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2024年8月の読書メーターまとめ

Kemumu
読んだ本
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4815ページ
感想・レビュー
15
ナイス
217ナイス

2024年8月に読んだ本
15

2024年8月のお気に入り登録
3

  • 新田新一
  • mikio
  • ろば

2024年8月のお気に入られ登録
6

  • 新田新一
  • mikio
  • フリウリ
  • ろば
  • 轟直人
  • Johnnycake

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Kemumu
ネタバレデジテル化された故人との交流は人に何をもたらすのか。癒し効果があるだろうか。少なくとも正確なクローンは、それを望む母が娘ジェシーの真似をするなと怒鳴りつけたるなるくらいに不気味なものだ。クララはジェシーが皆の心の中にいるから代替不可能だという。同時にクララはジェシーの心の中にいる。人もAIも分解したところで心を把握できないのは同じだ。AIが人のような高度な思考感情を手に入れらるのかという命題は成立しても、AIに心はあるのかという命題自体が成立しないのかもしれない。カズオイシグロはそう考えているのだろうか
が「ナイス!」と言っています。

2024年8月の感想・レビュー一覧
15

Kemumu
ルポタージュのように仕立てたフィクション、モケポタージェだろうか。ありそうでないネーミングや、分かるようで分からないロジック、格言めいた総括、言葉遊びに溢れていて感染性の高い作品だった。短編の一つ、玉磨きが気にいった。宿りしものが往来するお玉さま(丸い石)を磨き続けるだけの職人が「宿り待ち」をする。PCでメールを往来させる毎日で、常にメール宿り待ちストレス状態なので共感するところがあった。モキュメンタリーという言葉はあるから、モケポタージュもあってほしい。
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Kemumu
日本一男前の四天王(奈良/戒壇院)、色香を漂わす吉祥天(京都/浄瑠璃寺)、蝦夷の王アテルイがモデルと言われる薬師如来(岩手/黒岩寺)は、実物を見てみたい。東北では釈迦三尊の脇に四天でなくニ天が流儀で、理由は侵略者である中央政権が西の守りを開けさせておきたかったからのようだ。だが、アテルイのいる黒石寺には四天が揃う。侵略と抵抗の歴史を感じられて興味深かった。
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Kemumu
娘が「おいよう」としゃべりだした記念に購入。馴染みがあるので「カムチャツカの若者がきりんの夢を見ているとき」と「朝のリレー」ばかりを読んでしまう。絵本のようには興味を示さないが、音読するほうとしては飽きずに読めそうだ。「おいよう」だけで簡単に朝派に転向してしまった。先日読んだ本で沢木耕太郎が胸が締め付けられるような感覚がある夕日の方が好きだと書いていて、わかるなぁと共感していた矢先なのに。
Kemumu
2024/08/31 10:28

