哲学入門 (ちくま学芸文庫) >> 二十数年前に読んだものの、冒頭にテーブルが出てくるところ以外の記憶がない。改めて旧本と比べると、哲学なので難しい用語の訳し方がかなり違ったためもあろう。中村秀吉訳では、現象が外見であり、センスデータという訳がなかった。説明はかなり丁寧で易しいものであるが、イギリスの思想家的にとても丁寧な論理展開をしているので、普通の人には辛いだろう。でも、カントなどと比べればじっくり考えれば理解可能と思う。
街とその不確かな壁 >> 失敗した中編作品の書き直しと聞いて、『ハードボイルドワンダーランド』で一応やった後になぜと思って読む気が起きなかった。雑誌に米国大学の講演で思いを述べたのを読んで意義があったと気づいて手に取った。個々のコメントでも「相変わらず言語明瞭、意味不明」とあったが、文体としては最高レベルに達したと思いつつ読んでいる。今までと比べて異世界のありさまがさほど妙に思えない点、本物と影とが入れ替わりながら生きるなど素晴らしい作品と考えている。
灯台からの響き >> しばらく小説類から遠ざかっていたけれど、NHKのラジオドラマでこれが取りあげられたのを機会に読むこととした。初の宮本輝作品となる。少し読み始めて夫婦の人間観察が深すぎるなあと思っている。この灯台話を書くために宮本さんは灯台巡りをどれほどしたんだろうか?
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