扱う部署だそうで、只倉恵三は、突如として警視庁の所轄からそこに異動となり、長年の刑事経験を活かし、謎解きして事件の真相を見抜く。相棒は娘の彼氏・関内炎月。彼は怪談師を名乗り、言い伝えのような怪談を人前で披露することを生業にしている。見事に真相解明していくところがウリの一つなのだと思いますが、個人的には、トンチみたいで、だから？という思いのみでした。

大阪府警伝説のマル暴刑事だった父、夫は警視庁暴力団対策課の刑事、自身も女マル暴刑事だった誓は、夫が銃撃されたことで、職に復帰する。夫の事件や抗争事件を捜査する中で、任侠道を貫くヤクザ・向島に関わる。血が騒ぐと突っ走る誓の血は、やはりその男の血だったのかと。終章で、向島に避けようのない運命が迫り、生き方は変えられない虚しさが残った。

ネコやイヌにやられてしまった同窓生夫婦、離婚した男性、中年姉妹、老母、歳の差夫婦の5話。ネコやイヌの愛くるしさにメロメロになるのもわからけど、どの話もここまで来ると度を越しているのでは思えなくもないが、それでも可愛さには勝てないと言ったところ。微笑ましい日常の連続でオチを求めずにゆったり読めました。近所にいた人気のネコは撫でる順番待ちができるほどで、犬の散歩の途中に並んでいる人もいたが、一緒に待たされるフレンチブルドッグのやるせない表情が印象的だった。

なかなか知ることができない医師の苦労が迫ってきた一冊でした。研修医一年目の雨野隆治、都内総合病院勤務。何もできず何もわからず、先輩医師や上司からただ怒られるばかり。幼い頃に亡くなった兄のことが記憶の底にあり、医師ではなく家族のように患者のことを思ってしまう。それだけに救えないもとかしさに襲われる。それでも交通事故に遭った5歳の男児を救えたことで、ほんの少し前へ進む。きっと素敵な医師になっていくんだろうなぁ。両親を看取って以来、病院を避けてきたが、やるだけやったからしょうがなかったのかもと少し思えた。