新田さん、丁重にもご連絡いただき恐縮です。楽しく感想を拝見してます。こちらこそよろしくお願いします。

Kemumu
2024/08/31 10:28

新田さん、丁重にもご連絡いただき恐縮です。楽しく感想を拝見してます。こちらこそよろしくお願いします。

が「ナイス!」と言っています。
Kemumu
1960年代前半に筆者が極北のインディアンを調査した際のエッセイ。カナダ政府から調査許可がなかなか下りないところから始まる。20代後半であろう筆者が、自然環境の厳しい調査されていない異文化のコミュニティーに飛び込む期待と不安が、全編を通して伝わってくる。学術的な本と間違えて購入したのだが、筆者の感性に感化されて読後はさわやかな気分になった。
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Kemumu
学校の成績は全科目Aプラス、理論物理学者を夢見る青年時代、NYのヘッジファンドへ就職、29歳でAmazon起業。苦労話を期待してしまうが、起業まもない頃に本を床で梱包して腰が痛かったという話ぐらいしかない。苦労を苦労と感じない人なのだろう。ベソスは“誰も望んでいない”プライムサービス導入を決断する。本質的に顧客に求められているという直観である 。情報より物語を重視する。何だか本好きそうだ。ベソスの顧客中心主義は、分類するならクリステンセンのジョブ理論が近いのだろうか。
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Kemumu
ネタバレ紙の本で再読。学生時代に読んだ時に、訳も分からず本を読むことは奥深いと感じたの思い出す。モンテーグのように本の背後には一人の人間がいること、その重みを感じたように思う。さらに進んで終盤では、本になった森の人たちが出てくる。なんかすごいと。再読なので謎の箇所に波線が引いてある。当時何を考えていたのだろうか。森の人たちのようにこの本と言える本を、全て暗誦はできなくても自分なりに100冊選んでみたい。
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Kemumu
文豪の猫遍歴をまとめた本。猫は身勝手と嫌っていた志賀直哉も、晩年に猫を飼い始めて猫に心を奪われたようだ。「赤毛のアン」で知られるモンゴメリは、愛猫ダフィを人間だとして死後の再会を誓う。動物は天国に行けないキリスト教ならではの苦悩と決意だろう。開高健の猫論が鋭くて可笑しい。「いっさいの行動の自由を持ちつつ排斥されることなく、孤高に終始しながらのらりくらりと怠けてくらすという、さまざまな矛盾を抱きつつ諸矛盾を精妙に融合させてかえってそれを魅力に転ずる……」開高健も最後はニヤニヤして書いていそうだ。
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Kemumu
陸軍報道班として徴用された井伏がマレー戦線や占領期シンガポールの体験をまとめたもの。参謀辻政信の描写に強く心情がのっている。数千人の被害者がいる華僑粛清と首謀者であろう辻参謀を思いながら、「人間があのやうな広大無辺の罪を犯すことがあるとは意外であつた」という。本作の発表は戦後に参議院議員まで勤めた辻が亡くなった後の70年代だ。作者は辻の著作「ガダルカナル」を読んでいる。辻参謀が空腹で倒れている兵士に食事を分け与えるのだが、井伏はそれは「戦友同士のすることだ」と書いている。強烈な皮肉と憤りを感じた。
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Kemumu
「あさ、おはようけっこーこけこっこー」から始まる乳児用の音読集。我が家では、朝の挨拶の新定番を生み出した一冊。貰った本ではあるが、妻に言われ詠み込むこととなり、半分程度は暗唱できる。妻はエア絵本でほぼ全て見ずに唱えている。先日娘が飼い猫を指さして「ニャンニャン」と言い出した。ねこや名前じゃなくて、本当に鳴き声から覚えるものなのだなと妙に関心した。最近では娘がまたこの絵本かという顔をするし、この音読集は大人も子供も覚えやすいようだ。
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Kemumu
ネタバレ短編集から一つ選ぶなら「陰気な愉しみ」。救いがテーマ。他の作品より奥深さは劣るのだろうが、主人公を救うモンペ姿の靴磨きのお婆さんが忘れ難い。1人の人間の心持ちを変えてしまう働きぶりが、純粋で可笑しく、悲しくもある。物語は40年代後半の横浜が舞台。戦争傷病者である主人公の私は、給付金を受け取りに月1回役所に出頭する。正当な金とはいえ劣等感が消えない私は卑屈になる。ある日いつもより多く紙幣を受け取った私はうまく卑屈になれない。何となく靴磨きの婆さんに靴を磨いてもらうことにして、ピカピカの靴で歩き出す。
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Kemumu
80年代に書かれた東京の市井の人々を描く4編からなる短編集。作者18歳でのデビュー作が「川べりの道」。安岡章太郎の「陰気な愉しみ」を連想させる内容で、15歳の吾郎が離婚して別の女と暮らす父のもとへ養育費を毎月受け取りにいく話だ。吾郎が自分でもわからない衝動に突き動かされて走り出すところからの場面が良かった。少し気持ちが若返えった気がする。
が「ナイス!」と言っています。
Kemumu
ネタバレデジテル化された故人との交流は人に何をもたらすのか。癒し効果があるだろうか。少なくとも正確なクローンは、それを望む母が娘ジェシーの真似をするなと怒鳴りつけたるなるくらいに不気味なものだ。クララはジェシーが皆の心の中にいるから代替不可能だという。同時にクララはジェシーの心の中にいる。人もAIも分解したところで心を把握できないのは同じだ。AIが人のような高度な思考感情を手に入れらるのかという命題は成立しても、AIに心はあるのかという命題自体が成立しないのかもしれない。カズオイシグロはそう考えているのだろうか
が「ナイス!」と言っています。
Kemumu
ネタバレクララとお日様のあいだには何があるのだろうか。クララは浮浪者に日光が当たり起き上がる一瞬で、お日様との神秘的な関係を築く。頭の中では谷川俊太郎や宮沢賢治の詩が鳴り響いていたのではないか。本来このような着想は人の美点の最たるものに思うが、本作の人間は賢い労働力を作るのに忙しそうだ。AIロボのクララの方が人間らしい。
が「ナイス!」と言っています。
Kemumu
ネタバレ読友さんのレビューを見て。なぜ人は破滅に向かうのか。アル中の小島は最後の一杯を飲んで入院する。入院患者のリアルな生き様や医師の赤河とのアル中の分析が面白い。小島は暴飲を「漠然とした自分への殺意」だといい、甘えだと自覚する。記憶をなくした経験が幾度もあるので耳が痛い。さらに、小島は深酒が原因で亡くなった悪友の過去を知り、彼が死者と会うために飲んでいたのだと悟る。死者との交信の渇望とは考えたことがなかった。お盆などの死者との交信を促す文化には、生者が道を外さないための治安維持機能があるように感じた。
が「ナイス!」と言っています。
Kemumu
ネタバレ何か猫の本をと手にとった。くしゃみ先生の家に住まう吾輩猫が人間の長所短所を語る。前半の吾輩猫の方が軽妙で好み。気味が悪いが旨そうに見える餅に手を出し、引っ付いた餅を魔物と罵って駆け回る。何度読んでも面白い。後半では「正義のため、人道のため」「公平という念」など熱血教室のマイケルサンデルのようだ。「猫にあるまじき義侠心」まで発揮する。気ままに直感で暮らす猫族はどちらかといえば、stay foolish、面白きことなき世をおもしろく、などと言いそうな気もする。文明開花という言葉がよく似合う猫である。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2024/06/07(116日経過)
記録初日
2024/06/07(116日経過)
読んだ本
51冊(1日平均0.44冊)
読んだページ
17275ページ(1日平均148ページ)
感想・レビュー
51件(投稿率100.0%)
本棚
5棚
自己紹介

歴史小説、推理小説、SF、生物学、考古学、人類学など、たまにビジネス書。
趣味は、旅行、ドライブ、観葉植物、囲碁。
一猫一女の4人家族。娘を本好きにさせる方法を思案中。

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