(続き)いざその時に日本だけが無関係、局外中立の立場を取ることは物理的に不可能だ。日米安保条約の条文がどうであろうと日本に米軍基地と部隊が存在すること自体が極東有事に対する抑止力となっていることは現実だ。しかし日本人は(日本人に限らず人間とはそういうものなのかもしれないが)「戦争になってほしくない(こうあってほしい)」「戦争は絶対に起こしてはならない(こうあるべきだ)」という「願望・理想」が先行し、その「願望・理想」が破綻したときにどう対処してどう終わらせるか、という議論自体がタブー視されている。(続く)
(続き)有事の際、敵対勢力は日本人のそのメンタリティを突くことで日米の連携を妨害することで自らにとって有利な形勢を作り出そうとするだろう、というのが本書の趣旨である。そう考えると、(少なくとも外交や安全保障について)日本人はあの戦争から何も教訓を見いだせず、自らの意識を変えることもできなかったのだろうか…?
(続き)自衛隊では「人は疲労する」「疲労すればパフォーマンスや判断力が低下し、上官や周囲の同僚にたいしても不信感を抱くようになる」「その状態を放置した場合、個別のチームだけでなく他のチームにまで危険がおよび、ひいては任務を達成できなくなる」という前提で組織を運営している。ビジネスの現場が戦場となってしまった現代、組織が環境の変化に適応する一番手っ取り早い方法は「上層部は達成すべき目標と期限を示すにとどめ、具体的な権限を下層のリーダーに大きく委ねる、ただし違法行為に走らないよう、(続く)
(続き)必要な支援(助言ではない)をいつでも求められる心理的な安全を与え、チームが包囲殲滅される状況(比喩として)に陥った場合はリーダーに対して上層部の責任で撤退命令を出す覚悟を持つ、といったところだろうか。今、リーダーシップに求められるのは小さな会社が大きく成長する「勝つためのリーダーシップ」ではなく、部隊を崩壊させずに撤退戦を戦うための「負けないリーダーシップ」である、というのが読後の感想。
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