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しかし、逆に彼らの夢追いを強固なものへと変化させる要因にもなっていた事実は興味深い。本論ではライブハウスという特殊性を帯びたコミュニティへの参画が、夢追いの推進力となっていることが指摘されていた。彼らの社会に対する反芻性は「ライブハウス共同体」に端を発しているともいえる。また、バンドマンは集団性を帯びたひとつの「チーム」である。前記は「音楽」という芸術表現の形式によって確立されているだろう。
「人との繋がり」が夢追いの原動力になっている反面、それが時として夢の断念の要因にもなっていた事実を踏まえるととまさに「諸刃の剣」であると実感した。もちろん「断念」の要因は、家庭や労働などの社会的領域に存在することから一概に「人」であるとは断言できない。だが、バンドマンがインタビューで「ちょっと孤独」と述べていたように夢追いとは孤独との戦いであり、彼らはその孤独をライブハウス共同体や仲間たちとの「相互行為」によって解消しているのだと実感した。この「相互行為」は夢を追う全て人にとって必要な要素になるだろう。
社会が豊かになる反面、人々が不幸になるというものは皮肉であるとも感じる。人々が遊動生活から定住生活へ移行したことにより政治経済の基盤や文化が誕生する。近現代の労働においてもフォーディズムが確立したことにより労働者に休暇の権利付与という労働観の転換が行われる。人々の生活は確実に豊かな方向に向かって行っている反面、日常的にぼんやりとした不幸があるのはなぜかと考える。『資本論』でマルクスが述べたように、労働日の短縮により自由の王国が確立されることで人は幸福になるのか…。
退屈から脱却する方法は「なにかにとりさらわれること」。人々は動物と比較して環世界を次々 移動できる。特定の世界に停滞せず移動するためには何が必要なのか。それはあらゆることに興味を持つこと。その対象を楽しむこと。深く思考することと同時に衝動という反応を大切にし、積極的にその世界に飛び込むことなのだろうか。ある対象に奴隷となっている状態ではその対象に向き合うことができず、向き合うには訓練が必要だという。自分にとって何がとりさらわれの対象なのか。その対象を無意識的に排除していないか自分を見つめ直したいと感じた。
という手段も一つあるのかもしれないが、現代においては「不安や孤独に苛まれるかもしれない...という未知的であり未来的な感情に打ち勝つ」という自己の内部との戦い・葛藤の末に得られるのだと思う。 それは資本主義の発展に伴い、過度に個人化が進んだ社会だからこその問題であるように考えられる。本著でも述べられていたように、物質的な問題は資本主義社会の発展により解決しつつある。そのため、自由を獲得できる土壌はある。 現代の外敵権威は「常識」など匿名化しつつあある一方、人々に対する強制力は以前ほど機能していない。
そのように鑑みると、人々が自由になれる可能性は時代の進歩とともに増しつつある。(フロムも本著において、「人間の歴史は自由の進歩の歴史」といっているように...)最後どのように行動するかというのは、各個人がもつ真の自発性に由来するのだと思った。図書館で借りて読んだものの、この本は買ってしっかり理解できるまで読み返したいと思う。 (2年前くらに図書館で借りた時は難し過ぎて途中で読むことを挫折したけど、今回は最後まで読み切ったと思うと少し自分を褒めたくなった)
この本を読んでいる当時、自分は仕事を続けるか辞めるか否か迷っていた。ある一節で「同じことを続けていて自分がハッピーでないなら、思い切って変えてみるのも一つの手」と書かれていて、少しだけ肩の荷が降りたような気がした。改めて「自分はどうしたいのか」という観点に目を向け、主軸としたいと思った。 他にも忙しい日々で稼いだお金を使っても充実感は得られないこと、最低限の満足ラインを確認するなど共感できる部分が多くあり、心が不調となった時に読み返したいと思える一冊であった。この本はいまは売らずに家に保管したいと思う。
モノそのものを所有することが価値であり目的になることもある。「幼少期の頃の思い出品」や「著名人のサインが入ったモノ」などが一例だろう。所有という行為を辞められない要因は人それぞれであり、さらにモノごとに異なることから一概に論じること難しい。本書から考えたことは、そのモノに何かしらの価値を感じている間は所有を手放すことができないということ。物が有する価値が人々に対して所有欲を生むもあると思うと、所有している対象は「モノ」ではなくそのものが持つ「価値」(社会的履歴・機能・デザインなど)なのかもしれない。
正社員経験がある人ほど派遣労働という働き方を主体的に選び、同時に現状に満足している傾向がありそうだった。結論にもある通り、派遣労働は正社員と相対的に比較すると自由な働き方であり、契約期間や派遣先との関係などにおいては不自由さが生じている。前記の問題はアルバイト雇用で働く人々も同様であると考えられるが、間接雇用がもたらす不自由さ、問題は大きいと感じた。 また、有期雇用から無期雇用転換になっても満足度がさほど上がらなかった人がいる事実にも着目したい。 雇用の安定性を求める人が多いのは風潮としてあることから…
無期雇用転換されたら諸問題は解消されることがあるのかと思いきや、待遇面などでの問題が大きく残っていることがよくわかった。 また、派遣労働者の満足度が上がる要因は「派遣先社員と良好なコミュニケーションがとれるか」だった。 このことから、派遣労働者における雇用の安定性も欠かせない反面、それ以上に待遇の改善及び良好な人間関係の構築が労働の満足度や労働者を取り巻く課題解決に繋がるのだと実感した。
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しかし、逆に彼らの夢追いを強固なものへと変化させる要因にもなっていた事実は興味深い。本論ではライブハウスという特殊性を帯びたコミュニティへの参画が、夢追いの推進力となっていることが指摘されていた。彼らの社会に対する反芻性は「ライブハウス共同体」に端を発しているともいえる。また、バンドマンは集団性を帯びたひとつの「チーム」である。前記は「音楽」という芸術表現の形式によって確立されているだろう。
「人との繋がり」が夢追いの原動力になっている反面、それが時として夢の断念の要因にもなっていた事実を踏まえるととまさに「諸刃の剣」であると実感した。もちろん「断念」の要因は、家庭や労働などの社会的領域に存在することから一概に「人」であるとは断言できない。だが、バンドマンがインタビューで「ちょっと孤独」と述べていたように夢追いとは孤独との戦いであり、彼らはその孤独をライブハウス共同体や仲間たちとの「相互行為」によって解消しているのだと実感した。この「相互行為」は夢を追う全て人にとって必要な要素になるだろう。